表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ 〜中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる〜  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

159/620

52「レダとニュクトの再会」①




 レダたちは、冒険者ギルドの屋上から、ナオミの活躍を見て安堵の息を吐いた。


「勇者っていうのはわかっていたけど、まさかあんなに強かったなんて思わなかったよ」


 困ったように苦笑いを浮かべるのはレダだ。

 先日、ルナを守ろうと戦いはしたが、かなり手加減をされていたのだとわかる。

 最初から、ナオミはレダなど瞬殺できたはずだ。

 しなかったのは、今ならわかる。

 彼女なりの優しさだろう。


「ていうかぁ、あたしと戦いたいとか言っていたけど、実力差がありすぎて死んじゃうから」


 ルナもまた苦笑いだった。

 それなりに場数を踏んで、実力があると自負しているが、ナオミほどじゃない。


「あたしと戦っても、ナオミは退屈したでしょうね」


 単純に強い人間となら、いくらでも戦いようがある。

 しかし、ナオミの強さは、ただ強いというわけではない。

 モンスターを一撃で数百体も屠ることができる力を使われたら、肉体的にはただの人間でしかないルナなど、同様に消し飛んでしまうだろう。


「ナオミおねえちゃん、つよーい!」

「なるほど。勇者とはよくいったものだ。まさに、勇者にふさわしい実力だ」


 感心しているのはミナとヒルデガルダだった。

 ミナは純粋にナオミの強さに心躍らせている。


 ヒルデガルダは、ナオミが勇者である由縁を納得していた。

 人とは基本スペックが違うエルフから見ても、ナオミの強さは凄まじい。

 集落一番の戦士と呼ばれていたヒルデガルダであっても、五千のモンスターにひとりで挑む勇気はない。


「あの子の強さには驚いたけど、これで町は大丈夫だな。出会いはさておき、ナオミが今日、アムルスにいてくれてよかった」

「ふん。別にあいつがいなくたって……なんてことは言えないわね。仮に、あたしや、テックスおじさんたち冒険者が全員で戦っても、間違いなく被害は出てたでしょうし」

「帰ってきたら笑顔で迎えてあげるんだよ?」

「はいはい。別にもう怒ってないから、そのくらいしてあげますよ」

「素直で結構」

「もうっ、茶化さないで! ったく、あたしも甘いわね。あの日、パパにあたしのことをいろいろ暴露したときは、なにがなんでもぶっ殺してやろうと思ったし、実際、パパの目を盗んでナイフ突き立てやろうとしてたけど」

「……そんなこと考えてたのか」


 ルナの行動力には呆れを通り越して感心してしまう。

 きっと返り討ちに合っていただろうが、当時はそれだけ怒っていたということだ。


「あの子って、馬鹿みたいに純粋なのよ。あたしを追いかけてきた理由だって、本当に戦いたかっただけみたいだし。一度は腹が立ったけど、もういいの」


 疑ってはいなかったが、先ほど、ナオミに許していると言ったことは事実のようだ。

 思い返せば、先日の誕生日も、ナオミからの誕生日プレゼントをルナは素直に受け取っていた。

 本当に怒っていれば、拒絶していた可能性だってある。


 ナオミに悪意がないことをルナもわかったのだろう。

 年長者としては、ナオミがルナに望んだように、ふたりがよき友人であってほしい。


「うんうん。ルナに友達ができてなによりだ」

「――ち、違うし! まだ友達じゃないから!」

「まだ?」

「もうっ、パパったら、やめてよね!」


 顔を真っ赤にするルナの頭をポンポンと撫でる。

 膨れっ面になってしまったが、大切な家族に友達ができることはいいことだ。

 それに、きっとナオミにとっても、友人は必要なのだと思う。


 強すぎる彼女には、守る理由は必要だ。

 愛する人がいればいい。

 いなくても、友達や家族がいるだけで、その力の使い方を誤ることがないだろう。

 レダは、不器用な少女の未来が、よいものとなることを祈った。


「さあ、俺たちもそろそろ俺たちにできることをしよう」


 きっと、冒険者ギルドに怪我人などが集まるはずだ。

 戦闘に早い段階で参加した冒険者や、自警団の人たち。

 逃げようとして、怪我をした住民たち。

 彼らを治す役目がレダにはある。


 戦場はナオミに任せ、レダが自分のすべきことをしようとしたその時、


「いいえー、レダにできることはー、死ぬことだけですー」


 空から、女の声が降ってきた。





がうがうモンスター(https://futabanet.jp/monster)様にて、コミカライズ連載スタートしております!

原作小説と一緒にお楽しみいただけると幸いです!

どうぞよろしくお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 三章 52「レダとニュクトの再会」① 更新ありがとうございます。 [気になる点] 『「いいえー、レダにできることはー、死ぬことだけですー」  空から、女の声が降ってきた。』 来たか…、…
[一言] 喪女、あいや魔女襲来。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ