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おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ 〜中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる〜  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
六章

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7「手紙と驚きの内容」②




「ちょっとパパ!? どういうこと!? ミナの母親が見つかったって、なんで国王のおじさんがそんなことを手紙で!?」

「ちょ、ちょっと待ってくれ」


 動揺するルナを落ち着かせ、レダは手紙を読み進めた。

 そして、ルナ以上に動揺してしまう。

 額から汗が伝い、顎を濡らす。


「――そんな馬鹿な」


 手紙に書かれていた内容はとてもじゃないが、信じがたいものだった。


(ミナの母親が聖女様? しかも、今、この町に向かっているって、どういうことだよ!?)


 心臓の音がやけにうるさい。

 手紙を持つ手が震えてしまう。

 ルナの母親が現れたときは、心の準備をする間もなかった。

 しかし、今回は違う。

 レダ自身、ミナの母親を探していたというのに、なぜこうも不安なんだろうか。


(――そうか。俺は、今のみんなの関係が崩れてしまうことが怖いんだ。ミナの母親がどんな人なのか知らない。だけど、引き取りたいと言われたら、俺はどうすればいい?)


「おとうさん?」

「パパ!」

「……すまない。驚いちゃったんだ、ごめんごめん」

「それで、ミナの母親はどんな人なの?」

「え? わたしの、おかあさん? え? どうして?」


 レダとルナが受け入れ難く動揺しているように、ミナもまた驚きを隠せていないようだ。


(思うことはたくさんある。だけど、ミナにとってはいいことだ)


「ミナ」

「お、おとうさん?」


 レダは娘と目の高さを合わせ、ゆっくりと告げた。


「ミナのお母さんが見つかったんだ」

「え?」

「そして、この町に来るそうだよ」

「……どうして?」

「どうして、って、それはミナに会いにくるためだよ」


 まさか「どうして?」と返されるとは思わなかった。

 少し驚いたが、伝えるべきことをミナに伝えなければならない。


「で、でも、わたしにおかあさんはいないって」

「うん。ずっと探していたけど、見つからなかったから。だけど、いたんだ。ミナ、よく聞いて。お母さんがいたことは喜んでいいことなんだよ」

「――や」

「ミナ?」

「いや!」

「ど、どうしたんだ、ミナ?」


 突然の拒絶にレダが驚いた。

 まさか母親の存在を嫌がるとは思わなかった。

 ルナの母であるエルザが現れたときだって、ふたりの仲がよくなることを願っていた子が、まさか自分の母親を拒むとは思いもしなかったのだ。


「わたし、このままでいい! おとうさんたちだけでいい!」


 大声でそう言い放ったミナはレダに背を向けて走り出してしまう。


「待つんだ、ミナ!」


 レダが手を伸ばすが、娘を止めることはできなかった。

 追いかけようとするレダの腕をルナが掴む。


「落ち着いて、パパ。あたしに任せて」

「だけど」

「あたしだって突然ママが現れていろいろ動揺したし、悩んだりしたんだからミナの気持ちはわかるわ。それに、お姉ちゃんらしいことをさせて」

「――頼む」

「お任せ!」


 ルナは笑顔を浮かべると、地面を蹴って妹を追う。

 彼女の足ならミナに追いつくことは容易いだろう。

 それに、レダと違い、血を分けた本当の姉妹だ。話もしやすいだろう。


 この場で娘たちが帰ってくるのを待ちたかったが、診療所での仕事がある。

 レダは唇を噛みしめ、診療所の中に入っていくのだった。





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― 新着の感想 ―
[良い点] 7「手紙と驚きの内容」② 更新ありがとうございます。 また、300話更新、おめでとうございます。 [気になる点] 『それに、レダと違い、血を分けた本当の姉妹だ。話もしやすいだろう。』 …
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