表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ 〜中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる〜  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

135/621

29「ヴァレリーの怒り」②




「あんたに関係ないでしょ! これはっ、レダと私の問題じゃない!」

「いいえ、そんなことはありません! これは、この場にいるわたくしたちの問題ですわ」

「なに言っての、あんた? 全然関係ない女は引っ込んでなさいよ!」

「そうはいきませんわ。あなたのような愚かな人間はレダ様にふさわしくありませんもの」

「さっきから好き勝手に言いやがって!」


 二度も叩かれた恨みを返そうと、リンザが腕を上げる。

 だが、ヴァレリーは臆することなく、リンザを睨みつけたまま動かない。

 リンザの手が振るわれる。しかし、ヴァレリーに届くことはなかった。


「この人に暴力は許さないからな」


 レダはリンザの手を掴んで警告する。

 暴言に続き暴力まで振るわせるつもりはなかった。

 ヴァレリーを守ったレダに、リンザが激昂する。


「レダ! あんた、私が殴られても見ていただけなのに、この女を守るなんて頭おかしいんじゃないの!?」

「もし、ここにいる誰かに一度でも暴力を振るったら、俺はお前を絶対に許さない。覚えておけ」

「――っ、ああ、そうですか! ていうか、この女も何様よ! 私がレダにふさわしくないとか、なんであんたが決めるんだっていうの!」

「わかりますとも。あなたはレダ様に散々お金を貢がせた挙句、稼ぎがなくなるとわかるとあっさり捨てました。レダ様とお付き合いしている時点で、複数人の男性とも付き合っていましたよね。それに、現在、相当の借金があることも存じています」

「……な、な、なんで、それを」

「調べましたので」


 あっさりと言い放ったヴァレリーに、レダも驚いた。

 まさか自分の知らないところで、色々調べていたとは思ってもいなかったのだ。


「……あんた本当に調べちゃったのね」


 そんな呟きをルナがしているのが聞こえた。


「あなたのような不誠実な人が、どのような理由でレダ様とやり直したいとおっしゃるのですか? わたくしには、ただお金が欲しいからとしか思えませんわ」

「――それは誤解よっ! 私は、レダのために冷たく突き放しただけよ! ほら、そのおかげで、こうやって治癒士として成功してるじゃない! 感謝されたってバチは当たらないわ!」

「百歩譲って、あなたの言う通りだったとしても、複数の男性と付き合っていた言い訳はどうするおつもりですか?」

「それは、その」


 口ごもるリンザ。都合のいい台詞が浮かんでこないようだ。

 すると、彼女は再び激昂した。


「私のような美人に男が群がってくるのは自然のことなのよ! いい女っていうのはね、男の求めに応えるべきじゃないの!? あんたね、自分に魅力がなくてモテないからって僻むんじゃないわよ!」

「それがお答えですね?」

「そうよ! 別にいいじゃない、結婚して浮気したわけじゃないし、私をつなぎとめることのできなかったレダが悪いのよ」


 勢いだけで好き勝手言うリンザに、この場にいる全員が不快な表情をした。

 一番幼いミナでさえ、リンザを見る目は冷たい。


「……ここまでくると図々しいですわね。わたくしは知っていますわ。あなたは、結局、その男性たちにも捨てられていますわね?」

「……それは」

「さすが素晴らしい女性は男性の求める通りに、綺麗に捨てられますのね。そうそう、あなたはその男性たちに借金も押し付けられたのでしたね。ご自分の借金に男性たちの借金まで、本当に都合のいい女性ですこと」

「…………っ、この」

「もっと言ってさしあげましょう。この町に来た理由は、レダ様からお金を奪おうとしているのはもちろん、借金取りから逃げてきたそうですわね」

「だからなんだって言うの!」

「あなたが借金をした商家は我が家と関わりがある家ですので、この町にいることをあとでお伝えしておきますわ。よかったですね。これでこの町でも借金の返済ができますわよ」


 ヴァレリーの容赦ない言葉に、リンザが蒼白になった。

 言葉通りなら、借金取りから逃げてきたにも関わらず、このアムルスでも借金に追われると言うことだ。

 つまり、逃げ場などないのだ。


「……さっきからいい気になって! あんたにどんな権利があって私のことを調べたのよ!?」

「わたくしはレダ様を心からお慕いしています。あなたのようなレダ様にふさわしくない害虫が近づかないように、たとえ恥ずべきことでもしてみせましょう」


 憤りを見せるリンザに、ヴァレリーははっきりと告げた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 29「ヴァレリーの怒り」② 更新ありがとうございます。 色々な意味、女は強い。ヴァレリー様がんばってー! [気になる点] 感情的な愚かな女に、知的に理詰めで追い詰めるヴァレリー様。お互…
[一言] ヴァレリーさんが漢(おとこ)前に見えるw 好きになった男の為なら、鬼にでも悪魔にでもなれるヴァレリーさま、素敵☆…とか言うべき?www
[一言] やだ、ヴァレリー様かっこいい……❤(トゥンク)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ