俺、近藤と再会する。
「カガミ、どうした?元気がないな」
「あ、いや、別に」
ノブナガに痛いところ突かれた。結局アテナの苦笑いの理由が分からなかった。
ええい、しゃんとせい!分からぬことを気にしてもしかたない!
座右の銘に従って動くんだ!今日は近藤に会うんだぞ!
「今日の朝飯は白米、納豆、味噌汁、鯖の味噌煮です」
「うっひょー!日本食!全部しばらく食べてないやつだ!」
「ていうか、食材あったのかね?」
「厨房から拝借したのもありますが…、地下迷宮で保存したやつです」
「ああ、なるほど」
地下迷宮では、なぜか野菜の栽培や魚釣りもできたのだ。
“家事スキル”の一つとして扱われている。一体何を基準に…。
そのときの食材がたくさんあったので、それを使った。
ストレージに入れとくと腐らないから便利だ。
「では、いただこうか」
イフを含めた、4人で挨拶して食べ始める。ノブナガは感動を噛みしめていた。
「そんなに美味いか?」
「ああ。王宮の飯より美味い。間違いなく!」
おお、分かったから急接近してくんなよ。
飯を食い終わって、歯磨きして、顔洗ったら出かける準備。
終わったらすぐにギルドに向かった。歩いて3分くらいなのでもう覚えた。
そしてギルドに到着した。扉を開くと様々な店が開業準備していた。
「なんか、昨日より騒がしいな」
「ああ、今日は日曜日なんで一般客がフリーマーケットを開催するんだ」
「フリーマーケット?この世界にもあるのか?」
「その口調だと、今の日本にもあるようだな。冒険者にはめずらしいのも
売ってたりするんだ。金がなくて鍛冶師になれなかった奴の武器とか」
へえ、そうなのか。これからも定期的に来ようかな。
ちなみにこの世界は地球と同じように時間が流れるらしい。
だから日曜日。この国は日本と時間が共通なんだって。アテナが言ってた。
「あ、そういやメガネがねえな」
「メガネ?ああ、前はかけてたんだっけ?」
「こういう目付きなんで少しでもごまかそうかなって思ってさ」
「別に良いじゃないか」
「近藤も一応かけてない俺の顔見てるけど、覚えてるか分かんねえから」
そう、日本に居た時は鳥居に目付き悪いと言われてメガネをかけた。
視力は両方2.0だったので伊達メガネだったが。
この世界では5.0になった。3も上がったのか俺の視力。
メガネ屋でメガネを購入して近藤の所へ向かった。発明屋だったっけか?
なに作ってんだろうか。気になるな。
そして到着。看板には“発明屋ハグルマ”と書かれていた。
俺は看板を無視して中に入った。中から出てきたのは12歳くらいの少年。
「いらっしゃいませ!ハグルマへようこそ!」
まずは満面の笑み。中性的な顔つきの少年は笑顔が完全に少女だ。
「あーえっと、君は?」
「僕はここの弟子のゴコル クラフです!よろしくおねがいします!」
「あーよろしく」
なんか調子狂うな。こんなに元気な子供は正直苦手だ。
「クラフ君?その、近藤は居るかい?」
「ゴコルとお呼びください。あの、師匠のお知り合いですか?」
「ああ。まあな」
「失礼ですが、お名前は?」
「カガミ サナダだ」
少年は俺の名前を聞くと驚きの顔を見せた。そして奥へ走って行った。
数分後、戻ってきた。後ろには俺よりちょっと背が低いくらいの少年。
短めの黒髪にこげ茶の瞳。ダークブルーの作業服は炭が付いている。
そして日本に居た時から付けている、黄色いレンズの黒ぶちゴーグル。
迷うことなく断言できる、コイツは近藤だと。
近藤は俺を見て、驚愕の表情を見せた。そして涙を流した。
「うおっ!?ど、どうした近藤!?」
「真田…、ホントに真田か?」
「あ、ああ。本物だ。ていうか泣くなよ」
「真田…真田~~~ッ!!」
「グハッ!!」
近藤は飛びついてきた。俺は吹っ飛ばされた。痛い。
「真田!生きてたんだなこの野郎!」
「おい、離れろ馬鹿!痛いから!ほらメガネ!」
俺はメガネをかけて見せる。そしてそれを見た近藤は…
「真田~~~!!」
「ダダダダダッ!!!」
余計に泣いた。マジで離れてくれ~~。
落ち着きを取り戻した近藤は俺達を奥へ案内してくれた。
最初は先輩とイフを見て驚いたが、説明すると納得した。
ゴコルの持ってきたお茶を飲んで俺達は語りあった。
「そうか~~。お前も苦労したんだな。人格変わるほど」
「ああ、地下迷宮に落とされた時はさすがにビビった」
「俺達もここに着いてからが大変だった。とくに白海と鳥居は荒れたぞ」
「へえ、俺がいない間になにがあったんだ?」
「ああ、ちゃんと説明するよ。実はな…」
近藤はこれまでの事を話始めた。一体何があったというのか。
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