表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/98

83 ダイチVSジース

一挙に3話投稿です!

「ダイチ・ヤマモトだと?

 では貴様が、あの半妖種たちを束ねる者か?」


「そうだ」


言うが早いか、刺すような殺気を感じた。威圧系のスキルか?



Answer.

ただの殺気ですね。



スキルを使わなくても、そういうことはできるわけか。

ハッシュベルトとは比べ物にならない威圧感だ。おそらく、この男がロンダークだろう。


黒い鎧に身を包み、見た目は意外に若い。

かなりイケメンな部類に入るだろう。腰にはかなり長い剣を差している。


「自ら出てくるとはな。覚悟はいいか?」


ロンダークが長剣に手をかけた。


「待て。ロンダーク」


今にも飛び掛かりそうなロンダークを制したのは、小柄な老人だった。白髪で異様に太い眉が目を隠している。


「オヌシは魔族軍の長となったのだ。迂闊に前に出るな」


「何を言い出すつもりだ、ジース」


「この小僧の相手はワシがする」


「バカなことを言うな。こいつは、俺の獲物だ」


「こやつ、奇怪な魔法を用いるようだ。丸腰というのも気になる。

 それに先程も言ったが、王たる者が安易に戦場に出るな」


それは俺に対する皮肉か?

なおも食い下がろうとするロンダークだが、それを無視してジースが前に出た。


「と、いうわけでワシが相手をしよう」


「俺は二人同時にでも良いが?」


挑発には挑発で応えよう。


「ほっ、若いのぅ。こんな老人が相手では、物足りんか?」


「いいや。なら、表に出ろ」


「ここでは戦わんのか?

 ここは魔族軍の指令室じゃ。オヌシがいま暴れれば、大混乱になるかもしれんぞ?」


「非戦闘員に手を出すつもりは無い」


「それは良い心掛けじゃ」


ここを叩いても魔導人形たちが止まるわけじゃない。優先すべきはロンダークとジースの二人だ。


俺はバックステップで外に出ると、<高速飛行>で本陣から距離を取った。ジースもロンダークも追ってくる。

ロンダークは<天馬>を使用しているようだが、ジースは俺と同じ<高速飛行>で飛んできている。



Answer.

あれは<高速飛行>ではありません。

風魔法の【エアロフライ】です。



空を飛ぶ魔法なんて、あったんだ。



Answer.

A級スキルであれば、大体は魔法で再現が可能です。

ただし、膨大な魔力を消費します。



逆に、そんなことが可能なジースは、それだけ魔法に明るいということか。


俺は適当な広野に降り立った。ジースは俺から距離をとって降りる。


「この辺りでいいか?」


「十分じゃな。さて―――」


ジースの魔力が爆発的に高まっていく。漏れだした魔力が青白いスパークを引き起こしている。


「ワシの名は<魔導王>ジース。オヌシも名乗りを上げい」


「ダイチ・ヤマモトだ」


「それは只の名前じゃろうが。二つ名とか無いんかい」


言われて考える。

最強のレベル1・・・ってのはダメだな。もうレベル1じゃない。

なら<勇者になり損ねた異世界人>とか<漫画家志望の異世界人>とか。


・・・なんか悲しくなってきた。何故だ。


よく考えれば、二つ名ってのは世間的に呼ばれるようになるものであって、自分で考えるものじゃない。

だいたい、そんな二つ名を自分で名乗ったなどということが三島あたりに知られると面倒だ。

俺は厨ニ病患者ではない。そんな憐れみの目で見るな。やめてくれ。


「そんなものは無い」


「そうか。何か悩んでおったようじゃが、お陰様で時間が稼げたわい」


ジースの周囲に四つの魔法陣が展開した。


「汚ねーな!」


「ほっほっほっ。知略も魔術師の実力じゃて。【エレメンタルランサーズ】!」


ジースの【力ある言葉】により、それぞれの魔法陣から火・水・土・風属性の魔法槍が無数に放たれてくる。


「ちっ!」


俺は瞬時に、<金剛><天馬><韋駄天>を発動。

同時に両方の腕に<錬気甲>を展開。

後方に跳んで距離を稼ぐと、回避行動に移った。


洒落にならない数の【フレイムランサー】【アクアランサー】【グランドランサー】【ウイングランサー】が飛んでくる。


それらの間を縫うようにして回避し、<天馬>で上下左右に動き回り狙いを絞らせないように動く。

数は多いが、その分は制御が甘い。俺は徐々に距離を詰めようとして―――


「チョコマカと素早いのぅ。どれ、数を増やすか」


ジースの周囲に、新たな魔法陣が四つ増えた。


「マジか!?」


魔法陣からも四属性の魔法槍が放たれる。単純な数なら倍になった。


(けど!)


その分、威力が低下している!

俺は少し後ろに下がり、【エレメンタルランサーズ】の雨を回避しながら、避け切れないものは<錬気甲>で弾いた。

これならいけるか?


<錬気甲>からの感触に確信を得た俺は、<高速飛行>を発動し上空に飛ぶ。


「逃がさんよ」


【エレメンタルランサーズ】を上空射撃に切り替えるジース。

俺はある程度の高さまで飛ぶと、<天馬>を蹴ってジースに向かって跳んだ。【エレメンタルランサーズ】の嵐の中に、自ら飛び込んだ格好だ。


「なに!?」


動揺の声を上げたのはジースだ。

俺は<防御壁>を傘のような形に展開し、【エレメンタルランサーズ】を弾きながらジースに突っ込んでいった。

言わばバリアを利用した体当り攻撃だ。先程までの【エレメンタルランサーズ】なら威力が強すぎて<防御壁>が保たなかっただろうが、威力を殺して数を増やしてくれたおかげで、こんな突撃が可能になった。


落下のスピードも加わり、隕石と化した俺はジースに直撃した。

だが手応えが無い。そして後方から魔力の反応を感知する。

すぐさま<金剛><天馬><韋駄天>を展開。飛んできた【エレメンタルランサーズ】への回避行動を開始した。


・・・避けられた?


不意を突いたのもあるが、避けられるタイミングではなかったはず。ということは、転移か?



Answer.

直撃する直前、転移魔法の反応がありました。



やっぱりか。


Report.

ただし、通常の転移魔法とは異なるようです。



そうなのか?


なら確認する必要がある、か。

いずれにせよジースに接近しなければならない。

先ほどのメテオアタック(いま考えた)が堪えたのか、【エレメンタルランサーズ】を発動する魔法陣は四つに数が減っている。

この数なら、<天馬>と<韋駄天>で避けながら接近できる。俺は徐々にジースとの距離を詰めていき―――


「【カッティングサークル】!」


「うおお!?」


高速に回転するフラフープのようなものが飛来してくる。

嫌な予感がしたので慌てて回避したのだが、後ろにあった岩が真っ二つに割れていた。

気○斬かよ!?


【エレメンタルランサーズ】で弾幕を張り、気○斬で接近させないつもりか。


なら、こっちも隠し玉を切るだけだ。


俺は再び【エレメンタルランサーズ】の雨をかいくぐり、ジースに接近を試みる。

ジースの“両手”に魔法陣が展開した!


「【カッティングサークル】!」


一つを避ければ、もう一つの気○斬を放つつもりか!

それなら!

俺は冷静に、飛来してくる気○斬を避ける。


「【カッティングサークル】!」


同時にジースが俺の回避した方向に【カッティングサークル】を放つ。


さっきよりも速い!?

スピード調整できるのか!


先に遅いスピードのものを撃っておいて、次に高速の攻撃で不意を突く。


やるな!

だが、俺の予定は変わらない!


「ぬ!?」


俺の姿が消え、ジースの死角に出現する。<短距離転移>である。


「せんこうけ―――」


驚愕に目を見開くジースに<閃光拳>を叩きつけようとしたが、その姿が俺の前から消えた。


なんだ!?


そして魔力と殺気を感じ、<高速飛行>でその場を離脱する。

俺の立っていた周辺に【エレメンタルランサーズ】が降り注ぐ。


どうなってる!?

完全に虚を突いたはずなのに!



Report.

【オリジナルスペル】の発動を確認。

魔法名【オートテレポ】です。

対象が一定範囲内に侵入すると、自動で【ショートテレポ】が発動するようです。



そんなんアリか!?



Answer.

使用回数には制限があるようです。

おそらく、あと三回で魔法効果は切れます。



しかしジースは魔法を多重発動できるようだ。

【エレメンタルランサーズ】の弾幕を避けて接近するには、どうしても一定の時間が掛かるし、【カッティングサークル】のことを考えると<短距離転移>でなければ接近は難しい。

ある程度の被弾を覚悟すれば何とかなるだろうが・・・


チラリとロンダークの様子を確認する。

奴は仁王立ちをしながらも、こちらに鋭い視線を向けていた。


ジースの後にはロンダークとの戦いも控えている。ここで無茶をするのは得策ではない気もするが・・・

とりあえず、いろいろやってみるか!


「<煉獄弾>!」


【エレメンタルランサーズ】の間隙を抜い、俺が持つスキルの中でも比較的破壊力の高いものを発動する。

巨大な火球<煉獄弾>が【エレメンタルランサーズ】を蹴散らしジースに向かって飛んでいく。


「【ファイヤーウォール】」


だがジースの発動した対火属性防御魔法に遮られる。と、ここまでは予定通り!


「むむ!?」


俺の狙いは<煉獄弾>を盾に【エレメンタルランサーズ】を防ぎつつ、ジースに接近することだ。

【ファイヤーウォール】を抜け、ジースに肉薄する!


だが【オートテレポ】が発動し、ジースの姿はまたしても消えてしまう。


(チャーリー!)



Answer.

右後方5時の方角、約300メートルです。



「<魔弾>!」


「ぐあっ!?」


ジースの悲鳴。

振り返らずに放った<魔弾>がクリーンヒットしたのだろう。


「おららららららららららららららら!!」


手応えを感じた俺は、声のした方角に<魔弾>を連発する。

<魔弾>は魔力を込めただけの単純な弾丸だ。威力は低いが、コストパフォーマンスも低いので連射できる。


「くっ! 【マジックバリア・トリプル】!」


攻守交代だ。ガンガン放たれる<魔弾>を多重防御結界で防ぐジース。


固い。


だが、俺の目的は【エレメンタルランサーズ】を発動させないことにある。

両手を交互に突き出し<魔弾>を発射しながらジースとの距離を詰めていく。


「<閃光脚>!」


「ぐっ!?」


【オートテレポ】が発動するギリギリ外側から放った<閃光脚>が<魔弾>で薄くなっていた【マジックバリア】を貫き、ジースを射抜いた。

さらに追撃するため踏み込むが、ジースの姿が消える。

次だ!



Answer.

9時の方角250メートル先です。



「<魔弾>!」


「【サンダーブラスト】!」


「っ!? <防御壁>!」


稲光が<魔弾>を飲み込み、俺に直撃する。

<防御壁>が間に合ったが、防ぎきれなかった熱が俺の皮膚を焼いた。


さすがに同じ手は通用しない、か。今のはヤバかった。


「まったく、なんという狂暴な奴じゃ。年寄りを労ろうという気持ちが無いのぅ」


「冗談キツイぜ。反則みたいな魔法ばっかり使いやがって」


「オヌシには言われたくないのぅ。いったい、どれだけ多彩なスキルを持っておるんじゃ」


「さあ?」


「ぬぅ。底が知れん奴よ。じゃが、これはどうじゃ?」


ジースが空を指差した。

その方向を見上げて―――俺は絶句した。

そういえば、日中だというのに周りが不自然に暗い。

当たり前だ。空に浮かぶ『島』が陽を遮っていたのだから。


「これこそ、ワシの持てる魔導の全てを注ぎし極大破壊魔法。はるか上空にある隕石を呼び寄せる【メテオスウォーム】じゃ」


『島』が燃え、ゆっくりと下降してくる。俺に向かって。


「あんなものが落ちたら、この辺り一帯が壊滅するぞ!?」


「原初の大森林の木々は、しっかりと大地に根差しておるから問題ないわい」


だが、あんなものが落ちれば大地震が起きる。


「オヌシなら、或いは避けられるのかもしれんな。オヌシだけなら、な」


・・・【ゲート】を使えば、回避することは簡単だ。


だが、あのバカでかい岩が地上に落下して真っ先に被害を受けるのは誰だ?


アクアたちなら、自分で何とかするだろう。

王牙たちも心配はいらない。


けれど、フォレストピアにいるリンやカーラ、ゴンたちガンフォード工房の面々は?

フォレストピアは未だ建設中で、土台が弱い。建物が崩れて被害が出たら?


こいつは、破壊しなければならない。


だが―――どうやって?


<魔剣:新月>なら、真っ二つぐらいには出来るかもしれない。

だが、それは衝撃を抑えるぐらいにしかならない。できるだけ粉々に粉砕したい。


・・・チャーリー、やれるか?



ALL Right.

神滅級魔法の構築を完了。

発動準備、開始いたしますか?



何とかなるんかい。

流石は先生。

俺は『YES』を選択した。



ALL Right.

魔法陣の展開を開始します。



俺の周囲に、幾つもの幾何学な魔法陣が展開されていった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ