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おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ 〜中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる〜  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
六章

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72「エンジーの決断」①





「レダ先生、ミナ先輩、皆様、夕食をご馳走になってしまいどうもありがとうございました。僕、そろそろ帰ります」


 レダとナオミが災厄の獣と戦うことを家族に告げるも、家族たちは反対することはなかった。この光景は、エンジーにとって衝撃だった。

 レダたちの意思を汲み取り、理解していたのだ。


「エンジー? もう遅いし、なんなら泊まっていけばいいんじゃないかな?」


 レダは気遣ってくれているが、今はこの空間にいたくないと思ってしまう。

 酒は苦手だが、自分の部屋に戻って強い酒を飲んで眠ってしまいたい。


「いえ、さすがに、そこまでお世話になるわけにはいかないです」

「……エンジー大丈夫?」


 精一杯笑顔を浮かべていると、ミナが心配したように声をかけてくれた。


「大丈夫です、ミナ先輩。ご飯、おいしかったです」

「うん。ありがとう! また食べにきてね! 毎日でもいいから!」

「あ、ありがとうございます!」


 ミナは優しく微笑みエンジーに声をかける。

 だが、どこか心配しているのか、エンジーの袖を掴んでいた。

 優しい年下の先輩に自分の心内を悟られないように、取り繕うように表情を固める。


「遅くまですみませんでした。レダ先生、奥様方、ミナ先輩、また明日もよろしくお願いします!」


 そう言って頭を下げると、ミナの手がそっと離れた。


「おやすみ、エンジー」

「おやすみなさい、レダ先生」


 レダに続き、ルナたちが「おやすみなさい」と声をかけてくれる。

 とても暖かい家族だ。


「また明日ね、エンジー。おやすみなさい」

「はい。おやすみなさい、ミナ先輩」


 エンジーは丁寧にお辞儀を繰り返して、ディクソン家を後にした。

 アムルスの夜はいつもより賑やかだ。

 モンスターの襲撃が――正確には災厄の獣から逃げたモンスターたちがアムルスを通り抜けようとしただけだ――を経験したが、アムルスの人たちは挫けない。


 喧騒を耳にしながら、エンジーは無意識につぶやいてしまった。


「レダ先生たちの家族の子供として生まれたかった」


 エンジーは、治癒士の才能を持っていて、持て囃されて育った経緯がある。

 決して増長することはなく、誰かのために、家族のために立派な治癒士になろうと頑張っていた。

 しかし、親類縁者は自分で金儲けすることしか考えておらず、友人たちもエンジーを友人ではなく役にたつ道具程度にしか思っていなかった。


 レダたちのような優しい人の家族に生まれていたら、どれほど幸せだったか。

 とくに、今日、レダが死ぬかもしれない選択をしたのに、無事を願いながらレダの決断を尊重し、信じるルナたちの姿はエンジーにとって神々しい光景だった。


「――エンジー」


 ため息をつくエンジーの背後から聞き覚えのある声に名を呼ばれた。


 振り返り、声の主の名を呼んだ。


「……ナオミ様?」





 コミック最新9巻が発売いたしました!

 ぜひお読みいただけると嬉しいです! 何卒よろしくお願いいたします!

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挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[一言] やはりエンジーはレダの子供(婿養子)に!!(゜ロ゜ノ)ノ
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