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おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ 〜中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる〜  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
六章

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7「死者蘇生」③





「――というわけだ、レダよ。君が誤った使い方をするとは思わないし、仮にしたとしても止めてくれる人間が傍にいることも知っている。だが、蘇生魔術は扱いを間違えると、いずれ破滅を招く可能性がある」

「そう、だね」

「もちろん、過去の人間が愚かなだけであり、現在を生きる人間たちは賢いと信じたい。しかし、治癒士たちの今までを見ていると、軽々しく問題ないとは口が裂けても言えないのだよ」


 ノワールの言葉は実に説得力があった。

 本当に数ヶ月前まで、治癒士が治癒を施すには高額な治療費が請求された。

 その治療費を払えず、亡くなった者も多い。


 レダの存在、アマンダの活動によって、少しずつ改善してきてはいるが、まだ完璧に治癒士が民に寄り添えていると断言できない。

 そんな状況下で死者蘇生などの魔術が使えるとなれば、仮にレダしか使えなかったとしても、治癒士の選民思想が強くなる可能性がある。


「俺は誰かに死者蘇生のことを伝える気はなかったけど、俺自身も写本には目を通さないようにしておくよ」

「それがいいわ」


 レダは死者蘇生の危険性を理解し、封じることを決めた。

 アストリットが、彼の手に手を重ね肯定する。


「待ちたまえ。レダは少し誤解している。私は、死者蘇生を手に入れるなとは言っていないのだよ」

「え?」

「危険性は訴えたが、使い方を誤らなければいいのだ。そもそも、レダに使えるかどうかもわからぬ。知識だけあっても、使えなければ、余計なことを心配しても仕方がない。無論、伝えないように気をつける必要があるが、ね」


 ノワールはレダにウインクをする。


「もし、もしだが、仮にレダが死者蘇生を使えるほどの素質を持っているのなら、先人の魔術を継承し、正しく使うこともひとつの選択肢であると思える。こればかりは、君が決めることではあるかな」


 ただ、とノワールは続けた。


「個人的なことを言わせてもらうと、君の素敵な家族に万が一の時があったら……ひとつの選択肢が大きくその後を決めることとなる。無論、万が一などなければいいが、私がそうであったように、何が起きるのかわからないのが生なのだからね」

「――ありがとう、ノワール」

「ふふっ。構わないさ。私も家族の一員として、力になれたのであればよかった。個人的にも、死者蘇生は私の魔王時代の研究テーマのひとつだったので興味深くもあるのだがね」


 極力、話が暗くならないように気を遣いながら話をしてくれたノワールのおかげで、レダは冷静さを取り戻すことができた。

 ここ数日、多くのことがあって疲労が溜まっている。

 そんな中、難しいことを考えてもいい判断はできない。


「アムルスに戻ってからちゃんと考えるよ」


 そういう結論となった。






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