第18話 次の地帯だ
再び旅路へと連れ出されたマントの中。
揺れる旅。
だが、奇妙な安心感もあった。
巨大な足音。外界から守られた空間...
一行は再び進んで行く。
雪原。いつまで続くのだろう。
だが。
数分...あるいは数十分おきに、
時間感覚はもう判らないが、マントから顔を出してみる。
世界が、変わり始めた。
「あれ...」
雪原の先、白が終わっていた。
境界線みたいだ。
まるで塗り替えられたように、景色が切り替わっている。
雪が消えている。
代わりに現れたのは、黒。
地面。むき出しの岩。荒れた大地。ひび割れた石。
風に削られたような鋭い起伏。
そして、空気が違う。
「寒っ...!」
トールのマントから顔を出していたら、突然、冷たさの質が変わった。
雪原の刺すような冷気とは違う。
乾いた寒さ。
体温を奪うというより、体を削ってくるような冷たさ。
息を呑む。
吹きすさぶ風。だが雪は無い。
代わりに、細かな氷の粒のようなものが空中を漂っている。
砂嵐のように。
「地面が硬そう...」雪乃がつぶやいた
トールの重い足の運び一歩一歩から伝わる確かな感触。
沈まない。それだけで妙な安心感がある。
辺りを見回してみる。
振り返る。背後にはまだ雪原。
境界で切り分けられた二つの世界。
連続性が感じられない。
トールは気にした様子も無く、当然のように岩地へ踏み込む。
「次の地帯だ」簡潔すぎる説明
「歩けば世界も変わる」ロキが笑う。
乾いた地面は雪ではない。
岩。ガッシリとした地面が彼方に見える。
体の右半分が、密着した雪乃の存在で暖かい。
訳のわからないこの世界で、この温もりだけが励ましになっている。
雪乃には申し訳ないけど...
白から黒へ。世界の継ぎ目を越え、トールは歩き続ける。




