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おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ 〜中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる〜  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
六章

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79「姉たちは見守る」①





 ルナとヴァレリーとアストリットの三人は、にんまりした顔でミナとエンジーのやりとりを見守っていた。


「初々しいわねぇ」

「素敵ですわ」

「……こういう甘酸っぱいのもありね」

「……なにを言っているんだ、お前たちは」


 ヒルデが呆れ顔で椅子に座って足を組んでいる。

 彼女たちは、今日はレダが診療所にいないため彼の分まで手伝おうとまず掃除をしていたのだ。

 そんなとき、いつものエンジーとは思えない大きな声が響いたので、何事かと思い見守っていたのだ。


「なにって、恋でしょう?」

「恋ですわね」

「恋ね」

「そうなのか?」


 ルナ、ヴァレリー、アストリットは断言するが、ヒルデだけ懐疑的のようで首を傾げている。


「……恋というか、手のかかる弟を心配しているようにしか見えないんだが」

「逆よぉ。エンジーのほうよぉ」

「なるほど。ふむ、少々気負っているようだが、恋なのか?」

「ミナのために戦って、ミナのところに戻ってくるなんて恋じゃないのぉ?」

「うーむ。そうかもしれん。が、よくわからん!」

「……ヒルデって、微妙にお子様よねぇ」

「私は三百年生きているんだぞ!」


 膨れっ面になるヒルデに「そういうところよぉ」とルナが頬を指で突いた。


「ま、恋だけじゃないとは思うんだけどねぇ」

「どういうことだ?」

「――乙女の勘よぉ」

「なんだそれは」


 ヒルデは「よくわからん」という顔をするが、ルナからすると、エンジーは間違いなくミナに好意を抱いている。

 本人は自覚がないようだが、普段のふたりを見ていれば、わかる。

 しかし、修羅場を乗り越えて成長したとはいえ、まだどこか気弱なところがあるエンジーが、昨日の今日で別人のような言動だった。

 ただ、根本の気の弱いところは変わっていないのだろう。

 やる気に満ちている一方で、身体が小刻みに震えているのが気にしてみると、わかった。


「ねえ、ヴァレリーとアストリットはエンジーのこと何か知っているのぉ?」

「どういう意味でですか?」

「私たち家族と同じくらいにしか知らないわよ。悪い子じゃないのはわかっているけど、一番接しているのはミナでしょう?」

「そうじゃなくてぇ。エンジーのご実家の話よぉ」


 エンジーたちはレダの弟子になるため、それぞれ立場を捨ててアムルスに来ている。

 ユーヴィンの街にいる者も同じだ。


 しかし、可愛い妹と「良い仲」になる可能性があるのなら、実家をはじめ彼の家族が気になる。

 レダはエンジーという個人を受け入れているので、あまり背景を気にしていない。

 ティーダは知っているようだが、個人の情報をおいそれと話すことはない。

 ただ、家族仲に問題があるようではある。


「残念ですが……」

「私もヴァレリーも部屋から出ない日々だったから王都に住む子の事情なんて知らないわ!」





 お姉ちゃんたちは見守っているのです。



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挿絵(By みてみん)

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