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44話

 トオルたちは早めに仕事を切りあげ、家に戻った。

 中には正座して待っているステラがいて、話が冗談でなかったことがわかる。

 トオルが安堵やらのこみ上げてきたものの処理をしている間に、リルとマトイは跳んで、ステラにくっついた。予想外の懐き具合である。


「マトイちゃんもステラのこと知ってたのか」

「ステラ姉はよく来てくれたんだよ」


 マトイの言葉を聞いて、トオルは自分の顔色が悪くなるのを感じた。

 ネメスにとってジュ―ブルは敵国だ。そんなところに出入りしていれば、間者として刑罰される可能性も――。


「リルのおかげで入ることができたんです」


 トオルの考えを遮ったのはステラだった。流石に付き合いが最も長いだけあって、トオルの変化に敏感である。


「ジュ―ブルに来る口実として、フォルドアからの荷を運ぶ仕事を得たんです。フォルドアへ行くためには、ジュ―ブルの先にある海を渡らないといけないので、どうしてもジュ―ブルを通らないといけませんから」

「本来であれば、ネメスとジュ―ブルの国境間際を沿う道で海を目指すんだけど、ステラ姉はあんたのために危険を冒してここに寄ってるの」


 マトイの発言にステラが怒ることはなかった。トオルとしてはそれは予想外のことで、残念な気持ちだった。自分のことを庇ってくれるだろう、と勝手に思っていたからである。


「トオル様、子供たちとお戯れになって、楽しそうでしたね」


 とステラは言った。皮肉ではなく、眼福でしたという声だった。

 しかし、他人から見ればそうとはわからないようで、マトイはトオルが馬鹿にされていると勘違いしてニヤニヤ笑っている。

 慣れたこともあるが、ステラの膝の上で寝ころびながらそんな表情をされても微笑ましいだけである。

 リルも同じような体勢になっていて、まるで猫のようであった。


「悪いな、ステラ。迷惑をかけたみたいだ」

「いいえ、そんなことはありません」


 お前が悪いのだ、と顔全体で表現していたマトイだったが、ステラがこめかみ辺りを指圧したことで苦悶の表情に変わる。どうやらトオルのことに対する沸点がステラの中できちんと定まっているらしい。

 そのままステラが何も聞かないので、トオルも何も言えなかった。何も思い浮かばなかったのだ。

 しばらく、ステラがリルとマトイを撫でながら会話している所を眺め、ようやく在り来たりな話題を口に出した。


「今回の仕事はどっちなんだ?」

「今回はネメスに荷を運ぶ方ですね。協力者がフォルドアから帰ってきて、ここまで荷を持ってきてくれるんです。彼女たちも幸運でしたね。トオル様が目覚めた時に帰ってこられるなんて」


 ステラの口ぶりはまるで、トオルの知っている人物を話すようであった。

 まさか、リーリエだろうか?


「あ、クロとニクルです。きっと、喜ぶでしょうね」

すいません。残業で帰宅が遅れ、少な目ですがキリがいいので更新しました。次は戻します。

もしかすると、明日の更新はできないかもしれません。残業の時間次第ですね……。

明後日には間違いなく更新します!

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