2.spoonful
その後ライトニングは〝スモウクスタック・ファミリー〟を立ち上げた。
有力な武族として名を上げ、領地を拡大し、瞬く間に十年の歳月が流れた……。
一九五三年七月、首都セントウォータースにスプンフル傘下五大ファミリーの首領が集結した。
そこはドン・ハウル・スプンフルの屋敷。
定例の報酬配当の後、ドン・ハウルは厳つい目で言った。
「スモウクスタックよ。お前には明後日からレイヴォンズの街を仕切ってもらう」
「何と? そこはリトル・ラム叔父貴の領地。ドン・スプンフル、何故?」
「エルドランドマフィアが問題を起こしてな。頭のいいお前なら解決できるだろうと」
「問題とはどのような?」
「警官殺しだ。警察は既に動いているが、先に手を打て」
ドン・スプンフルは犯人とされる男たちの写真をテーブルに置いた。
向かって左側に座るリトル・ラムは子羊のようにおとなしく頷いている。
「わしはもう歳だ。そろそろ引退せねばの」
その横でシナズ・プレアが手を合わせ、祈った。
「オオ、前途ある若者に神の御加護を」
そしてクライス・カイが乾いた目で言った。
「スモウクスタック、お前は若く信望も厚い」
スキンヘッドのマッド・マニッシュも異論はない。
「皆お前の実力を認めている」
ライトニング・スモウクスタックはたくわえた口髭をさすりながら写真を見つめた。
ドン・スプンフルはその傍に立ち、肩を撫でながら告げた。
「エルドランドのドブネズミどもだ。奴らを一掃しろ」
「……わかりました」