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おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ 〜中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる〜  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
六章

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6「死者蘇生」②





 元魔王ノワールが『この世界に転生したよりも遥昔』――死者蘇生を行う蘇生魔術は当たり前として存在していた。


 死んでから数時間以内ならば、蘇生できる蘇生魔術。


 高度の術者という限定ではあるが、使える者はいた。

 だが、死者蘇生が存在する時代において、人の命はあまりにも価値がなかったのだ。



 まず、「死んでも生き返らせればいい」という考えが生きる者たちにあった。

 冒険者は無謀なことを行い、死んでは生き返り、多くのダンジョンを攻略し、未開の地を開拓した。


 奴隷は死んでも生き返らせればいい。

 死ぬことさえ許されず、死んだ方がマシだと思われることをされ続けた奴隷がいた。

 老若男女が、権力者に弄ばれ、自害しても蘇生させられ、物として扱われた。


 無論、絶対的に蘇生できるわけではないので死ぬ者も多かった。


 いや、「死」を克服できたと傲慢になった人間たちには、多くの「死」がまとわりつくこととなる。


 だが、気づかない。

 気づけない。


 目の前にある「死」から目を背け、命を軽んじ、「どうせ生き返るから」と言い訳をして命を犠牲にする。


 術者は金持ちとなり、一国の王や貴族でさえ傅くほどの権力を得た。

 すると冒険者などから足を洗い、いい暮らしをするようになる。

 自分たちが選ばれた人間だという「選民思想」が根付き、蘇生に多くの金を取るようになる。


 すると、多くの者が死んだ。

 蘇生費を払えない者は、そのまま死ぬ。

 家族が借金のせいで奴隷になり、死んだ方がマシだという目に遭う。


 死者蘇生は特権階級の者のみに許さるようになった。

 庶民はもう蘇生できない。

 それでも、人間の感覚は変わらない。

 金があれば「死」から逃げられる、と。


 だが、蘇生魔術にも限界はある。

 怪我で亡くなったのであれば、治癒をすればいい。

 病で亡くなったのであれば、病を治せばいい。



 しかし、老いて亡くなった者を蘇生させることができなかった。



 為政者は「死」を超越したい。

 誰だって「死」は怖い。

 だが、死者蘇生も絶対ではなかったことを知り、絶望した。


 ここで考えを改めることができれば救いがあっただろう。

 だが、当時の人間は改めなかった。

 むしろ、「死」から逃れられないのであれば生きている間に好きにしようという考えに至ってしまったのだ。


 結果、為政者たちは圧政を敷き、民が苦しい時代となる。

 そして、叛逆され、殺される。

 その繰り返しを何代も行い。

 結果、多くの国が滅んだ。


 ――死者蘇生という魔術と共に。






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