47 戦争の終結
Report.
レベルが12から20にアップしました。
レベルが20に達したため、インビジブルスキルがいくつか解放されました。
レベルが一定値に達したため、スキルのバージョンアップが可能です。
バージョンアップしますか?
俺のレベルアップと同時、キマイラ・ハッシュベルトの身体は黒い霧となって消滅した。
・・・。
え、レベル20?
しかもインビジブルスキルとかバージョンアップとか、嫌な予感がするんですけど・・・
レベルが一気に上がるのは、いつものことなので気にしない。でもインビジブルスキルって何よ?
Answer.
スキルにはレベルアップが解放条件のものがいくつかあります。これをインビジブルスキルと呼びます。
なるほど。成長すると新しいスキルが身につくわけか。じゃあバージョンアップは?
Answer.
スキルの中にはレベルとともに効果が上昇したり、派生スキルが発生するものがあります。また新たな効果を得られるものもあるため、バージョンアップと呼びます。
なるほど~。スキル自体もレベルアップしていくわけか~。
チャーリーさんも進化しちゃったりなんかして。
Answer.
します。
・・・。
うん、とりあえず保留だ!
先にアイツらの所に帰らないといけないしな!
俺は何故か逃げるように<高速飛行>を発動し、アクアや桜花たちが待っている場所に戻った。何故か着地は失敗した。
「マスター!」
「ダイチ様!」
アクアと桜花が出迎えてくれる。それなりに心配してくれていたのだろう。予想外に苦戦してしまったからな。
「お見事な戦いぶりでした」
跪き、頭を垂れる桜花。アクアは何も言わないが、周囲に浮かんでいる水球がフワフワと楽しげなので、たぶん喜んでいる・・・と思う。
ふと視線をサラサ湖の向こうに移せば、アンデッド軍が壊滅しかかっていた。こちらに被害は無さそうである。
・・・泣いている鬼人族がいるのは、どうしてなのだろう。まあ小さいことは気にしないでおこう。
「さて・・・」
俺は見ないように見ないようにしていた光景に目を向けた。そこには俺に向かって頭を下げる紅葉、魚正宗、ウルフェン、カイザーがいた。
あれ、カイザーまで?
「・・・みんなで仲良く、時代劇ごっこか?」
「魔王よ!」
俺の渾身のギャグは紅葉によって無視された。
「数々の非礼、お許しください」
「いや、気にしてないから。それと俺は魔王じゃ・・・」
「ありがたきお言葉にございます!」
またも俺の発言を遮り、紅葉が顔を上げる。
その顔には笑みが浮かんでいる。
「つきましては、その非礼を詫びるべく、妾以下総勢千頭の多尾狐を配下にお加えください」
やっぱりこう来たよ!
「アンデッドより我らが住まいであるサラサ湖をお守りいただき、感謝致します。我ら半漁族の戦士三千、民草一千、すべて貴方様にお捧げ致します」
「我が名はウルフェン。黒狼族の長。かつて魔王様より拝命し魂に刻み込んだ御名、貴方様に捧げたく思います。黒狼族三千、配下にお加えください」
「俺様の名はカイザー!
難しいことは分からねーが、ハッシュベルトの野郎をぶっ飛ばし、舎弟のクレイジー・モンキーたちを救ってくれたアニキに惚れたぜ!
クレイジー・モンキー二万、クレイジー・コング400、自由に使ってくれ!」
彼らは順番に口上を延べ、頭を下げた。もう喋っていいかな。
「お前たちの気持ちは嬉しい。けど俺は魔王じゃない」
「何をおっしゃいますか」
「聞けって。俺は異世界人だ」
紅葉を制し、俺は打ち明ける。彼らが全員、顔を上げた。
「ある事情で異世界に召喚された勇者の団体の一人だよ。
少し特殊なスキルを持っているし、いろんな事情からアイツらのボスもやってる。お前たちを助けたのも、俺の事情が絡んでいたからで他意はない。それに俺に仕えるってことは、下手すれば魔族やブリトニア王国を敵に回す可能性がある。
それに俺は人間だ。異世界人だ。元の世界に帰る方法が見つかれば、帰ることになる。
そのことを踏まえて、改めて考え直してくれ。それでも仲間になりたいって言うなら、原初の大森林北東部にある俺達の拠点まで来てくれ。歓迎する」
俺はそれだけ言うと彼らに背を向けた。何か言いたそうにしている者もいたが、声はかけてこない。俺の視線の先には、勝ちどきを上げているエルゼフたちがいた。
「帰るか」
今後のことを考えると少し頭が痛いが、全員無事で何よりだ。
俺はアクアと桜花に一言声をかけると、エルゼフたちのもとに向かったのだった。
H28.7.27
前話までの内容に合わせて修正しました。




