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おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ 〜中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる〜  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
五章

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25「アンジェリーナの来訪」①




 気まずい雰囲気の中、診療時間が終わり夜を迎えた。

 診療所の戸締りを終えたレダは、ひとり診察室で白衣を脱いで、肩の力を抜く。


「今日は大変だったなぁ」


 まさかネクセンのプロポーズが失敗するとは思わなかった。

 もちろん、相手が受けるか受けないかは自由だが、友人として成功することを祈っていただけに残念でならない。

 ネクセンの落ち込み様は相当で、レダたちはもちろん、患者たちでさえなにかあったのかと尋ねてくる始末だった。

 それでもミスひとつしなかったのは、さすがだ。


 あれだけネクセンのプロポーズにはしゃいでいたルナでさえ、力なく項垂れるネクセンに気を遣って静かにしていたくらいだ。

 まだ恋愛に疎いミナも、彼がうまくいかなかったのだと察して悲しげな顔をしていた。

 ヒルデガルダは真っ直ぐな性格ゆえ、ネクセンを励まそうとしたが、逆効果になりかねなかったのでヴァレリーとアストリットが取り押さえる一幕もあった。


 すでにネクセンは帰宅している。

 いつものように夕食に誘ったのだが、断られてしまった。

 今はそっとしておいたほうが彼のためなのかもしれないと考え、レダはそれ以上彼を引き留めなかった。


「ねぇ、パパぁ」

「ルナ?」

「おとうさん」

「ミナも」

「私もいるぞ」

「ヒルデまで、どうしたの?」


 診察室を覗く三姉妹に、レダは尋ねる。

 夕食の時間だと呼びにきてくれたのだろうか。

 今日は何かと精神的に疲れたので、食事を終えて、シャワーを浴びたら酒を飲んでぐっすり眠りたい気分だった。


「ご飯の支度ができたんだけどぉ……その前に、お客さんよぉ」

「すでに二階に通してある。なんなら、一緒に食事でもと思ってな」


 ルナとヒルデがそう言ってくれたが、レダには訪問者がわからなかった。


「誰がきたの?」

「アンジェリーナおねえちゃんだよ!」

「アンジェリーナさんが? ――あれ? ていうか、三人ともアンジェリーナさんと面識あったっけ?」


 先日の急患の一件では、ネクセンとユーリで対応したので、ルナたちは顔を合わせていないはずだ。


(――嫌な予感がする)


 恐る恐る娘たちを伺うと、彼女たちはにんまりと笑った。


「あのねぇ、パパの童貞を奪おうとした女を、あたしたちが放っておくわけないじゃないのぉ」

「うむ。次の日には、娼館に乗り込んだぞ」

「楽しかったよー」

「なにしてんの君たち!?」


 予感的中。

 父親が足を運んだ娼館に乗り込んだ娘たちとか、ありえない。

 そもそも付き合いというか、無理やり連れてかれただけだし、娼館でも人助けしかしていない。


(俺は悪いことはしていない……と、思う)


 口に出さないのは自信がないからだった。


「心配することはないぞ。未遂で済んでいたので私たちもことを荒らげるつもりはなかった。今ではよき友人だ」

「……友人て」

「あのね、あのね! わたし、よくわからないけど、おねえちゃんたちはいろんなことをアンジェリーナおねえちゃんから教えてもらっているんだよ! わたしも大きくなったらお勉強するんだ!」

「勉強?」

「あ、こら、ミナ! それは秘密だって言ったじゃない!」


 ミナの言う勉強がどのような意味だかわからなかったが、ルナの慌てようからしょうもないものだと察した。


「――ルナ、ヒルデ、どんなことを教えてもらっているのか言いなさい」

「そ、そんな怖い顔をするな」

「そうよぉ。悪いことなんてしてないわぁ。ちょっと、男の人の悦ばせ方をレクチャーしてもらったっていうかぁ、ナンバーツー娼婦のテクを伝授してもらったっていうかぁ」

「……本当になにしてるの」


 予想より斜め上なことを学んでいた娘ふたりに、レダは呆れてしまう。

 どうせルナたちが教えてほしいとアンジェリーナにお願いしたのだろうが、良識ある大人としてできれば断ってほしかった。


「い、いいじゃない! パパに喜んでもらうためよ!」

「安心しろ、レダ。私たちは、レダ以外の誰かを相手にしたいなど思っていない。ただ、テクニックを学び、レダを喜ばせたいという一心なのだ」

「それのどこに安心する要素があるんだよ!」

「おとうさん」

「……唯一の救いは、ミナが関わっていないことだよ。本当によかった」

「いつになったらわたしも、テク? を、教えてもらえるのかな?」

「ミナはそんなもん覚えなくていいです!」





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― 新着の感想 ―
[気になる点] えっと、最後のミナのセリフがカンでるのは気にしなくても・・・? レダの未来は明るいかも。
[一言] 誤字です >「いつのなったらわたしも、テク? を、教えてもらえるのかな?」 いくつになったら?いつになったら? どっちだろう?
[気になる点] >「――ルナ、ヒルデ、どんなべ今日を教えてもらっているのか言いなさい」 べ今日・・・勉強でしょうか?
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