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27「朝の診療所」①






 朝食を終えたディクソン一家は、それぞれ動き出した。


「お父さん、いってきまーす!」

「いってらっしゃーい!」


 ミナは数日ぶりの学校に笑顔で登校した。

 長い時間、大変だったので数日くらいゆっくりしていいと言ったのだが、ミナ本人がアムルスにいる友人たちと会いたいということから学校へ小走りで向かった。

 そんな愛娘を頬を緩めて見送るレダは、


「よし!」


 と、気合を入れて診療所に向かう。

 久しぶりの診療所の独自の匂いが、改めてアムルスに帰ってきたことを自覚させてくれる。


「はい、パパ。新しい白衣よぉ」

「ありがとう、ルナ」


 ユーヴィンに向かう前と同じように、妻のルナも診療所にいてくれる。

 彼女はモップを持って、同じく妻のヴァレリーと一緒に診療所の掃除をしている。

 患者の大半が怪我人のため、毎日衛生面を気をつける必要がある。

 治癒士の中には、汚れた怪我人を建物の中に入れないことはあるようだが、レダはそんなことはしない。

 それゆえに、掃除は念入りにしている。


「ヴァレリーも助かるよ。でも、今日はティーダ様たちとお会いになるんじゃなかったっけ?」

「お昼過ぎに向かいますわ。もしかしたら、あちらで泊まるかもしれませんので、夕食は気にせず召し上がってください」


 領主の妹であるヴァレリーは、領地運営に口を出すことはしないが、兄の手伝いをしている。

 領主ティーダには腹心が数人いるが、彼らは領地の開発の指揮をしているため、書類仕事や商人や付き合いのある貴族などの応対は彼の妻や、妹のヴァレリーが手伝うことが多かった。


 アストリットは、昼食の準備をしてくれている。

 支度を終えると、診療所の受付などを雑務を嫌な顔を一つせずに引き受けてくれる。

 レダの妻である前に、王女であるアストリットは、ヴァレリー同様に領地に関しての話に積極的に関わることはない。

 望まれれば力を貸すことはあるが、アストリット自身も王家の越権行為になると理解しているため、出しゃばることはしない。


 そして、ナオミは冒険者ギルドに向かっている。今は、ローデンヴァルト辺境伯家と専属契約しているため、アムルスの冒険者として周辺のモンスターの駆逐、開拓の手伝いなどをしている。

 特に、幼さを残す肉体からは想像できない膂力を持つ彼女は、開拓面でも大いに役立っている。


 母フィナは冒険者ギルド職員と仲良くなったようで、ギルド在中の治癒士として仕事をすることとなったらしい。

 診療所に連れてくる余裕のない患者を見ることができる治癒士がいるだけで、冒険者は安心できるだろう。

 怪我をしないことは一番だが、万が一に備えておくことは至極当然のことだ。

 死んでなければ、母フィナならなんとかしてくれるだろう。


「よし。じゃあ、掃除を頑張ろうか!」


 レダも雑巾を持ち、患者が座る椅子を磨く。

 一通り、掃除が終わると、レダたちは手洗いをする。

 ルナは、診療所を憩いの場にする人たちのためにお茶とお茶請けの用意を始める。


「じゃあ、ルナ、ヴァレリー、今日も一日よろしくね!」

「もちろんよぉ」

「はい、頑張りましょう!」





 日常の始まり。


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