1 ここは死後の世界らしい
俺の名は天道春樹、32歳だ。何故だか知らんが死んだようだ。何でそんな事分かるのかって?目の前に神を自称する変わったコスプレをした姉ちゃんが居るからだ。
「だから何回も言ってるじゃないですかぁ、あなたは死んだんですよ、トラックに轢かれて」
俺の前に並んでたおっさんが、納得がいかないのか、コスプレ姉ちゃんに絡んでいる。もうかれこれ三十分はやり合ってるが、後ろで待たさてる俺の身にもなってなって欲しい。いい加減気付けよ。後ろ渋滞してんぞ。
「この書類を持って早くあちらの列に並んで下さいよ〜、後ろの方々にも迷惑になります」
「さっきから言ってるだろ、どこなんだ、ここは!!俺は取引先に行かんといけんのだ!早く元の場所に返してくれ!!」
空気の読めないおっさんがまだ突っかかろうとするも強面の警備みたいな人が2人来て連れて行かれた。ザマァ!
「お待たせ致しました。次の方はハルキ・テンドー様ですね。私は地球担当の女神アマテラスです。残念ながらあなたは32歳でお亡くなりになりました。善行を三つ積まれましたので、この後魂の選択で三つの行き先を選択する事が出来ます。天国、別の星に転生、こちらの職員のどれになさいますか?」
最後の選択肢は何だよ、死んでまで働けってか?
「えっとモフモフされるのであればどこでもいいんですけど」
「えぇっと、もう一度お願い出来ますか?モ??」
「モフモフです!!」
「モフモフ??」
「はい、俺の願望は可愛い女の子に囲まれてモフモフされたいんです!!それが叶えばどこでもいいんで」
「はぁ〜、では別の星に転生にしておきますね。ではこの書類を持って二番の方にお進み下さい」
渡された書類には異世界転生モノが好きな変わった男性と書いてある。俺は変なのか?普通だろ??
どうでもいい事だが、ここは一番窓口だったらしい。
二番の窓口に着くと、
「では書類をお預かりします」と言われたので、さっき渡された書類を渡す。
「ハルキ・テンドーさんですね。別の星に転生で宜しかったでしょうか?」
「はい、そちらでモフモフされると勧められたので」
「わ、わかりました。ではこちらの方にサインと人差し指で捺印をお願いします」
天道春樹、人差し指で捺印っと。
「はい、これでいいですか?」
「はい、大丈夫です。ではこの書類を持って三番窓口の方へお願いします」
またかよ、後何回書類持ってウロウロさせられるんだ?面倒だが、モフモフされたい俺は我慢する。
「では書類をお預かりします。ハルキ・テンドーさんですね?」
「はい、そうです」
「あなたの願望の欄に記載されてますモフモフとはどういったものでしょうか?」
「可愛い女の子達に囲まれてモフモフされたいという意味ですけど」
「はぁ〜、分かりました。では女の子が愛玩動物を愛でる慣習のある星に転生させますね。スキルは変質と。転生対象は一応人族にしておきますね。スキルはオルタレーションと唱えながら、なりたい対象を思い浮かべて下さい。三秒ほどで身体が変質します。変質時間は魔力依存ですが、あなたの魔力量に極振りしておきますので、ほぼ無制限と考えていただいて結構です」
「はい、ありがとうございます」
「では、右手の扉からお入り下さい。良き異世界ライフを」
右手にあった扉を開き中に入ると、そこは異世界だった。
☆☆☆☆
「ここが異世界か、まぁ、一回死んでるわけだし儲けもんだよな。とりあえずモフモフしてくれそうな可愛い女の子を探すとするか」
俺は街を探すために辺りを見渡し、街道らしきものを発見したので、
「オルターレーション、馬!!」
おぉっ、何か視界の高さが変わった、こりゃあスゲーな。地球の移動定番動物、馬になって走って行く事にした。パカラッ、パカラッと軽快な音を立てながら街道を行く。普通に走るよりも早いし、疲れにくい。さすがは走る事に特化したお馬さんだ。可愛い女の子達よ、待ってろよ、今モフモフされに行くぜ!!
こうして俺のモフモフの旅が始まった。
女神様に与えてもうたこのスキルを駆使してモフモフされるのだ!!