俺、合宿に同行する。(5日目)
神獣フェンリル。
古の時代に、初代の神々がまだ人間の時、王となるために挑んだ最強の獣。
獣人族の中では、神として崇められている。
今は魂だけとなり、肉体を転々としている。
未熟者に宿ると、その中で暴れまわり、自我を乗っ取ってしまう。
「フェンリル…。まさか彼に宿っていたなんてね」
グルルルルルルルルゥゥゥゥ…
「狼風情が…。ファム様に手を出すな…!」
いままで大人しかった青髪少女が感情を表に出した。
しかし、
ボァァァァァァァァァッ!!!!
フェンリルの白い炎のブレスではじき飛ばされた。
フェンリルは初代の神々も簡単には倒せない。
そんな奴を少女に倒せるはずが無いのだ。
フェンリルは床に転がる少女にトドメを差そうとしたが、邪魔が入った。
『テメエ…!他人の身体で好き勝手やってんじゃねえ!』
カガミが叫び、フェンリルの支配に抵抗した。
支配が完全でなかったのか、すぐに解放された。
「グッ…!」
そのまま地面に崩れ落ちてしまった。
「フフ。フェンリルの支配に抵抗するなんてね…」
「しかし、その身体では満足に戦えまいよ」
青髪少女の言うとおりだ。
カガミは身体を貫かれた上に、神獣に抵抗して、潰れる寸前だった。
「これは好機ね。さっさと殺して…」
「貴様!」
何も言ってなかった銃士がようやく口を開いた瞬間。
「やれやれ。世話のかかるマブダチだぜ」
恐ろしく強い風が吹いた。
そこにいたのは、最初の友である男。
鳥居 訪露だった。
――――――――(カガミ視点復活)
「と、鳥居…?」
「おうよ。またせたな」
彼は銀と緑を主体とした騎士とは違う鎧を着ていた。
自分の体格に近い大剣を背中にぶら下げていた。
「ジークフリート。まるで狙って来たかのようなタイミングね」
「へっ。俺がいるのは既に知ってただろうが」
ん?ジークフリート?何?どういう…。
俺の頭がごちゃごちゃになっていると、ファムが話し始めた。
「ジーク ウィーガ。古の時代に最も暴れた孤高の龍騎士。
魔剣グラムを使える唯一の人物ジークフリートとして歴史に名を残した。
28歳で戦死した後、日本で転生。鳥居 訪露として生きる」
「ってことは…。お前もこっちの人間だったのか?」
「おうよ。まあ、このタイミングで出てきた時点で、薄々気づいてたとは思うが」
いや、全然わかんねえから。混乱しっぱなしだったわ。
ジークが何かを投げて、俺達に言い放った。
「おい!いつまで寝ころんでんだ!さっさとあいつ等を撃退すんぞ!」
ジークが投げた物が光を放ち、俺達に降り注いだ。そして、
俺とレンキとルシフェルの傷は簡単に治ってしまったのだった。
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