立場
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「ハァハァ、」
なりやまない音、それはまるで今の自分のおかれている状況みたいでいやだった。
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「ちっ、くそ、」
まさかここまでやばいしせつだったとは。
食事が終わってから数十分、俺はノイルから管理塔(自称)についての説明を受けることになった。
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「いいか、辞めるなら今言えよ後からじゃ無理だからな。」
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「辞めるわけないだろ、せっかく掴めるチャンスなんだから。」|
「チャンス・・・ねぇ」
意味ありげに此方の方を見るノイル。
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「何だよ」
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「いや、はいらないとこの意味は判らねぇょ。」
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「何だ、ノイルは入ったことあるのかよ。」
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「・・・ああ、まあな。」
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「何だよ、その間は。」
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「本当に行くのか?」
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「あぁ、行くぜ。」
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「はっきりいってかなりヤバいぞ。」
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「何が?」
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「セキュリティ」
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「セキュリティ?」
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「まぁお前もすぐに分かるさ。」
それから、俺は怪しい装置の中に入り(空間転移装置とか言ってたっけな。)今ここにいる。
十歩も踏み出せば、放たれる赤い光線(レーザーって言ってた)、永遠と出てくるへんちくりんな物体(警備ロボットらしい)そして一階上がるごとに必ず一ヶ所はあるキルトラップ。
死ぬかもしれない
そう思った時にはもう次の光線が飛んでくる、それも今は何本か連続で。
それから通路のはしで何匹(何頭?いや何人かな)かが火薬(かなりの高威力の)を飛ばしてくる。今俺が生きているのは三ヶ月の訓練と。
ブチ・バキ・ズシャ
同じ人だとは思えない、神力・基礎体力・戦闘技術を持っているノイルのおかげであった。
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「ほら、スピードが落ちてきたぞ。そのままだとレーザーの餌食になるぞ。」
自分に襲ってくるレーザーを見向きもしないで回避するノイル。一方回避するので精一杯の自分。場違いも良いところだった。
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「はぁぁ〜やれやれ。」
立ち止まるノイル。
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「ハァハァどうしたんだ。」
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「やはり、連れてくるのが早すぎたな、戻るぞ。」
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「えっどこへ。」
ノイルが空間を斬る。
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「此処に来るのはやはり早すぎた。一回戻るぞ。」
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「えっ、ちょっと待っ」
問答無用で投げ出され、俺はいつもの場所へ帰って来た。
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「さてと」
ノイルが空間から出てくる。
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「まずはお前のの意見を聞こう、管理塔はどうだった。」
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「その前に一つ言いか?」
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「何だ」
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「何故帰れないと言った。」
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「帰れたらなんなんだ?」
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「帰れたら何だって。」
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「帰れると分かっていたら、入ってから数分で帰っただろ、お前。」
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「・・・」
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「行く前にも行ったはずだが、俺は辞めとけと警告をしたはずだ。」
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「だからって」|
「後悔しただろ、自分が場違いな所に来たって、絶望しただろ帰れないと言われて。」
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「・・・」
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「それがお前の置かれた状況だ、ザック良いことを教えてあげよう、あの管理棟は上は今の三倍はきついぞ。」
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「三倍って。」
あの状況の三倍?そんなの無理に決まっているじゃねえか。
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「この管理棟に今入るのには三つ理由があった。」
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「三つの理由」
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「一つ自分の立場を分からせること、二つ絶望の淵からの脱却だ」
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「絶望の淵からの脱却?」
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「現に感じたはずだ、お前は実力がかけはなれた状況に置かれ、しかも脱出出来ないと言われ、自分の運命…、死を悟り絶望した、しかし、目の前にある生への可能性に必死に喰らい付いた、その状況下でおいて、本来なら死んでもおかしくない状況を生き抜いた。」
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「あれはノイルが…」
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「俺はポンコツロボットを相手にしてただけだ。本来・お前の実力なら一本のレーザーには反応できても、数本のレーザーに反応できなくて焦げ死ぬと読んでいたが。現にお前は数本かのレーザーを回避した。」
確かにどうして俺は生きていたのだろう?
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「そして管理塔に入れた最後の理由は自分の可能性に気付かせることだ。」
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「自分の可能性…」
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「今までのお前は、自分がどれくらい成長しているのか分からず、ただなりふりかまわず修行させられた、その結果自分は本当に成長しているかもわからず、ここがどこかもわからず、色々な事を疑問に思い・色々な考えを抱き・修行にも集中できなくなってきた。」
ノイルの言う一字一句が頭の中を進行する。
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「だが今はどうだ、己の状態を知り、自分の進化が分かり、何に向かうかも見えた。」
目標・可能性・自分の力量
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「改めて言っておこう、この程度の施設を突破できないようじゃ、お前の未来は死あるのみだ、しかしお前がもしこの施設を突破できるような実力が着いたのならば。」
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「着いたのならば。」
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「とりあえず、ゲームを満喫することは出来るだろうよ。」
いつも読んでいただいてありがとうございますm(_ _)m
引き続き次回はに期待してください