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55 決着。そして旅立ち

破壊的なエネルギーがぶつかり合った後、俺は地面に立った。

かなり魔力を消費している。さっきの<閃光砲>は掛け値なしに全力の一撃だった。


俺は疲れた身体に活を入れ、対戦相手の下に歩み寄った。タツマキは大の字に地面に横になっている。

俺の<閃光砲>は、かろうじてタツマキのブレスを上回ったのだ。


「くっそー! 負けたぁっ!」


タツマキは身体を動かさず、しかし満足げに叫んだ。


「うう~! もうちょっとで、お前の本気を引き出せると思ったのに!」


「おいおい、冗談は止めてくれよ。俺は本気だったぞ?」


「いんや。お前、あの剣を使ってないじゃないか」


・・・<魔剣:新月>のことか。

しかし素手の相手に剣を使うのは卑怯な気がしなくもない。

おっと、でもそれは素手で戦闘するスタイルを得意としている奴には失礼になるかもしれない。


「いや、でも楽しかった! 全力でやって敗けたのは、親父以外では大地が初めてだよ!」


親父って、やっぱりいるのか、神龍王。


「俺も楽しかったよ」


まあ、別に居てもいいんだけどね。

俺はタツマキに手を差し出した。タツマキは俺の手を取り、立ち上がる。


「でもダイチは本当に強いな!

 正直、ボクの<瞬動>についてこれる奴なんて、いないと思ってたよ!」


「いや、ギリギリだったよ」


これは本当だ。おかげで魔力が尽きかかっている。


「でも、勝ったのはダイチだからな!

 仕方がないから、お嫁さんになってやるぞ!」


・・・。

はい?


この子、いま何を言ったんだろうか?

俺が聞き返そうとした時、爆発的な殺気が後方から膨れ上がった!


『っ!?』


その殺気に、俺とタツマキは反射的に臨戦態勢をとった。しかし、殺気の主を見て安堵する。

そこに立っていたのは、アクア、桜花、紅葉だったからだ。


「なんだ、お前らか。ビックリさせるなよ」


「ダイチ様は少し黙っていて下さい」


安堵する俺を他所に、桜花が厳しい声を発した。三人の殺気はタツマキに向けられている。


「なに、やんの?」


「ダイチ様の嫁になると言ったか、貴様」


「言ったけど?」


「ふふん。そんなナリで、そのようなことが恥ずかしげもなくよく言えたもんじゃ」


「はあ?」


タツマキも殺気を返す。ボロボロのはずだが、気の強い奴である。


「ダイチ様は鬼人族の姫である私にこそ相応しい」


「何を言うか。妖狐の始祖たる妾にこそ相応しい」


「ダメ。マスターは私の」


「貴殿ら、正気か?

 強い者は強い者と惹かれ合う。鬼人族以外に、相応しい者などおりはしない」


「そんな男か女かも分からぬようなナリをしておって、よく言うの。妖艶さこそ男の求めて止まぬものよ」


「それ、ただの脂肪。私の方がプニプニしてて気持ちイイはず」


「アクア殿は幼すぎるだらう?」


「この身体を求めたのはマスターの願望」


「ほっほっほっ。互いに貧相なナリをして品格も感じさせん口で、よく言うわ」


『・・・』


一瞬の間が空いて、


『あ゛あ゛ん?』


俺はもう、どうして良いのか分からない。


「あっはっはっ! ダイチの仲間は面白い奴が多いな。仲も良さそうだ!」


仲が良いのか、あれは?


「お前たち! 要するに、お前たちもダイチの嫁になりたいのか!?」


「何を分かりきったことを・・・」


「マスターはマスターだから」


「そのために、このポジションを手に入れたのじゃからな」


そうなのか?

いや、許可した覚えは無いんだが。


「なら公平に行こう。ダイチ、ボクもお前の子分になってやる!」


はあ!?


「なんでそうなる!?」


「強い雄が雌を囲うのは当然の権利だぞ。恥ずかしがるな!」


「そういうことじゃねーよ!」


「お前はボクに勝った。そしてボクはお前のことを気に入った!

 それ以外に、どんな理由がいるんだ?」


なに、その野性的な理由。いや、ドラゴンだから構わないのか?

って、そういうことじゃない!


「俺はこの世界の人間じゃない。異世界人だぞ」


「それが何か問題あるのか?」


おぅい!?


「やることやったら、元の世界に帰るんだよ!」


「なら、ついていく」


なにぃ!?


「あの三人も、そのつもりみたいだぞ?」


アクアたちに目を向けると、大きく頷いていた。


「というわけで、ボクも今日からお前の仲間だ!」


決定かよ!?


「あ、そうそう」


疲れる俺に、タツマキはイタズラっぽい笑みを浮かべて言った。


「別に、四人まとめて嫁にしても良いんだぞ?」


勘弁してくれ。




とまあ、竜巻龍の襲来というアクシデントはあったが、俺たちは予定通り翌日の朝に原初の大森林を出た。

俺とタツマキが全力で戦ったせいで集落は崩壊寸前になってしまったので、集落に住んでいた皆も魔都ルシフェルアークに移住することになった。


みんな、すまん。


あとタツマキも俺の嫁候補兼側近ということで、旅についてくることになった。

正直トラブルの予感しかしないが、タツマキは見た目に反して大人なところもある。何とかなるだろう。

異世界云々については、徐々に説得することにした。まあ帰る方法も確保しているわけじゃないし、クラスメイトたちのこともあるから先送りで良いだろう。

そうそう。タツマキのステータスについては、俺の配下になったことで確認できた。チャーリーさんが把握しておきたいと言ったので本人に確認したら、


「ダイチになら良いよ」


と頬を赤らめながら言われた。

なんだ、ステータス確認って裸を見るようなものなのか?

で、タツマキのステータスだが・・・



個体名:タツマキ

種族:人龍種

レベル:198



やはり実力的にはアクアたちと並んでいるようだ。


そういえばアクアは水属性、桜花は土属性、紅葉は火属性、タツマキは風属性に親和性が高い。


・・・これって四天王ってやつか?

いや、なんか厨ニっぽいしバカにされたら嫌だから止めとこう。三島辺りに知られたら、意図的に集めたと誤解されそうだ。


そんなこんなで、俺の旅立ちは波乱を予感させるものになったのだった。

え、違う?

雰囲気だけは出しておきたいんだよ。




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