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ストリートピアノの怪

作者: 結城 からく
掲載日:2026/09/12

●昼間の自宅


自宅で寛ぐ拓斗、彼女の秋穂に話しかける。


拓斗「この近所のストリートピアノ知ってる?」

秋穂「駅前の広いスペースにあるやつ?」

拓斗「そうそう、あそこに幽霊が出るらしいよ」


拓斗、脅かすような顔で述べる。

秋穂、怪訝そうに応じる。


秋穂「何それ。怪談話?」

拓斗「深夜二時半にあのピアノを弾くと出るんだって」

秋穂「それを私に確かめてほしいってこと?」

拓斗「おお、話が早いねぇ。頼んでもいいの?」

秋穂「別にいいけど……」


秋穂、嘆息する。

拓斗、秋穂に抱き着いて笑顔になる。


拓斗「ありがとうー! また感想聞かせてよ!」

秋穂「はいはい、わかったから。私が帰ってくるまでに、ちゃんと部屋の掃除しといてね」

拓斗「了解!」

秋穂「じゃあ行ってくるね」

拓斗「いってらっしゃーい」


秋穂、部屋を出て行く。

拓斗、笑顔で手を振って見送る。

一人になった拓斗、意味深に笑う。


●深夜、駅前のストリートピアノ


深夜、秋穂がこっそりとストリートピアノの前に座る。

拓斗、遠くからその様子をこっそりとスマホで撮影する。


拓斗M「幽霊の話が全部ウソだと知ったら、どんな顔するかなぁ」


ニヤニヤと笑う拓斗。

秋穂、演奏を開始する。


拓斗M「こういうイタズラとかドッキリってやめられないんだよな。秋穂の場合、リアクションも最高だし」


秋穂、演奏を続ける。

拓斗、楽しそうに笑う。


拓斗M「良い感じのところで驚かせて撮れ高作るか」


楽しそうだった拓斗、ふと何かに気付いて怪訝な顔になる。


拓斗M「この演奏……おかしくないか? どう聞いても一人じゃ無理だろ」


スマホの画面を見て、ぎょっとする拓斗。

演奏する秋穂の隣に制服姿の少女が座っている。


拓斗「えっ」


拓斗、スマホを下ろして大声で呼びかける。


拓斗「おい、秋穂! なんかやべえって!」


秋穂、無視して演奏を続ける。

焦る拓斗、秋穂のもとへ駆け寄る。


拓斗「秋穂! ごめん、これドッキリなんだ! 幽霊なんか本当はいなくて……!」


拓斗、秋穂を掴んでピアノから引き離そうとする。

秋穂、びくともしない。


拓斗「演奏やめろって! おい!」


その時、不気味な笑い声が響き渡る。


幽霊「あっはっはっはっはっは!!」

拓斗「ひっ!?」


拓斗、飛び退く。

きょろきょろと見回すが、笑い声の主は見当たらない。



拓斗「そ、そうだ……」


拓斗、恐る恐る前方にスマホを向ける

画面いっぱいに幽霊の顔アップで写り込む。

拓斗、驚愕して腰を抜かして悲鳴を上げる。


拓斗「うわああああああああああああぁっ!!」


ピアノによる起立・礼・着席の和音が響き渡り、画面が暗転。


●翌朝・駅前のストリートピアノ


翌朝、立ち入り禁止となったストリートピアノ。

人々は戸惑いながら、チラチラとピアノを見ながら行き交う。

ストリートピアノのそばにブルーシートがかけられている。

ピアノには撤去予定の貼り紙が貼られている。

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