おじさま登場!?
人は人を傷つける生き物だ
地元のテレビニュースでは、ここ周辺で自動車の爆発事故が起こり、男性4人が重度の火傷で死亡したと報道され、地元新聞ではその自動車事故が1面を飾っていた。おぉ…
前回では、またいつか敵が攻めてきたらと思うと落下少女を家に1人にすることはできず、しばらく休むことにした。ということになっている。
つまり、助け、仲間が来れば問題ないということだ。ぉお!
逆に、助け、仲間が来なかったらずっと、ずーっとこの家にひきこもり。学校にも行けず!わお!
それだけは勘弁してください。
そう願って助かるなら、苦労はしないんだけどな…
3日後
10時くらいのことだったか。
俺はソファでぐでーっとテレビの向こうを見ていた。何もないのに。つまり、目が死んでいた。自分でもわかった。
その隣で落下少女は未だに興味津々にテレビを見ている。面白いか?
そんな時だった。
外
???「お嬢様の気が感じますぞ!」
誰かが亮介の家の前でそう言っていた。
ちょっとクッキーでも食うかな。
棚からクッキーを取り出して、ソファに戻り、
パリイィィン!!
窓ガラスが壮大に割れた。
「な!?」
そこから現れたのは、…人。じじい。
「お嬢様ァ!!」
「人ん家の窓ガラスになにすんだァーーーー!!!」
俺はそのじじいを思いっきり殴った。
「ぐほァ!」
殴られた衝撃でじじいはテレビの方へ飛んでった。
テレビにはぶつからず…当たって壊れたら殺してたぞ。
「な、何をするんだ貴様!?」
じじいがそう言う。
「それはこちらのセリフだ。もう一度言う、人ん家の窓ガラスになにすんだ?」
「そ、それは、お嬢様の気が感じたので…」
「1、お嬢様とはあいつのことか?」
俺は落下少女の方を指差した。
「そうです!」
…ほう。ん?
「2、だとして、もしいなかったら窓ガラスの弁償代はどうする?」
「そ、それは…」
「3、敵軍でもちゃ~んと玄関から入ってきた。この差はなんでしょう?」
「そ、それは…」
「それだから敵軍に負けたんだ!そうじゃないのか!?」
「…」
じじいは黙り込む。詰んだか。
「お嬢様、違いますよね?」
逃げた。
「ちょっと、邪魔で(テレビが)見えません。どいてもらえますか?」
…笑
「す、すいません…」
ズリズリと横にずれる。
「ハハハハハ!どうやらお前はテレビ以下のようだな!やべぇ、傑作ものだ!笑いが止まらん!ハハハハハ!」
プチン。じじいは頭にきた(らしい)。
「貴様ァ、一度決着をつけたようがいいそうだな」
おぉ、ただならぬ殺気を感じる。
「構わないが、場所を変えよう。これ以上被害が出たらまずい」
あたりを見回す。
散乱したガラス。バラバラに砕けたクッキーたち。ぐちゃぐちゃになったカーペット。最悪だ。
「外はどうだ?」
「いいだろう」
庭
「聞きたいことがある」
亮介が言い出す。
「なんだ?」
「あんた、あいつと関わりがあるのか?」
「関わりって…私はお嬢様の執事でございます」
「テレビに負けたあんたがか?」
「…」
よし、こいつの弱みを握ったぜ。
「まあ、あいつの執事ということは、あんたも魔法が使えるのか?」
「もちろん」
「回復魔法か?」
「違います」
違うの!?
「同じ国の人は同じ魔法を使えるんじゃないのか?」
「いえ、そんなことはございません。ちなみに私の魔法は、『20歳の頃の若さを一時的に取り戻す魔法』でございます」
「…」
落下少女の国が制圧された理由がなんとなくわかったような気がする。てか、魔法名がなげーよ。
「では、始めますぞ」
じじい…執事でいいか。
執事がそう言うと、構えの態勢にはいった。
あー、対決ね。
まあ、俺の炎魔法(?)(自分の魔法と信じていいのか)…
かっこさん、ツッコミありがとう。
まあ、パパッと終わらせますよ。こんなもん。
「望むところだ」
俺は右手を前に出し、炎魔法を使う準備をする。
「…始め」
執事がそう言う。
よし、炎。そう思った時だった。
「ふん!」
執事は体全体に力を入れる。
と、執事の様子が変わった。
腕、脚、胸、すべての筋肉が盛り上がり、いや、発達した。いや、この筋肉の急成長は発達と言っていいのか?そんな体になった。
筋肉が大きくなったため、胸ボタンが弾け飛び、そこからは凄まじい胸筋が見える。女子が見たら喜びそうだな。体だけだったら。
「なッ!?」
俺は、目の前の光景に驚くしかなかった。
「私が20の頃は最も体力的に優れていた時期なのです!」
そうなのかよ…。あんたの青春時代が気になるぜ。
「手加減はしませんぞ!」
そう言って執事は俺の方に飛びかかり、俺の胸めがけて思いっきり殴った。
「ぐおッ!」
とっさに両手を交わらせ、防御の態勢に入ったものの、もしこの体制に入っていなかったら、肋骨は骨折して、肺の機能を停止していただろう。腕へのダメージでわかった。両腕が折れた。
このじいさん、殺す気だ。
さて、どうすっかな。
顔面に放火させるか、まあ、体のどっかでもいいんだが。
服につけて地道にやるか…ピコーン。よし。
俺はなんとか右手を前にだし、炎魔法を使う。
発動方法は前回のことを分析して…
昨日
3日前の事件を分析して、いろいろな発動方法を研究した結果、
・右手を前に出す
・発火させたいものに火がつくイメージをする
・*複数への同時発火は不可
・とにかく集中
この条件が全て整えば発動するらしい。
ボゥ!
執事の頭に火がつく。
「ななななんで!?アチッチチチ!」
急いで火をはらく。
火が消えた頃には執事のヘアスタイルはアフロに…!似合ってるぞ。
そして…!
執事の股間がボゥッと燃えた。
「ホワッチチチ!」
また火を消すために払いて…以下同文。(ちなみに、ちゃんとアフロになりました)
股間を火傷した執事はその場に倒れこむ。股間を火傷するとそんなに痛いんだな。
そんな執事に俺は近づき、炎魔法を発動させる準備をする。
「…貴様ァ、フィレクシスの者か!?」
執事が亮介に問う。
「理由は?」
「魔法の気が少し感じるが、この気はフィレクシスの者とほぼ同じだ。炎魔法もフィレクシスの者と似ている」
「ほう、立派な理由でよろしい」
違うけど。
「まあ、魔法使いでもあり、そうでもない。俺はそんな存在だ」
「なんだそれは…」
「まあいい、これ以上続けるなら目に、いや肺を燃やす」
「……」
執事は手を力ませる。
「わかった、私の負けだ」
「うい、お疲れさん」
俺はそう言って、窓ガラスの破損状況を確認しに行った。
くっそ、ひでーな、この有様は。明日までなんとかなるかな…
「畜生!」
ドン!と思いっきり地面を殴った。
殴ったところには小さなクレーターができていた。
おいおいおい、まさか庭まで壊す気じゃないだろうなぁ?
庭に戻ると、執事は肘をついて泣いていた。
…めんどくせーなぁ。
「おい執事!」
俺に呼ばれた執事は顔を上げた。
「あいつに怪我の手当てをしてもらおうでぜ」
俺はそう言って手を差し伸べた。
「…そうですな」
執事は亮介の手を掴んだ。
「おじい様!亮介さんに何をしたのですか!?」
落下少女が亮介の怪我を聞いて執事に怒った。
「少し、親睦を深めようと…」
「親睦を深めようとして骨折するのですか!?」
「…いえ」
「亮介さん、大丈夫でしたか?」
「ん、ああ」
回復魔法での治療が終わると、腕痛みがどこかに行ってしまった。
「ありがとな」
「いえ」
…
「執事には治療しないのか?」
多分、執事の方が重症かと。
「亮介さんに怪我させる人など知りません」
信用されなさすぎだろ。
「お嬢様!これからはこのようなことは絶対にしませぬ!」
「「そう言って何回約束を破ったんだ?」」
お、落下少女、わかってるねぇ。
「…10回」
「10回!?」
破りすぎだろおい!
「はぁ…」
落下少女がため息を吐く。
「なあ、俺からもお願いだ。治療してやってくれないか?」
「亮介さん、いいんですか?」
まあ、執事の言っていることは間違っていない(と思う)。
親睦は深まった(と思う)。
「ああ」
「亮介殿…」
執事が俺に目を輝かせる。やめろ、鬱陶しい。
「私、亮介殿の護衛をさせてもらいますぞ!」
「勝手に決めんな。気持ち悪い。ら…王女の護衛はどうした」
「いや、そうさせていただきます!気持ち悪くなどありませぬ!王女様の護衛もしますぞ!」
本当、小学生みたいな約束の仕方だよな。
「わかったよ。落下少女、手当してやれ」
「はい」
焼かれた頭皮と股間。
以下略。
どうだったでしょうか?
今回のうpが遅れたこと、ここでお詫び申し上げます。
次回は、向こうのルール(?)についての回になる予定です。
では、また次回でお会いしましょう。さよなら!