表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ 〜中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる〜  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
六章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

483/628

52「エンジーの成長」①





 エンジーは裕福な家の三男として生まれた。

 幼くして治癒士としての才能がわかり、一族総出で喜んだのは言うまでもない。

 簡単な治癒を七歳で覚え、十歳になると世間一般の治癒士が必要最低限としている治癒術を覚え、使えるようになった。


 両親や親族は大喜び。

 エンジーも当時は、快活な少年で、家族に言われるまま治癒を行い、「神童」ともてはやされていた。

 友人も多く、婚約の話もたくさん舞い込んでくる。

 少女たちから、顔を赤くしてアプローチされて嬉しくないはずがない。


 そんなエンジーだったが、増長することなく、知識と技術に貪欲だった。

 父にお願いして魔導書を買ってもらい、毎晩読み耽った。

 翌日、眠くても、親族の誰かが怪我をすれば治癒を行い、親族の知り合いが困っていると聞けば相手のもとへ行って治癒をする。


 友人はもちろん、友人の家族が怪我をすれば、喜んで治癒をしていた。

 誰かを助ける力を持っていることを誇らしく、神から与えられたギフトだと思い感謝していた。


 ――良くも悪くも、エンジーは純粋だった。


 しかし、そんなエンジーが衝撃を受ける出来事があった。


 家族が、金貸しをしていることを知った。

 厳格な父と、厳しくも優しい母が、エンジーを利用し、高額な治療代を請求していることを知った。

 お金を受け取っているなどと夢にも思っていなかったエンジーには衝撃だった。


 だが、エンジーの不幸は続く。


 大切な友人たちが、偽りの友人だったと知った。

 エンジーの友達だから家族が無償で治療してもらえる。

 知り合いをエンジーに無償で治療させ、金稼ぎをしていた。


 好意を抱いてくれていた少女たちが、婚約を申し込んでいた家が、すべてエンジーではなく、「治癒士」を求めていただけだった。


 エンジーは、今まで信じていたものが壊れていく音を聞いた気がした。

 せめて、両親だけでもエンジーをひとりの息子として受け入れてくれていればよかったのだが、「エンジーは金のなる木だ」と両親が笑っているのを聞いてしまったのだ。

 兄弟姉妹の結婚話も、エンジーが治癒士になることが決まっているから決まったらしい。


 エンジーは、治癒士になることが夢だった。

 今は、治癒を使えるだけの人間だが、いずれはたくさんの人を救いたいと夢を抱いていた。


 ――しかし、エンジーの心は折れてしまった。


 人が怖くて目を見ることができない。

 人を信用できない。


 人間不信になってしまったのだ。


 エンジーはそんな自分が情けなくなり、化粧をし、別の人間になろうとした。

 奇抜な人間になれば、誰も近寄ってこないと思ったのだ。

 目だって合わせなくて済む。


 これが正解だと、考えていた。




 ――しかし、レダ・ディクソンと出会ったことで、その考えを改めることとなった。





 エンジーは幼い頃から治癒士としての力がすごかったです。

 きちんと育っていれば、一角の治癒士になっていたでしょう。

 現在も、十分、実力はありますが、過去が足を引っ張っている感じです。


 コミカライズ最新9巻が発売となりました!

 何卒よろしくお願いいたします!

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ