俺、合宿に同行する。(2日目前編)
「君が君であれることの何が悪いんだ?君を否定する奴がいるように、
君を認めてくれる人だっているんだ。白海や…僕みたいにね。あ、それと鳥居と近藤もか」
「「も、って何だ!も、って!」」
――――――
これは、私とカガミの出会いの一部。
そしてこの言葉が、私がカガミに恋するきっかけだった。
私が中学3年くらいだったか。実はグレていた時期があった。
私だって人間だ。反抗期も当然ある。カガミは反発するほど親と話して無かったらしいが。
私は当時、自分に自信を持てず、一人で悩んで捻くれたのだ。
それでもアマノは相変わらず普通に接してくれた。
でも世間の目は甘くは無かった。
私は、クラスメイトに煙たがられるようになった。
アマノに好意を持つ男子にも責められるようになり、孤立してしまった。
当然、笹野にでもある。一番分かりやすい嫌がらせも彼がやった。
そんな時、私はチンピラに絡まれた。これで2回目だ。
1回目はアマノとの帰宅中の時。まだグレてなかった時だ。
海沿いの倉庫まで連れていかれ、軟禁された。
そして身代金を親に要求したらしいが…。
「おい。お前の親どうなってんだ?そんな娘知りませんだってよ」
チンピラも呆れていた。
そう。私は親に捨てられたのだ。そもそも家はおかしすぎる。
浮気しまくって家に帰らなくなった父。
自分の思い通りにならなきゃ娘にも手を出す母。
良い子ぶって周りから優遇され、天狗になってる姉。
私の小遣いを奪い、私に暴力を振るう妹。
それはグレて当たり前だろう。
家にも学校にも、何処にも居場所が無いのだから。
でも、そんな時…
「おい。やっと見つけたぜ」
「はあ。はあ。お、お前等、俺等が来たからには…」
「タダで済むとは思ってねえよな?」
「連輝ちゃん!助けに来たよ!」
カガミ、鳥居君、ハツノ、アマノの4人。ハツノは息切れしてた。
4人が私を助けに来てくれたのだ。私はこの時、すごく嬉しかった。
カガミと鳥居君は鉄パイプ、ハツノはスタンガンで戦っていた。
その隙に、アマノが私の縄を解いてくれた。
その後、チンピラをボコボコにして、3人が外に出てきた。
3人が駆けつけた警察に怒られて、こっちに近づいてきた。
そしてカガミは恋のきっかけの言葉を私に言った。
私はそれを聞いて、涙を流し、カガミに抱きついた。
以来、私は元に戻ることができた。
これが私の過去である。
―――(レンキ視点終了)
「レンキ、ボーっとすんなよ。早く買い物終わらせろ」
「あ、うん。ごめんなさい」
レンキの奴、どうしたんだ?ずっとボーっとしてたぞ?
合宿2日目。今回、俺にとってもチャンスの日だ。
何しろこの合宿、迷宮攻略に行けるのだ。しかもこの間と違うとこ。
最下層まで行っても良いってよ。やったぜ!
さっきから俺は嬉しくてテンションが高いんだよ!
で、午前中は攻略に向けての準備。午後から潜ることになっている。
準備は宿の近くの街で行っている。
といっても、俺はそんなに準備していない。せいぜい、調理器具とか食材くらいだろう。
「よし。全員いるな。準備はいいか?」
「教官!教官の荷物が少ないですが!」
「俺はストレージがある。ってどうした?」
「教官!ストレージは高位の魔術師でも使えるか微妙です!」
「知るか。そんなもん。よし行くぞ!」
俺の発言に面喰らってる少女達を置いて、俺は迷宮に踏み込んだ。
ちなみに。レンキは変わらず上の空であった。
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