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第30話 風呂

冷気が一瞬入り、戸が閉まる。

家の中に、炉の火がはぜる音と湯気だけが残った。

レスクヴァは囲いのそばに立っている。

そこを動く気配はない。

「レスクヴァは...?」困惑する雪乃

「私?どうかした?」当たり前のような声


レスクヴァに悪意は無い。

ただ、ここは自分の家で、体を洗うのは日常だというだけ。


レスクヴァが棚から粗い布を取って差し出す。

「はい。これ、使うでしょ」

「ありがとう」雪乃が受け取り囲いの中に入る

そして、諦めて服を脱いだ。

タライにしゃがみ込み、桶から柄杓でお湯をすくい体にかける。

こんな状況でも素肌にお湯はありがたい...


レスクヴァは囲いのすぐ横に立ったまま、体を洗う雪乃を見下ろしている。

「熱い?」

「ううん...ちょうど良い」

「ふうん」


しばらく見つめていたレスクヴァが口を開いた。

「その黒い髪、重くないの?」

「重くはないかな」意外な質問に雪乃が苦笑した

「こっちの人間じゃ珍しい」そう言いながらレスクヴァが雪乃を観察する

「見ないで」雪乃が身を縮める

「なんで?」不思議そうな表情のレスクヴァ

雪乃は一瞬言葉に詰まる。

「なんとなく」


レスクヴァは少し考える。

「あんたたち、私や兄さんより鼻は低いし子供っぽいね」

「人種が違うから」困り顔の雪乃

「あんた、ほんと美人ね、肌は綺麗だし。目は黒い石のやじりみたいに澄んでるけど、子供っぽい。胸も小さいし」

「見ないで!」雪乃は背中を丸めた


そんな雪乃を見てレスクヴァは肩をすくめて微笑んだ

「私も湯は好きだけど、シャールヴィ兄さんは雪と布で体を拭けばいいって言う」

「そんなんで良いの?」雪乃は目を丸くした

「神様たちはもっと平気。湯浴みをしても良いし、しなくても良い」レスクヴァがまた肩をすくめる

「人の子は面倒だよね」それでもレスクヴァはどこか楽しそうだ。


雪乃は下着を洗い、思いっ切り水を絞った。


体を洗い終えて、雪乃は心地良いため息をついた。

湯をかけただけの風呂だったが、体は温まり血の巡りが良くなった感じがする。



風が吹き抜ける家の外。

男達は白い息を吐きながら、空を見上げていた。

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