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18 ゴブリン・ハーフからの依頼

村に着いた俺は、族長であるリンの父親の家に案内された。

後ろにはアクアが控えており、その回りをゴブリン・ハーフの戦士たちが囲んでいる。


そしてリンの父親に面会した。

なんとなくだが、リンに似ている気がした。リンは父親似なのかもしれない。

彼は俺に会うと、頭を下げた。


「族長のエルゼフだ。このような格好で失礼する。

 話しは聞いた。娘が世話になったようで、かたじけない」


「いや、気にするほどじゃないさ」


「さらに、うちの若いものたちが失礼をしたようだ」


「事情は聞いたよ。驚いただけで、何も無かったから気にしなくていい」


「そういってもらえると助かる」


エルゼフは再び頭を下げた。


「それで、ここからが我らにとっては重要な話しになるが・・・」


エルゼフの瞳の色が変わった。おそらく父親の顔から族長の顔になったのではないかと思う。


「キミが地竜タイラント・ドラゴンを討ち取ったと聞いた。

 しかし俺には、そちらの精霊らしき従魔を含めて、そこまでのことができるようには思えないのだがな」


こちらを試すような視線だった。

ちなみにアクアもチャーリーの<情報操作>で本当のステータスが分からないようにしてある。


「チャーリー、ブラフ・ステータスを一部解除しろ」



ALL Right.

ブラフ・ステータスを解除します。



チャーリーが俺のステータスを表示させる。

・・・あれ?

俺のステータスって、こんなに高かったっけ?



Answer.

S級スキル<神格化>により、レベルアップの恩恵が20倍になっていますので。



なるほど。

・・・いや、ちょっと待て。

レベルアップによる上昇値が20になっているということは、つまり俺のレベルは180相当になっているということか?



Answer.

その認識で間違いありませんが、パッシブ・スキルのことを考慮すると、レベル250相当になっています。



・・・本当に人間でいられるのだろうか?

だが、俺のステータスを<魔眼>のスキルで見ているエルゼフの方が何倍も驚いているだろう。


「レ、レベル9で、このステータスか?

 しかもパッシブスキルによる付加値が異常に高い。キミは一体、何者なんだ?」


「それについては答えられない」


異世界から来た勇者で~すなどと、半分は魔物の血を引く彼らに言えるわけがない。


「そ・・・そうか。しかし、どうして我らを助けてくれるつもりになったのだ?

 聞けば、キミはアス湖のヒュージ・スライムたちをも従えているというじゃないか」


チラリとアクアを見ながら言う。


「単純だよ。俺はリンを助けたいんだ。信じられないかもしれないが、理由はそれだけしかない」


「リンとは、どんな関係だ?」


「お兄ちゃんと呼んでくれている」


「・・・は?」


「今日アス湖で会って、魔仙草を分けてもらっただけだよ。お兄ちゃんって呼んだのも、なんとなくの気まぐれだし」


「本人は、こう言っているが?」


「俺からすれば十分だ」


「ふむ・・・」


エルゼフは少し考え込んだ。


「・・・兄貴、あの魔族の罠って可能性は無いよな?」


「無いだろう。そちらにいる精霊らしき従魔だけでも、我らを皆殺しにできるだろうからな」


レブンをはじめとするゴブリン・ハーフの戦士たちの顔が青冷めた。アクアに水の鎌を突き付けられたことがトラウマになっているのかもしれない。


「悩んでも仕方なさそうだ。どのみち、我らは死に体よ。ならば、この少年にかけてみるのも悪くない」


エルゼフは三度、だが今回は今まで以上に深く頭を下げた。


「たのむ。この村を守ってくれ」


「わかった。約束する」


エルゼフが差し出した手を俺は強く握った。


「お兄ちゃん、ありがとう!」


「おう。俺に任せとけ」


「微力ながら、俺も戦う。足手まといにはならない」


「いや、でもその傷だろ」


「そうだ!

 ボク、魔仙草を取って来たんだよ!

 これで、お父さんや皆の傷も治せるよね!」


リンは嬉しそうに魔仙草をエルゼフに見せた。


「リン。魔仙草があっても、傷は治らない」


「え・・・なんで?」


「魔仙草はポーションという薬品の元になる草なんだ。これだけあっても、役にはたたないんだよ。

 ニンゲンの町で精製してもらわなければならないんだ」


「そんな・・・」


「お前の気持ちは嬉しいよ、ありがとう。だが危険なことはしないでくれ。

 お前を失うことの方が、俺は辛い」


言って、リンを撫でるエルゼフ。

・・・いいもんだな、父親ってのは。

少しサービスしとくか。


「ポーションが必要なら、これを使ってくれ。アクア」


「・・・自分でも出せるでしょ」


そう言えば、そうだった。

しかし悪態をつきながらも、アクアは口から瓶に入ったポーションを吐き出した。


「これは・・・?」


「俺が持っているポーションさ。何個かあるから、分けてやるよ。怪我人は何人だ?」


「助かる。怪我人は10人ほど・・・なんだ!?」


ポーションを飲んだエルゼフの身体が光ったかと思うと、足に見えていた大きな傷が塞がる。


「み、右手にも力が入る!」


「兄貴、本当か!?」


「良かったね、お父さん!」


「ちょっと待て! 今のは本当にポーションか!?」


なんか驚いてるんですけど・・・


「いや、ポーションだと思うけど?」


「いやいやいや。ポーションは小さな傷を治して体力を戻し、傷の治りを促進させる薬だぞ?

 一瞬で後遺症の残るような傷が治るなんて聞いたことがない!」


・・・そう言ってますが?



Answer.

エルゼフの言っていることは間違っていません。



じゃあ、あれってポーションじゃないの?



Answer.

分類上はポーションになります。

ただし、スライムによる魔仙草の<溶解>と、マスターの<神格化>によって効果が上昇しているのは事実です。



そういえば、<神格化>には<錬金>や<錬成>で作ったものをワンランクアップさせる効果があったな。

話を聞く限り、効果が上昇しているってレベルでないような気がするが・・・

まあ、いっか。


「細かいことは気にするなよ」


「こ、細かいことだろうか? いや、ここは素直に礼を言っておこう」


「そうしてくれ。アクア、お前は怪我人たちにもポーションを渡してやってくれ」


「・・・だるい」


「あのポーションを怪我人すべてに与えてくれるのか!?」


「だって怪我してるんだろ?」


「キミは・・・いや、あなた様は、まさか・・・」


あなた様って(笑)


「さて、怪我人の治療が終わったら、働いてもらうぞ。

 さすがに俺とアクアだけでは村全体を守れないからな」




H28.7.24

チートポーションの効果が高い理由についてですが、

主人公のS級スキル<神格化>が影響していることに変更しました。

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