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おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ 〜中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる〜  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
六章

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2「領主様のお願い」②




 レダの回復魔術は他の治癒士と一線を画していた。

 部位欠損さえ当たり前のように治してしまうレダの技量は、冒険者に活力を与えた。

 なによりも周囲を驚かせたのが、治癒士には滅多にいないお人好しだったのだ。

 お金はいいです、と無償を申し出てくれたレダに、誰もが「あとでなにか要求されるのではないか?」と警戒もした。


 しかし、レダはそんな住民や冒険者の心配をよそに、片っ端から怪我人を治し、病人を癒し、老人の腰痛肩こりまで治療する。

 偉そうにもせず、患者のもとへ自ら足を運び、アムルスの住民として認められようと一生懸命だった。

 すぐに住民たちはレダを信頼した。

 回復魔術の腕もそうだが、娘を心から愛して育てる姿を見ていれば、善人だと誰もが理解できたのだ。


「アムルスにはレダがいた。そして、ネクセンとユーリもいてくれた。だが、ユーヴィンには誰もいない。」

「誰もって、ひとりも治癒士がいないんですか!?」

「残念ながら、いない」


 アムルスがそうであるように、冒険者が多いのなら、さぞかし怪我人も多いはずだ。

 だが、怪我人を治療する治癒士がいないのは大問題だ。

 驚き、目を見開いているレダに、言いづらそうにネクセンが口を開く。


「レダ、実を言うと……俺は、アムルスではなくユーヴィンへの派遣を打診されていた」

「そうなの?」

「実は、僕も」


 ネクセンとユーリが、ユーヴィンに行く可能性があったことに、レダはさらに驚く。

 だが、こうしてふたりがアムルスにいる以上、打診を断ったということだ。


「回復ギルドも、治療代に関してさておき……中には真っ当な治癒士もいる。いや、真っ当な治癒士でなくとも、街にひとりも治癒士がいないのは問題に思ったんだろう。だが――ティーダ様には申し訳ありませんが、断らせていただきました」

「僕も。魔法は使いたいけど、自分を犠牲にするつもりはなかった」


 ネクセンとユーリが申し訳なさそうに頭を下げる。

 同じ領地にある街でも、賑わうユーヴィンよりも、発展途上のアムルスをふたりが選んだのだ。

 そんなふたりに、ティーダは気にしていないと手を振った。


「いや、いい。気持ちはわかる」

「どういうことですか?」


 なぜ、と疑問を浮かべるレダに、ティーダは苦虫を噛み潰したような顔をして告げた。


「ユーヴィンでは、治癒士が何人も殺されているんだ」


 同僚たちがユーヴィンの派遣を断った理由を、レダは十分に理解した。






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