俺、合宿に同行する。(2日目後編)
「さすがに上層だと、お前等の相手にもならないか。さすがに鍛えられてんな」
俺は迷宮の上層にいた。学生たちにも戦闘はさせたが、魔物は相手にもならなかった。
「教官。何故戦わないのです?」
「俺が殺ると、お前等の訓練にならないだろ。早く進みたいのは事実だが」
正直、コイツら置いて進みたい。
あくまで強化合宿の引率なので、進めないだけだ。
「っと。2階層は終わりか。ここから中層だ。魔物もモンスターも桁違いだぜ?」
俺が言うと、少女達の目付きが変わった。望むところらしい。
俺は少女達に感心しながら進んでいった。
地上では夜になったころ。俺達は3層目の真ん中あたりまで進んでいた。
この迷宮は氷型の迷宮主がいるのだろうか。ひんやりしてきた。
ここまで順調。どこの班よりも早く進んでいる。
俺はここで少女達を休ませることにした。
迷宮の真ん中は危険だが、俺は大きな穴を壁に掘った。
そこに魔物よけを置いたり、簡易ランプをつけたりしてキャンプ場を作った。
「今日はここで寝てくれ。テントは5つ張った。小さいのが俺だ。
残りの4つは2人ずつ入ること。食事は俺が作るから。それと、
無駄に広いから鍛錬しても良いぞ。寝ててもいいし、好きにしてくれ」
俺の話を聞いた少女達はテントの割り当てを決めて、すぐに武器を持って、
洞穴の奥に行ってしまった。熱心だな。
さてと。あいつ等にはカレーかな。俺は魔物肉でも食おう。
迷宮内の魔物やモンスターの肉は人間の身体に害らしい。
俺も最初は苦しかったが、身体がすぐに適応した。今は苦しくない。
訓練を終えたのであろう少女達を呼び戻し、夕食。
運動直後に炭水化物はよくないが、そうも言ってられない。
俺は無理やり食わせて、寝るようにした。
「あの…教官。ちょっとよろしいですか…」
「ん?ルシフェルか?どうした」
俺のテントに銀髪の少女が入ってきた。
ルシフェルだ。彼女は声をひそめて俺を呼んだ。
俺はテントから出て、ルシフェルの話を聞いた。
「あの…。先日は兄が大変なご迷惑を…。申し訳ありませんでした…」
「兄?迷惑?」
「えっと。グローリーは私の兄です…はい」
はい?グローリーがルシフェルの兄貴?
話を聞くと、ルシフェルとグローリーは血が繋がっているらしい。
あいつ、似てねえな。
銀髪くらいしか共通点が見当たらねえ。
ルシフェルはショートカットだが、前髪だけ長い。目を隠してしまっている。
なので、顔は口元しか見えない。人見知りなのかな?
身長は150位だろう。あとはちっぱいが特徴なくらいかな。
「まああいつも反省してるし、気にすんなよ」
「いえ…。レンキ先輩にも教官にもご迷惑を…ホントに、ホントに…」
「あの、俺が悪者みたいだからやめてくんね?」
やっとやめてくれた。落ち着いたみたいだ。
「グローリーの話はいいとして…。なんか他に用があんだろ?」
「はい…。図々しい話ですが…剣舞を見ていただきたく…」
「剣舞?別に良いぜ。寝れなくて退屈してたんだ」
俺はルシフェルの剣舞を見ることにした。
俺はそれにホントの美を感じた。
こうして夜は明ける。二日目終了。
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