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おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ 〜中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる〜  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
六章

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36「ユーヴィンの街とダンジョン」





 ユーヴィンの街から、北に向かうと深い森があった。

 特に名のない森ではあるが、ローデンヴァルト伯爵領の中では強い魔物が出ることで知られている。もちろん、魔族領と隣接するアムルスの町のほうがモンスターや危険度は遥かに大きい。それでも、ユーヴィンに住まう人々や、冒険者たちにとっては大きな脅威である森だった。


 その森にダンジョンが隠されている、とされていたのは過去の文献から始まった。

 高名な冒険者の手記に、まだ発見されていないダンジョンの話がある。

 見つけたが危険だから世に知られないように隠されたダンジョンもあれば、ダンジョンがあるとわかっていても近づけなかったものもある。

 当たり前だが、昔の人間の手記には誇張が含まれているので鵜呑みにすることはできない。だが、ときどき事実だと信じた結果、本当に大発見をして富と名声を得る者がいることも事実だ。


 ローデンヴァルト伯爵領にあるユーヴィンに街周辺にも、ダンジョンの噂は古くからあった。冒険者の手記にも書かれていたこと、代々ローデンヴァルト伯爵領に暮らす人々の口伝で伝わってもいた。

 しかし、事実と確認されておらず、また確認するにも多くの手間がかかる。

 歴代の当主たちは、領地の発展を第一に考えていたので、冒険者のように夢を追い求めるようなことはしなかった。


 そんなユーヴィンのダンジョンの存在を信じ、探そうとしたのが冒険者ギルドの『元』長であるベニーだった。

 彼がどこでその情報を得たのか不明ではあるが、いくつかの文献、住民からの情報から、ダンジョンがあると確信したようだ。


 ベニーは自分の名前をダンジョン発見者として後世に残したかった。

 その野望は理解できるが、ダンジョンを探す手段を間違えた。

 ダンジョン発見を自分だけの功績にしたかったベニーは、ローデンヴァルト家へ相談することなく、独自で行った。それだけながらまだ良かったのだが、冒険者を使い潰したのだ。

 まるで自分に害がなければ知ったことがないというように、利用し続けた。


 結果、多くの冒険者が命を落とし、再起不能になり、また利用できなくなった者は秘密裏にその身を売られてしまった。

 この時点でベニーは犯罪者であり、縛り首が間違いないのだが、彼にとって幸いであり、他の人間にとって不幸だったのは、ベニーの行動が明るみに出なかったことだ。

 ある意味、卑怯な男ゆえ、情報面には気を遣っていたのだろう。


 しかし、結局のところ、いつまでもベニーの企みがユーヴィンの外に漏れないこともなく、領主ティーダにバレてしまう。

 生きてこそいるが再起不能になってしまった冒険者の全てを、レダとユーリが治療してしまったことも誤算だったのだろう。

 強硬手段を取っても、相手に勇者ナオミがいたことも運が悪かったと言うしかない。


 結論を言えば、ベニーの企みは完膚なきまでに潰えた。


 そもそも、ユーヴィンの北の森にダンジョンはあった。それは間違いない。だが、魔王が私物化しており、長年放置されていたダンジョンだった。お宝はあるかもしれないが、その危険はダンジョンを探すことよりも大きい。

 なによりも、魔王の魔力といくつかの封印を解かなければ、見つけることすらできないようになっているのだから、結局ベニーにはダンジョンを見つけられなかったのだ。


 そのことを知ったベニーは、絶句したのは言うまでもない。

 手に入らないものをずっと追い続けて、悪事を続け、捕まったのだ。

 ベニーにプラスになることはなにひとつとしてなかった。

 せめてダンジョンの存在を、ひとめダンジョンを見たいとティーダに懇願したベニーだが、そんな願いが聞き入られるはずもなく、彼は追い求めたダンジョンを見ることさえできない。


 だが、ベニーの名は残るだろう。

 愚かな男として。





 ちょっとお話を整理というかまとめです。

 次回、ダンジョンへ向かいます。


 コミック6巻は4/14発売となります!


 何卒よろしくお願いいたします!


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