13「魔王と四天王と勇者」①
「よりによってシェイプか」
「はい。魔王様の忠実な下僕です」
ローブを脱いだシェイプは、凹凸のついたグラマラスな肉体を持つ二十歳ほどの女性だ。
ボディーラインがくっきり出る肌に密着しながらも、背中が大きく露出した衣服を身につけている。
「勇者ナオミ・ダニエルズが魔王城で暴れた時に、私は死んだが……お前は無事だったのだな」
「……魔王様には申し訳ないのですが、四天王はみんな無事です」
「にゃーん!?」
まさか勇者と戦い死んだのが自分だけとは思わなかったノワールは、大きく鳴いた。
シェイプは少し気まずそうに説明を続けた。
「私を含め、四天王も、魔王軍も頑張りました。それこそ死ぬ気で頑張ったんです。しかし、勇者ナオミ・ダニエルズは、我々を路肩の石で見るように! おのれ、あの目は忘れられません!」
「……我も路肩の石のように扱われたかったにゃーん」
「魔王様?」
「あ、いや、なんでもないぞ。続けて、続けて」
にゃーん、と泣いてノワールは先を促した。
「魔王軍の立て直しを図っているのですが、誰も彼もナオミ・ダニエルズにトラウマを負ってしまい……主要人物たちは引きこもっています」
「うわー」
「そういう私も、先日までナオミ・ダニエルズの一撃を思い出しては失禁することを繰り返していました。小さいとはいえ魔王様の魔力をたどり、なんとか人間の国に来ましたが……正直、足が震えて止まりません。ふふふ、笑ってください。もう私は勇者だけではなく、人間が怖いのです!」
「わかるにゃぁーん」
シェイプと違い、勇者ナオミ・ダニエルズとガチな戦闘を繰り広げた魔王ノワールが受けた衝撃と恐怖はかなりのものだ。
ノワールも、魔王の肉体を失い、子猫になった時には驚いた。
幼女に育てられる第三の人生もいいと思い受け入れたが、まさか拾われた先にトラウマである勇者ナオミ・ダニエルズがいるとは思わなかった。
慣れるまで何度も失禁しては、ご主人様に笑顔で世話を焼かれてしまう日々だったが、ようやく慣れてきた。
――しかし、こうして四天王と一緒にいるところを見られたら抵抗の意志ありと判断して処されないだろうか?
レダ・ディクソンのおかげで全体的に丸くなったというか、人間らしくなったナオミだが、弱くなったわけではないのだ。
ノワールは、再びナオミと戦うことを想像し、身震いした。
「……ノワールはなにをしているのだ? 一緒にいるのは、彼女か!?」
突如、ノワールとシェイプの背後に、今、一番聞きたくない声が響いた。
ふたりは背後をゆっくり振り返り、仲良く失禁した。
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