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88話-リザルト

一つ謝罪がございます。5部で出てきたコルトンは本来ラーファという名前です。

コルトンは剣術大会の時のシャリオのパートナーでした。訂正しておきましたが、その前に読んだ方は申し訳ないです。

 結局、フィオーレ様は来ず、私たちで料理を食べました。

 料理の8割はリーリエとフィル様が胃に運びました。彼女たちが背が高いのはよく食べられるせいかもしれません。

 フィル様は食後のお茶を済ますと、仕事があるから、と自室に戻られたので、私とリーリエ、ジョゼットさんの3人で綺麗になった食卓を囲んでいました。


「やっぱり、リーリエは頼りになるわね。ジョゼット姉様が帰ってこないからどうなるかと思ったけれど」


 リーリエは声も出さず、青い顔で歯を見せるだけでした。言葉も発せないほど胃が満たされているのです。

 バイル学園にいたがる理由がわからないでもないような気がしました。尽くされすぎるというのも困りものかもしれません。

 私がそんなことを考えていると、ジョゼットさんが笑いました。


「安心するといいわ。お母様の暴走は滅多にないことだから、明日もこういうわけじゃないわ。大抵、私たち姉妹の誕生日や進級祝いで、年に数回しかないの」

「あの、答えにくければいいのですが、ジョゼットさんも揺らぎ観の加護を持っているのですか?」


 ジョゼットさんの発言は常にこちらの頭の中を覗かれたかのようなものでした。

 私はリーリエが揺らぎ観の加護を授かっている事を知っていたので、ジョゼットさんもそうなのでは、と思ったのです。


「いいえ。フィオーレ姉様とリーリエは持っているけれど、私にはないわ」

「揺らぎ観の加護を持っていないのに、嘘を見抜くと言いますか、どうして私の考えていることがわかるのですか?」

「セネカは顔に出やすいからね。誰でもできると思うけど?」


 私は聞いてすぐにリーリエの方を見つめましたが、彼女はジョゼットさんの言う事が正しいと言わんばかりに歯を見せて笑います。笑い声を殺しているので苦しそうでした。そこには同情しかないので、私はリーリエへの追及を止めます。


「わかりやすい方が好かれると思うけどね」


 また見透かすような声でジョゼットさんが言います。やはり揺らぎ観の加護を持っているのではないのでしょうか?


「さて、私も部屋に戻ろうかしら。お二人の邪魔になるからね」


 邪魔でないとは言えないので、私はつい黙ってしまいます。まだ、ジョゼットさんのことを完全に信用できていませんでした。


「また顔に出てるわ。セネカだけじゃなくて、リーリエもね」


 ジョゼットさんは一瞬寂しそうな顔をしましたが、すぐにニヤリとして続けます。


「本当は客室があるのだけど、貴方たちは同じ部屋で寝た方がいいでしょう? だから、リーリエの部屋にベットを一つ運ばせておくわ」

「ありがとうございます」

「いいのよ。畏まっているけれど、セネカはイノ家に招かれた客人なんだから、もっと甘えて頂戴な」


 私たちに背を向け、ジョゼットさんは手をヒラヒラさせながら去って行きました。トオルの件を聞かなければ、素敵な人だと思っていたでしょう。

 リーリエがホッとした息を吐く音がした後は無言でした。彼女の胃はまだ危険な状態のようで、口を開くことすらできないようです。

 静寂に包まれた食堂で私たちはお互いの眼を見つめあいました。そうしていると変な気分になって、ポロリと本音が漏れてしまいます。


「リーリエって綺麗ですね」


 リーリエは驚いたのか身を起こそうとしますが、胃が圧迫されたままなので恥ずかしがりながらも苦い顔をします。

 そんな彼女の表情も可愛いなあ、と思ってしまうあたり自分が毒されているのを感じました。

 私は髪も短いですし、愛嬌もありません。特に茶色の目は吊り上がっていていつも不機嫌そうな顔だと自覚していました。

 それに引き換え、リーリエは綺麗な顔です。金色の長髪は艶やかですし、青紫色の瞳は何度見ても引き込まれます。体付きは理想の体現のようです。特に胸とか。

 性格も、接するまでは凛々しく、騎士の如きカッコいい女性だと思っていましたが、本当の彼女はそれに加え年頃の乙女っぽさもあり、人間味に溢れる人でした。どちらの彼女も万人に好かれる性質です。どこまでもまっすぐで、清廉潔白な人。打算抜きで人のために動いてしまう友。

 私がリーリエを尊敬するように、トオルもきっとリーリエの眩しさに憧れ、救われていたと思います。

 ですが、当の本人はそう思えないようでした。


「ようやく落ち着てきた。そろそろ戻ろうか」


 リーリエが立ちあがってそう言いました。彼女の消化機構は今もひっきりなしに動いていることでしょう。

 私たちがリーリエの部屋に入ると、既にベットが二つ用意されていました。至れり尽くせりです。

 それぞれのベットに座り、一息つきます。イノ家に来てから、まだ一日も経っていません。もう、1ヵ月分ぐらい元気を消費した気がします。それぐらい濃密な一日でした。

新作の投稿を始めました。VRMMOモノで、無双系です。よろしければ、こちらもお願いします。

2/24-あとがきの修正。

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