読者の方とお別れした事。感謝と、作品による出会いと別れと、皆さんに気をつけて欲しい事。
ある方への感謝と、気持ちの整理の為にこれを書く事にしました。
現在この小説家になろうにて、つたない文章を発表している作者です。
そんな端くれ作者の私にもファンの方がいらっしゃいまして、その方との出会いは今から四年前になります。
私の作品が大好きだと言ってくれて、冗談でしょうが自分にとってはお宝だと言って、メールも沢山送って頂いてやり取りをしました。
書いて欲しいと頼まれて自宅に送った私のヘタクソな作品を、喜んで下さって大切にしていたそうです。
お金はいらないと言ってもお礼だからと送ってくれる、そんな方でした。
一度忙しくてメールチェックができなかった時に、私の体調を心配して以前お知らせしていた携帯の番号にかけてきてくれた事もありました。
私にとってはとてもありがたい存在でした。好きな物が同じ人と繋がれるのは嬉しい事です。
ゴールデンウィークが終って、数日経った夜の事です。
私の携帯に、ある警察署から着信があったのです。
以前に訪れた事はありますが、私とは特に接点の無い市です。あるとしたら、そのファンの方が住んでいる市くらいなものです。
警察署からの電話に緊張しましたが、すぐにかけ直すと、電話をしてきた相手が判明します。
それは○○警察署刑事課の△△という方で、『Aさんという方をご存知でしょうか』との事でした。
それはやはりファンの方の名前でした。本当はここでその名前を聞きたくなかったのです。落し物がありましたよ、くらいの軽いものであって欲しかったのです。
刑事課という事で、その人が何か事件に巻き込まれたのか不安になりましたが、続く言葉は意外なものでした。
「お亡くなりになりまして、御家族の連絡先がわからないので、携帯のアドレスの番号に順次確認の連絡を入れています」
「え? 亡くなった」
「はい」
頭の中が真っ白になりながら、警察の方とお話をさせて頂いて電話を切りました。
あれこれ聞くわけにもいかず、聞いたのは簡単な事だけです。
まだ若いのに自宅で一人で息を引き取ったという事、病死らしく事件性は無いだろうとの事。
いつも自分の作品を喜んでくれたあの方がもういない。急激に寂しくなって今までも沢山やり取りをしていたメールを読み始めました。元気なメールが多いです。
今年もついこの前までメールを頂いていたのです。
故人のメールなので内容については触れませんが、そこから感じた事は、体調を崩しやすい方だったのかも知れません。無茶もされていました。
私の体調を心配して電話をかけてきてくれたのは、そういう事情だったのでしょうか。優しい方だったのです。
たった一度の電話だけど、自動登録かも知れませんがちゃんとアドレスに登録していてくれたんですね。それだけで胸が一杯になりました、それで知ることができたのです。
あの時のAさんの行動が、結果として自分の事を知らせる事になる。偶然なのか運命なのかわかりませんが、ありがとうございますという言葉しかありません。
これは推測でしかありませんが、GW中に体調を崩して休み明けに病院に行こうと思っていたのでしょうか。連休中は休診も多いですからね。
連休が終っても姿を見せないので、心配した方が様子を見に行ったのかも知れません。
(その後に警察に確認の電話を入れたら、ご家族の方と連絡がついたとの事でした)
色々思い残すことはあります。
ああしてあげれば良かったかな、今書いている作品も喜んでくれたかな。
もちろん、GW中にもし連絡していたら、救急車を呼んでいてくれたら、などとも考えてしまいますがもう時は戻りません。
最後に頂いたメールのラストに、『それでは夏にまた』の言葉と、元気に笑顔で手を振る顔文字。
これはダメですわ、それ見た瞬間に我慢なんかできませんでしたよAさん。
私の作品を好きになって頂いて本当にありがとうございます。
この文章で何を伝えたいのか。
皆さん、体調管理はしっかりと気をつけて欲しい、ちゃんとご飯を食べて、辛かったら病院へ、ですよ。
健康な生活を送って欲しいのです。
若い頃は無茶をしてしまうんですよね、私も学生の頃には何を食べて生きていたのか記憶にありません。
バイクで近所に買い物に行っていましたが、冷蔵庫が無いので食材を置いてた事もなく、それこそパンで終ったり、カップラーメンやご飯炊いて缶詰で済ませたりしていたんでしょう。
安い! と大量に買って来たパンの耳がカビたりもしていました。
浮いたお金で好きなものを買ったり、遊びに行ったりしていました。
体調を崩して倒れても、寝てればその内に治るという考えでした。救急車を呼ぼうなんてまず考えませんよね。
もちろんAさんも普段は健康で無理もしてなくて、病気になった時に運悪く大型連休に当たっただけかも知れません。
一斉に休みに入る大型連休が辛いものとなってしまいました。
本当に寂しくて胸が辛いです。
作品を書いていると色々な出会いがあると思います。小説家になろうでの執筆もそうです。
作者と作者、作者と読者、読者同士の出会いもあるでしょう。
それは人と人との出会いなのです。
特に、例えたった一人でも、自分の作品を喜んでもらえる事がこんなにすばらしい事だったんだと改めて思い知らされました。
その作品を書いて、その人に出会えた。本当に奇跡みたいものなのですよ。
私が一人の読者としても、その作品を発表してくれた事に感謝している作家さんは大勢いらっしゃいます。
最も心酔している作家さんは、なんとなく手に取った本に掲載されていた、たった十頁の作品が出会いでした。宝物でしたね。
消費の一つでもあると思うので必ずしも交流する必要などはありませんし、自分が楽しいから読む、楽しいから自分の為に書く、でいいのです。
それでも何かを書く時にこれは喜んでもらえたら嬉しい、と頭に浮かんでしまうものですね。
GW連休中にやる気ない、とぐうたらしていた自分を情けなく思い、頑張って作品を作っていきたいと考え直しました。
まだ寂しくて力が出てませんが、これから先ぐうたらし始めたらこの気持ちを思い出して作品に向かいたい。
私にとっては、それだけでもこの文章を書いた意味があったと思います。
皆さんも良い作品、読者に出会えますように。
もうすぐ夏がきますね。