次元
バン!!!
衝撃とともにザック達の作戦は終った。
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「ふう、何とか捕まえられたな。」
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「ええ、しかしこの大きさの装置になると、持ち運びの人は大変そうですね。」
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「ああ、少なくとも数週間はいやこの場所からなら研究所に持っていくまで二月位かかりそうだな。と言うかあいつに麻酔がきくのか。」
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「ところで、良く手に入れたなこんな装置。普通の店にはこんなの売ってないし何処で仕入れたんだ。」
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「そこは、企業秘密だ」
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「やれやれ、最悪じゃな。」
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「なんだじじい、力を借りなかったのがそんなに悔しいのか。」|
「龍の肩をみてみろ。」
ザックは龍の方を向いてみた、龍じたいは罠にかかり一切の自由を奪われている。状態であるが、しかし束縛している龍の体の上に何かが乗っている。
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「で、あいつがなんなんだ。」
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「おい、いったいお前は誰と話ているんだ。」
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「そんなことより、龍の体を見てみろ。」
カッツは言われたとうり龍に振り向くと、確かに何かが乗ってるように見えた。
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「………、でいったいなんなんだあれは。」
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「何かが分からないから、聞いているんだ。」
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「ふ〜む、羽もなさそうですし何でしょうかねあれは。」
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「神じゃよ、わしは。」
突如聞こえて来た老人の声は、耳からではなく直接頭に響いてきたかのように聞こえた。
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「ここはこの龍の巣でのう、あ、巣とはいったが龍はこいつ一人しかおらんから安心して結構じゃ。」
声色(聞こえて来た音)から推測すると、かなり年齢が言ってるように感じた。
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「おじいさん、いくつかの質問があるんですが。」
ゾーラが丁寧な口調でいう。
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「なんじゃ、若人わしが答えられることなら答えてやるぞい。」
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「では質問なんですが。まずどうやって其処に上ったのでしょうか、龍は宙に浮いてますから余程足腰がなければ無理です。次に、どうやって私達と会話をしているのですか、貴方との距離は普通に500mはあります、それに脳に響くその声は、私の知識では、けんとうがつきません。」
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「ついでにあんたの名前と年も教えてくれ。」
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「ふむ、いいじゃろう、私の名前はシンじゃ、年と言う概念はわしには存在せぬ。」
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「年と言う概念がないって言うのはどうゆう意味だよ。」
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「ちょっとまっておれ。」
そういうと、シンと名乗る老人はゆっくりと降りてきた。
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「どうやら、あなたと同じ神力を持っている人がいましたよ。親族の方ですか。」
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「どう考えたらその発想が出てくる。」
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「ほう、お主もこの力を持っているとは。」
そういいながら、髭を撫でながらゆったりと降りてきた(落ちてきた)
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「それでジイサン、いったい年の概念がないってのはどうゆう意味なんだい。」
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「そうせかすな、何のためにここまで降りてきたと思う。」
そういうとシンの体が変わっていった。まず身長が伸びていくそれにともない老化したように見える、肌に潤いがでてきて、たった数秒で老人が青年に変わっていった。
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「これで分かりましたか、年の概念がないと言う意味が。」
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「化け物かあんたは。」
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「いったはずですよ私は神だってね。」
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「それで、その神さまがこんな田舎に何のようだい。」
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「選定ですよ。私はある人とゲームを行っていてね、そのゲームに使う駒を探していたわけですよ。」
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「だとしたら悪いことしちまったな。生憎その駒は俺達が手にいれてしまったからな。」
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「別に良いですよ、もともとこの駒は捨て駒でしたから。」|
「なんだと。」
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「むしろ、お礼を言わなければなりません。良くこの駒を潰してくれました、そのお陰で」
シンの表情が変わる、ザックはとっさに双剣を持ち、シンに突っ込む。
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「あなた達みたいな良駒を潰せるのですから。」
ザックの攻撃も空をきり、再びシンは龍の上へと上っていった。
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「そいつを動かそうとしても無理だぜ、その罠は時間式だから数日たたないと機能はとめられないからな。」
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「私がやってるゲームでは、駒は一つしかありません。だから私ともう一人のプレイヤーは駒を慎重に選ばなければなりません。」
シンが何かを取り出しているように見える。|
「ですから、この龍は不適でした、彼は自分の強さに自惚れて相手の強さをはかろうとしなかった………。その結果は見れば分かるでだろう、やはり勝者になるには力だけでは駄目なんですよ、やはりちゃんと自分の力量を踏まえてやらやらないとそう彼のように。」
突如龍の体に異変が起きた、体には血管が浮き出て、眼球は充血し唸り声をあげる、それとともに少しずつだが確実に龍が動き始めている。その風景はまるで……
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「初めて、化け物と言う意味が分かりましたよ。」
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「呑気なこと言ってる場合か食われるぞ。」
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「だとしてもどうすれば良いのですか、私達が出来ることはありませんよ。」
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「さて、皆さんにはここであるゲームをしてもらいます。見ても分かるように龍退治です、この罠の効果が切れるまでは彼には一切の攻撃をしないように命令してあります。勝ち負けは簡単です、皆さんが死ねば私の勝ち、生きていれば私の敗けです。」|
「勝ったら何か報酬出るのかい。」
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「残念ながら私は物と言うのは必要ないので持っていません。情報でしたら罠が切れるまでの間お答えしましょう。」
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「でしたら、ゲームの内容についてでも聞きましょうか。」
ゾーラは護方陣を作りながら質問をする。それと同時にカッツやザックも狩りの準備に入る。
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「なに簡単なゲームです、人と魔獣をどちらかを選んで戦わせるゲームですよ。」
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「戦わせるってどうやってやるんだよ。」地面を上げるながらカッツも質問する。
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「なに、契約で力を貸す代わりに、私達の言うことを聞いてもらいますよ。」
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「言うことをきかなかったらどうするんだ。」
ザックはシンに斬りかかりながら質問をする。
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「私達は馬鹿じゃありませんよ、そうゆうことがおこらないよう慎重に選定します。」さらりと攻撃を回避しながら答える。
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「それであなたはいったい何と契約したんですか。」
護方陣から大量の氷の矢がシンめがけてとんでくる。
ザックはぎりぎりまで相手の視界に入り矢を見えないようにする。|
「何で契約したと思います?」
ザックが高度を落とす、途端にシンの目の前には大量の氷の矢が見えて来た、しかしシンは片手何やら薄い盾を張り簡単に攻撃を防いだ。
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「簡単な理由ですよあの龍の変化を見ればだいたい寄生型の魔獣にとりつかれたことが分かります、ですがまだ龍を寄生できる魔獣なんてまだ発見されていません。いやそもそも龍に寄生できる魔獣なんてこの世界に存在しないかもしれません。よって私はあなたが寄生型の魔獣と契約をしたのだと考えます。」高度を下がったザックがシンの方を向いてみるとシンの上空に巨大な氷柱があることに気付いた。恐らく片手矢を発射しもう一方の手で氷柱を作成しているのだろう。
一方台座を作った後のカッツはと言うとこれまた巨大な護方陣を作って何やら作業している。
(さて俺はどうしようか。)
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「ほう、あの症状でそこまで推測できるとはなかなか博識の方ですね。」
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「これでも、一応はバインダーですから。」
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「でしたら、龍の中にいる寄生獣を速く殺さないと多分あと十分で壊れますよ。」|
「ご安心を一分もあればもう出来上がりますから。」
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「まさかこの上空にある氷柱一本で倒せるとでも。」
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「半分正解ですね。」
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「へぇ、ではどうなるかちょっと見てみましょうか。」
シンはゆっくりと龍から遠ざかっていった。それとともに、氷の矢が消える。
どうやら彼の氷の矢は目線を矢に向けさせることに意味があったと言うことが初めて分かった。
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「なるほど氷の矢は複線で本命は上空の氷柱と………、地面に書いてある巨大な護方陣の何かですか、良く考えていらっしゃる。ですが果たしてその両方のブレスで龍が潰れますか。」
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「さぁ、それはやってみないと分かりませんね。」
そういってゾーラは上空にある氷柱を落とし始めた、落下してくる氷柱を確認して地面にある巨大な護方陣の円から先がとがった鉱石が上へと上っていく。
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「あと五分。」まず氷柱が龍に当たるやたらとうるさい龍のうめき声が一層酷くなる続いて下から出て来た鉱石に当たる。さすがに龍も皮膚がところどころ剥がれ落ちるがしかし………
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「やはり殺すまでにはいきませんでしたが。あと一分。」
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「ちっ、これでも死なないのかよ。」
上から全身全霊の力を持って圧力をかけているザック。
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「くっ、ここまでですか。」
台座の上に乗り氷を硬化するゾーラ。
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「頼むからとっとくたばってくれ。」
硬化と上昇を必死にするカッツ。
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「あと三十秒。」
ここにきて圧力をかけていたザックが圧力をかけるのを止め、龍の頭に降りてきた。
そして………
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「だりゃあー!!!」
雄叫びとともに、龍の眼前にある空間は違う空間に変わっていった。|
「何ですかあれは。」
台座にいるゾーラが目をやるそのさきには青いはずの空の間にあく紫色の楕円、そして楕円が広がるにつれてどんどん吸い込まれるように風が吹いてくる。|
「いったいあいつは何をやってるんだ。」視点的に見えないカッツは硬化するのをやめ、鉱石にくっついていた。
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「やはり彼はとんでもない素質の持ち主でしたね………ですが。」
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「くっ、あともう少し何だが。」
あともう少し、あともう少しで龍の頭が入る大きさになるんだが。すでにザックの力も限界に達していた。
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「ここまでなのか。」そのとき全ての時が止まった………
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「決断の時じゃ小僧。」
自由きままに書いていますm(_ _)m、ひきつづき次話に期待を