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28「朝の診療所」②





「ディクソン様、奥方様、おはようございます」

「お、おお、おはようございま、す!」

「おはようございます、ディクソン様、皆様」


 診療所が開く三十分前に、弟子候補であるポール・ジョーン、エンジー、アメリアが診療所にやってきた。


「おはよう、みんな。よく眠れましたか?」


 彼らは、移住用に建てられている共同住宅をひとつ提供され、そこで生活を始めた。

 ポールの妻ブリトニーも、共同住宅にいる。

 部屋の数はまだ余っているので、いずれユーヴィンからこちらにくるであろうルルウッドやシュシュリーも共同住宅で暮らす予定だ。


 レダは元とはいえ伯爵家の当主だったポールはもちろん、立場を隠しているが貴族の子供であるエンジーを共同住宅で生活させていいものかと悩んだが、本人たちは気にしていなかった。

 また、結婚前の少女であるアメリアが男性たちとの共同生活ができるかも不安だったが、そちらも問題なかった。

 ポールたちはあくまでも弟子として扱ってほしいと願い、レダは彼らの気持ちを汲んだ。

 それでも、気にはなる。


「宿屋を覚悟していましたので、住まいを提供いただけて、しかも妻まで……至れ尽くせれりで感謝しています」

「ど、どど、どうもありがとうございます!」


 ポールが嬉しそうに言葉を紡ぎ、エンジーが勢いよく頭を下げてお礼をいった。


「いえ、お礼はティーダ様に言ってください」

「あの、ディクソン様」

「アメリア? どうしましたか?」

「その、お掃除をしたようですが……」


 アメリアは掃除したての診療所に気付いたようだ。


「ええ、まあ。毎日掃除をしているんですよ。患者さんが来るのに、汚かったら嫌でしょう?」

「いえ、そうではなく! そのようなお仕事は弟子となる我々にお任せしていただければ!」


 アメリアの言いたいことをレダは理解した。


 弟子入りした人間は、師匠から学ぶと同時に雑務をすることが多い。

 言い方は悪いが下働き扱いだ。

 おそらくアメリアは弟子入りをするのだから、そのような扱いを望んでいる様だが、レダとしては下働きとして扱うつもりは微塵もない。


 人を使うことに慣れていないということもそうだが、自分でできることは自分でしたほうが早いし、なによりもレダ自身が任された診療所なのだ。

 愛着があるし、思い入れもあるこの診療所を、自分の手で綺麗にしたい。

 診療所とこの町に住まう人たちへの感謝を込めているのだ。


 それらのことをやんわりと告げると、アメリアは祈る様に手を合わせ感動してしまった。


「さすが、レダ・ディクソン様です!」

「……なんだかなぁ」

「この女……反応が大袈裟ねぇ」


 レダが苦笑した隣で、ルナがアメリアを変な生き物でも見るような目で見ていた。





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