↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ 〜中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる〜  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

209/708

34「レダと国王」①




「――え? ええっ!? うそ、国王様? 本物?」

「無論、本物である。今日はお忍びで参られた」


 ザルドックの言葉にレダが唖然とした。

 誰が、こんな辺境の町の、小さな診療所にわざわざ足を運ぶ国王がいるというのだ。


「と、ととととと、とりあえず、お、お座りください」

「うむ。すまんな」

「自分は護衛ゆえ、立ったまま失礼致す!」

「あ、はい」


 レダは緊張しながら、椅子に腰をおろした。

 患者用の椅子に、国王を座らせて向かい合っている状況に、頭が沸騰しそうだった。


(国王って、なんで? どうして? ヴァレリー様も事前に言ってくれればいいのに!)


 と、抗議しようと傍に立つヴァレリーに視線を向けると、彼女が笑顔のまま硬直していることに気づく。


(そっか。ヴァレリー様も、ヴァレリー様で、このよくわからない状況に驚いているんだな。……さて、話を進めないと)


「そ、それでですね、国王様が俺なんかにどんなご用件が?」


 恐る恐る尋ねたレダに、国王本人が答えた。


「アストリットのことだ」

「――っ」


 国王の言葉にレダが身構える。

 アストリットの冷遇はすでに知っている。

 国王であり、父親である彼は、彼女になにかしたわけではないが、同じくらいなにもしなかった。

 父親でありながら、娘の治療を早々に諦めてしまったのだ。


 キャロラインが懸命にアストリットを案じて治療方法を探していなかったら、彼女はずっと暗闇に囚われたままだっただろう。

 突然すぎる国王の来訪に驚いていたレダだったが、身を引き締め国王を直視する。

 ひとりの親として、言ってやりたいことは山のようにあった。


(たとえ不敬罪になったって言ってやる! じゃないと、アストリット様がかわいそうだ!)


 レダは勇気を振り絞って声を出した。


「俺は、あなたに言いたいことがあります」

「聞こう。なんでも言ってくれ」

「……では、遠慮なく言わせていただきます。どうして、アストリット様をお見捨てになったんですか! たとえ、傷が治せなかったとしても、もっと親として他に何かできるとはおもわなかったんですか!」


 レダは国王がアストリットを見限ったことが、とにかく気に入らなかったため、それを言わずにはいられなかった。

 声を荒らげたレダに対し、国王はもちろん、騎士団長さえ「不敬だ!」と責める気配はなかった。

 むしろ、表情を曇らせているように見えた。

 そして、返事を待つレダに向い、国王は、


「すまないと思っている」


 絞り出すように、小さな声を出したのだった。





がうがうモンスター(https://futabanet.jp/monster)様にてコミカライズが4話まで公開中ですので、ぜひぜひご覧ください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 多分、自分が手を尽くせばそれだけ他勢力を逆撫でするってジレンマだったんだろうな。 親心を示すことができない苦しい立場とも言える。
[良い点] 四章 34「レダと国王」① 更新ありがとうございます。 『(たとえ不敬罪になったって言ってやる! じゃないと、アストリット様がかわいそうだ!)』 一人の親(笑)の忌憚ない思いや意見と…
[良い点] レダが、自分のありのままの言葉を 国王に進言したのが良かったです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。