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おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ 〜中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる〜  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
六章

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16「ユーヴィンの現状」④




 ギルド長がユーヴィンの街を支配している人間だと聞かされるも、さすがにレダたちはマールドの言葉を鵜呑みにすることはできなかった。

 しかし、テックスだけが、神妙な顔をして頷く。


「ベニーは若い頃は新人狩りをするような奴だったんだが、悪さを隠すことが上手くてな。ただ、仲間内にはとことん親身になるし、いい条件の依頼も回してくれるんで、敵も味方も半々ってところだ。なにかやらかして左遷されたって聞いていたが、まさかこんな近くにいるとは思わなかったぜ」

「ベニーギルド長を知っているのか、テックス?」

「ま、俺は仲が悪い側だったがな。冒険者をやめてギルド職員になったベニーと相性が悪くてねぇ。害はなかったんで放っておいたんだが、昔と変わらずこそこそするのが得意のようだ」


 マールドの言葉は鵜呑みにできずとも、信頼あるテックスの言葉ならティーダだけではなくレダたちも受け入れやすかった。

 しかし、だとすれば大事件だ。

 領主が街の運営を任せた貴族を悪者にして、私欲を満たそうとするギルド長。

 ことが公になれば、ギルドの名は地に落ちるだろうし、ティーダの評判も悪くなるだろう。

 今回の一件で、大なり小なり関係者が信頼を失うのは間違いない。


「ベニーがギルド長の役職に着いたのは五年前だった。ちょうど父が引退を決め、私に代替わりした頃だ。当時はまだ、マールドにユーヴィンを任せてはいなかったな」

「僕は四年前に、この街を任されたよ」

「覚えている。だが、その時も、一年前に視察に来た時も、冒険者の数と負傷者、スラムが広がる街を覚えているが、ここまでではなかった。その時、マールドともベニーとも対策をするべく話をしたはずだ。この一年になにがあった?」


 ティーダは、一年前のユーヴィンを思い出す。

 冒険者が年々増えているせいで、荒くれ者が同じように多くなったことを問題にしていた。

 また負傷者が多すぎて、治癒士の限界が訪れ、結果――治療できなかった負傷者に恨まれて殺害された事件が起きて以来、ユーヴィンに治癒士が派遣されなくなった。

 ただ、商人が多く行き来するようになりマイナスな面だけではなく、街は間違いなく活気付いていた。

 もちろん、冒険者の親を失った子供や、冒険者業を維持できなくなった者も増えたが、それはどこの街でも同じだ。

 少しずつ解決していくしかない。

 そのひとつとして、アムルスの町を大きくし、完成した暁にはユーヴィンから移住者を募ろうと考えていたのだ。

 ティーダはなにもマールドにユーヴィンを丸投げしたわけではない。

 ユーヴィンのためにこそ、アムルスを受け皿として完成させようと全力だったのだ。






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