俺、店を手伝う。
表へ出ると、ノブナガはレジをやっていた。
速い、そして正確。なれた手つきだ。俺たちなんて目にも入ってない。
てか、客多いな。
――――10分後
客が居なくなり、昼食休憩の看板を下げた“開発屋ハグルマ”。
俺は、店の奥のキッチンを借りて昼食を作ることにした。
ニンジン、ジャガイモ、玉ねぎ、肉。これが材料ならあれしかない。
そう、すなわち肉じゃが!
はい、完成。肉じゃがは火加減さえ間違えなきゃ簡単だ。
日本では小学生の時から、腹減ったら野菜と肉買ってよく作ってたな。
うーん。やっぱ良いにおい!ここんとこ食べてなかったからな。
俺は器を持って行き、テーブルに並べる。
席順は俺、先輩、イフ。向かい合って近藤、ノブナガ、ゴコル。
炊きたてのご飯を盛って、あいさつ。いただきます。
「ロードのつくるご飯は美味しいです」
「美味めェ。めちゃくちゃ…。白米なんてひさしぶりだ…」
「こ、これがにくじゃがですか。こんなに美味しいの初めてです!」
「おかわりあるからもっと食っていいぞ」
マジ!?と言って、おかわりする近藤とゴコル。
あっという間にご飯は無くなった。ごちそうさま。
「そろそろ、午後の開店だな。氷咲も来るだろうし…」
「手伝うか?」
「そうか?悪いな。頼むよ」
「オーケー。何すりゃいい?」
んー、と近藤は考え、役割を言った。
「じゃあ、星菜さんとノブナガさんはゴコルと接客を。
真田は物資の運搬と注文の承り。俺は奥で作業をやる」
そんじゃ開店!近藤の声が店に響いた。
「いらっしゃいませー!ハグルマへようこそ!」
「全てあわせて銀貨5枚になります」
「はいはい、そちらはこういう商品になっております」
「はい。銃のアタッチパーツ4種ですね。わかりました。完成後お届けします」
「注文の品一つ上がったぞー!」
「俺行ってくるよー!」
御覧の通り大忙し。どんどん客がくるな。いつもこれ回してんのか。
「はあー!終わった―――!」
「今日は客が多いですね…」
「休日だからな…」
「ロード、お水をどうぞ」
「イフ、私にもくれ…」
上からノブナガ、ゴコル、近藤、イフ、先輩。
たしかに疲れたが楽しかったな。案外あいつの天職かもな。
すると店の扉が開いて、声がした。
「近藤くーん!遅れてゴメーン!」
氷咲だ。やっと来た。もう閉店ギリギリの夕方だぞ?
「お、おせえぞ。氷咲」
「ごめん、家庭教師頼まれてさ」
「良いけどさ…。あ、そうだ。珍しい客がいるんだ」
「客?」
「真田~出てこいよ~」
「あ~?おお、檻咲。おひさ」
「氷咲よ!ていうか真田君?メガネしてなかったっけ?」
俺はストレージからメガネを出してつける。すると氷咲、
「その目付きの変わりよう…真田君ね!」
「おう、人を判断するとこそこか?」
「よかった…生きてたんだ…」
「あ?なんでお前が安心すんだよ?」
「天乃が心配してたからでしょ!あの子、あんたが居なくて冷酷になったの!」
「冷酷…?どういうことだ?」
「だから!あの子の今の二つ名!“冷酷””絶対零度の風”って!」
「中二くせえな。だがその話は気になるな」
「時間あるし、詳しく教えてあげるわ。すごいことだから」
こうして、俺達は氷咲に驚愕の事実を聞かされることになる。
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