俺、朝食を食べる。
「先輩、起きてください。そろそろ出発しますよ」
「ん~~?…もうそんな時間か?」
「もうそんな時間です」
俺は寝ている先輩、星菜 大和を起こした。
脱出には彼女が寝ているとダメなんだ。
今日から地上への脱出を実行する。
それにはまず、にっくきドラゴンロードを撃破せにゃならん。
だから奴が居るであろうポイントをみつける必要がある。
そこで先輩の出番。彼女のスキルの「マッピング」を使うと、
ダンジョンのフロア内の地図が現れる。それを見てボス部屋に直行。
しかし「索敵」と共存できないという難点がある。
俺もマッピングを覚えた時は焦った。イフのバックアップで
「索敵」に変えれたけどね。
地図はすでにあるので、後は出発だけなんだけど。
先輩が起きない。この人頼りになるんだけどね。
一度寝ると、起きなくなるんだよね。
強制的に起こそうとすると、メッチャ怒る。
だから手が付けられない。最初はそうだった。
だから、俺はある作戦を生み出した。
その名も「食べ物で起こそう大作戦!」
まあその名の通りですよ、はい。
内容としては、まあ、
1、朝ごはんを用意します。野菜を多めにしましょう。
2、ターゲットの前に置きます。
3、ターゲットに呼びかけます。
4、起きないようなら餌を自分の口の近くに持ってきます。
5、そして食べるそぶりを見せ、再度呼びかけます。
(注意!ホントに食べると、寄ってこなくなるので気を付けよう)
6、食いついてきたら成功です!
(失敗してやり直しても寄ってこないなら、食べてしまおう。
こっちは本気だという意志を示すのだ)
作戦実行。さあ、起きてくれよ先輩!
「先輩朝ごはんできましたよ~」
俺はキャベツ、ニンジン、ピーマンの炒め物を置く。
それから、パンと珈琲も。
「………」
しかし反応がない。よしやるか。
「先輩、食べないなら俺が食べますよ」
「……」
やはり反応がない。同じことやってるから慣れたか?
よし食おう。
「むしゃむしゃ……、う~ん美味い!」
「っ!!」
よし反応した!あと少し!
「このパンも上手い!我ながら美味く出来てるぞ!」
パンは俺の手作り。材料は地下迷宮で作った。
「わ、私の朝ごはん~~~!!」
先輩が飛びついてきた。よし成功。
「今のは俺のやつですから安心してください」
「ほ、本当か……?」
先輩が上目遣いでこっちを見つめる。超可愛い。
「な、ならいただこう。いただきます」
「はいどうぞ」
先輩が食べ始める。俺も食べ始めた。
まあ、先輩「家事スキル」持ってないから料理できないんだ。
「今度は先輩のを食べますから」
「なっ!?そうはさせん!」
「だったらちゃんと起きてください」
やっぱ楽しいなこの人。さあて、早く食べて準備しようかな。