R研究所のやつらを捕まえろ!
3 R研究所のやつらを捕まえろ!
11月2日 午前8時。
「おっはよ~!」
チロが起きてきた。
昨日、焼肉を食べた後ルーはおじさんから知らされたことを言った。
「今日からフールーけいさつに泊まりやで!」
「ええええぇぇぇ~!なんで~!」
みんなは口をそろえて叫んだ。
「家に帰りたかった~!」
「つべこべ言うな!」
ルーも負けじと叫んだ。
その後、一番文句を言っていたチロが、一番最初に眠り、今起きてきたのだった。
「あれ?みんないない?」
仮眠室には誰一人残っていなかった。
……いや、よく見ると、フーのベッドだけ少し膨らんでいる。
「みんなどこいっちゃったのかなぁ……?」
チロは呟くと、フーを起こしにかかった。
「起きろぉ~」
ユサユサユサ
揺らしたが、一向に起きる気配がない。
バサァ
チロはフーの布団を剥ぎ取った。
「……あり?」
フーはいなかった。かわりにぬいぐるみと紙が置いてあった。
「わっ!あれ、なんか書いてある。」
チロは小さく叫ぶと、
「ええと……」
読み始めた。
「ねぼすけチロヘ
仕事の説明聞きに行ってきます。
まなみ 同じく ルー
替えの制服取りに行ってきます。
アップル 同じく バナナ
パトカーの整備してきます。
チェリー
なにすればりりの~
フー」
「ええええええぇぇぇぇ!」
チロはありったけの大声で叫んだ。
そのあと……
ダダダダダダ!
誰かが走ってきた。チロには誰が走ってきたかおおよその予想がついた。
絶対フーだ!
バンッ!
仮眠室の扉を開け、
「チロ起きた~?」
よっしゃ!あたり!フーが飛び込んできた。
「フー!」
「チロー!!起きたらみんな、行ってきまーすって言ってどっか消えちゃった~‼」
「やっぱり?」
フーはお菓子を食べあさったようだ。口の周りがお菓子だらけだった。
「朝ごはんなあに?」
チロはきいてみた。
「お菓子だよ。」
フー即答。
「今まで何してたの?」
「お菓子食べてたよ。」
「どんだけ残ってる?」
「まだ大量に残ってるよ。」
そのあともチロはどうでもいい質問をいくつかして、
「なにする?」
本題をきいた。
ろくな答えが返ってこないのはわかっていたが。
「なにしよ……」
フーが答えかけた時だった。
「おーい!誰かこいつら捕まえてくれ!」
向かいのコンビニから声が聞こえる。
「誰か呼んでるよ!」
「フールーけいさつ初出動だね!」
フーとチロは、ねまきのまま飛び出した。
「あ、お前ら警察か?あいつら捕まえてくれ!売り物とられたんや!」
「わかりました!」
「任せて下さい!」
二人はそう叫んで追いかけ始めた。
……が、……。
「おい、……お前ら大丈夫か?」
どんどん引き離されていく。
「だい……じょー……ぶ…」
ついに見えなくなってしまった。
こいつら大丈夫か?
コンビニの店長は思った。
「は……はやいね!」
チロが先に戻ってきた。
「はやいねちゃうやろー‼お前らそれでも警察か⁈」
「……いちおー警察……です。」
「わー‼絶対あれ、捕まえとかなあかんかった感じやん!」
続いてフーも戻ってきた。
「やっぱり⁈どうしよ~!怒られるかな?」
あ……こりゃああかんわ……。
店長は失望して、
「まあ、がんばりや。」
そう言い残してコンビニに戻っていった。
「ただいまー!」
アップルとバナナが帰ってきたようだ。
「どうしたの?そんなに汗かいて。」
「え……。」
「ちょっとね……。」
「もしかしてR研究所のやつらがいたの?」
「R研究所?」
「!!もしかして、R研究所のやつらのことしらない?」
「うん。」
チロとフーは、一番知っておかなければならなかった事を知らなかった。
R研究所のやつらとは、このごろ盗みばかりしている三つ子の事だ。その三人を捕まえる事が、フールーけいさつに課せられた最初の任務だった。
「なにやってんねーん!」
「ちゃんと聞いとこうよ!」
アップルとバナナがR研究所の話をして、
「で、捕まえ損ねたんでしょ?」
気付かれてしまった。今思えば三人いたかもしれない。背格好も今言われた感じによく似ている。くま、うさぎ、とりの三人だ。
「そう……だと思う……。」
チロは正直に答えた。
「なにやってんや?」
そこへ、ルーとまなみも帰ってきた。
「この二人、R研究所のやつらを捕まえ損ねたみたいだよ?」
あっさり言われてしまった。抗議しようと思っていたのに。
フーとチロは震え出した。
「あ……ああ……ごめんなさい……!」
「なにやってんじゃぼけぇ!」
ルーとまなみが激怒した。
「うっわぁ~!ごめんなさいごめんなさいごめんなさぁ~い!」
フーとチロが同時に叫び、
「許すかぼけぇ!」
今度はルーとまなみが同時に叫んだ。
「ただいまー」
チェリーが戻ってきた。
よくみて見ると、何かを連れている。
「こいつらって、R研究所のやつらだよね?」
チェリーはフーとチロが捕まえられなかったものを、あっさり捕まえてしまったようだった。
「さすがチェリー!」
「お手柄やな!」
場が悪そうな顔でチロがまなみの方を見つめている。
あとでみっちり叱らないといけませんね。
まなみは思った。