52「アマンダの提案」③
「俺に、師事ですか? それって、俺がなにかを治癒士さんたちに教えるってことです、よね?」
「もちろんです。レダさんの功績は王都にまで響いております」
「功績って」
なにか特別なことをした記憶がないレダは、首を傾げるが、アマンダは鼻息荒く続ける。
「患者ならば誰でも見捨てず治療し、町では慕われる人気者! 辺境伯に認められ、いいえ、王家にまで認められて伯爵令嬢と王女様まで娶ってしまう! それでいながら、偉ぶることなく変わらぬ治癒士としてあり続ける!」
「いえ、あの」
「しかも、ヒールの回復量は他の治癒士と一線を画し、他にも上級回復魔法を使いこなすだけではなく、攻撃魔法まで使うことができる! 治して良し、攻撃して良しと万能! これほどの治癒士は大陸のどこを探してもいません!」
アマンダの猛烈な「よいしょ」にレダは困惑して頬を掻く。
褒めてもらえるのは嬉しいが、なんだかアマンダの中で自分がすごいことになっているようで、正直困る。
「あのですね、アマンダさん。俺は治癒士として当たり前のことをしているだけで」
「そのあたり前のことができない治癒士が多かったのですから、あなたは胸を張るべきです」
アマンダはレダにはっきり言った。
「レダさんのいいところは、その謙虚さだと思います。そんなところに奥様たちも惹かれ、街の人たちも信頼していると思います。ですが、胸を張ってください。あなたはすでに多くの命を救っているのです。命を奪うことは簡単ですが、命を救うことはとてつもなく困難です。あなたはこのユーヴィンでも多くの命を救いました。偉そうにしろと言う意味ではありません。ですが、どうか自分のしたことを他ならぬご自身が認めてあげてください」
「……アマンダさん」
「私がなにを言うんだって感じではありますが、レダさんに感謝している人は多いです。今後も増えるでしょう。レダさんが自信を持ってくだされば、もっと多くの方が助けを求めやすいと思います。ですから、ぜひ、胸を張ってください」
「……はい。頑張ってみようと思います」
控えめだが、レダは頷いた。
彼女の言うことは理解できる。
つい謙遜してしまうのがレダの悪癖であるということもルナたちに指摘されているので、治さねばとも思っていた。
だが、癖というのはなかなか治らない。
なんとかしたいものだと、癖を治療したいと思う。
「さて、レダさんに師事を希望する治癒士ですが、なにも一から教えてほしいというわけではありません。現場に出て問題ない技術はありますので、治癒士としてのあり方を……違いますね。ちょっとミーハーな部分があるのも確かです。今、話題のレダさんの弟子に、ぜひなりたい、そんなところですね。気軽に考えていただければいいと思います」
「はぁ」
一体、自分は王都や治癒士の間でどのようなことになっているのだろうか、と少し不安になるレダだった。
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