表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ 〜中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる〜  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

145/621

39「念願のマイホーム?」②




「感謝なんて必要ないさ。むしろ、するのはこちらのほうだからね。さて、隣の空き家も改装し、医者と薬師用とする予定だ。隣接していれば患者も通いやすいんだろう」

「いい考えだと思います。患者が分散しなくていいですからね」


 雑貨店の中は決して狭いわけではないが、当初予定していた診療所に比べると半分ほどの大きさだ。

 治癒士が三人で働くことを考えるとちょうどいいかもしれないが、医者と薬師の部屋まで用意するのは広さ的に難しいと思えた。


 ティーダの提案通り、たとえ診療所がふたつに別れていたとしても、怪我人は治療士へ、病人は医者へいけばいいだけだ。

 怪我と病気を同時にしていても、診療所が隣接しているので問題ない。

 さらにいえば、怪我人と病人をわけることで診療所内の感染も避けることができるというメリットもある。


「欲を言えば、自警団もしくは冒険者が護衛として常に傍にいさせたかったので、もっと広ければよかったんだがな」

「護衛……つまり、また放火されるとお考えですか?」


 レダの疑問に、ティーダは首肯した。


「可能性ならあるだろう。ただ、私にはこの町の住人が放火をしたとは考えていない。レダの存在は、この町の希望だ。それは住民たちが一番わかっているはずだからだ」

「じゃあ誰がってなると、やっぱり外部の人間ってことになりますか?」

「そうなるだろうな。いや、そうあってほしいという希望もある」

「お心当たりは?」

「私の町の発展を快く思わない貴族が誰かを使ったのかもしれない。レダを取り込もうと、まずこの町に長く住まないように遠回しな嫌がらせをした可能性だってある。もっと言えば、レダを気に入らない回復ギルドの仕業かもしれない……と、考え出したらきりがない」


 そもそも、今回の放火がレダへの嫌がらせなのか、それともティーダに対するものかすらわかっていない。

 現状でわかっているのは、魔法が使われたこと、放火であることだけ。


「なんにせよ、犯人は必ず捕まえて罰しなければならない。現在、自警団と冒険者たちが犯人探しをしている」

「成果はなにかありましたか?」

「放火犯か定かではないが、怪しい女性のふたり組を見たという目撃者がいたが……それだけではな」

「女性、ふたりですか……」


 あいにく心当たりがない。

 とはいえ、どこで誰に恨まれているのかなどわからない。

 治癒士として活動しているレダだが、救えなかった命もある。その遺族が恨んでいる可能性だってあるのだ。


「自警団と冒険者に任せよう。私たちが余計に首を突っ込んでも迷惑になるだけだ」

「そう、ですね」


 できれば自分の手で犯人を捕まえ、なぜこんなことをしたのかと文句を言ってやりたくもある。

 しかし、ティーダのいう通り、すでに犯人探しを行ってくれているのだ、いたずらに首を突っ込んで犯人探しを邪魔したくはない。


「話を戻すが、雑貨店の改装は一週間ほどでできるそうだ」

「早いですね」

「みんなレダのために頑張ってくれるそうだ。完成し次第、ご息女たちと引っ越してくるといい。ここが君の家だ」

「ありがとうございます」

「礼など言わなくていいんだ。感謝したいのはこちらなのだからな」


 ティーダがレダに手を差し出した。


「町を代表して君にお礼を言いたい。よく、この町に来てくれた。ありがとう。そして、これからもよろしく頼む」

「――はい」


 レダは差し出された手をしっかりと握りしめ、固く握手を交わすのだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] こうして、着々と追い込まれるアンチレダのお二人でした。 次に手を出した時に尻尾を掴まれない様に逃げおおせるか…見物(みもの)ですなw
[良い点] 毎日楽しく読ませてもらってますm(__)m [気になる点] 「成果はなにかありましたか?」 「放火犯か定かではないが、怪しい女性のふたり組を見たという目撃者がいたが……それだけではな」 …
[一言] >怪しい女性のふたり組 >あいにく心当たりがない。 二人組みとはいえ、女性と聞いてリンザが出てこないのは、無理が無いでしょうか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ