嘆きのメール

作者：桐ケ谷アスナ

深夜2:00。カフェ「月影」のカウンターに、ネオンの緑が揺れる。ツバキはスマホを手に、黒髪ショートを指でくるくる弄ぶ。青白い目が画面を滑る。「通知、うざ。推しの配信、またラグってる。」レモンスカッシュが泡立つ。「うっ、酸っぱ！」一口飲んで顔をしかめる。歯がキーンと鳴る。親友の写真と星型ピアスが、机の端で光る。ガタン。ガラスコップが揺れる。振り返るが、誰もいない。鏡に映る自分の顔。背後に、黒い影がチラつく。「…またか。」親友の笑顔が脳裏に浮かぶ。スマホが震え、通知音。メール着信。「件名：嘆きのメール」。ツバキの指が凍る。「…始まった。」

ハルカ、20歳、大学生。扉を勢いよく開け、ずっこける。「いて！なにこの床、ツルツルすぎ！」リュックから教科書がドサドサ落ちる。ツバキがため息。「お前、毎回それで入ってくるな。」ハルカは笑顔で立ち上がる。「えへ、ツバキさん！月影のレモンスカッシュ、最高！」ハルカの傷：親の期待に縛られ、医学部を目指すが、夢はイラストレーター。SNSで「キラキラ」を演じるが、裏では孤独。表の投稿は「勉強楽しい！」、でも裏で愚痴。「今日も教授にダメ出し…私、ダメ人間？」

ソウジ、25歳、カウンターの端でスケッチブックを広げる。「ハルカちゃん、元気すぎ！俺の新企画、聞いてくれ！」デカい身振りで語る。「貧困をぶっ壊すアプリ！母さんの夢、叶える！」ソウジの傷：前作の復讐で心に空虚が残る。母の「夢を諦めないで」が刺さる。マナ、24歳、同僚が隣で微笑む。「ソウジさん、熱いね。でも、寝て？」マナの傷：父の失業で家計を支え、職場で「いい子」扱い。ソウジの情熱に自分を重ねる。ハルカが目をキラキラ。「ソウジさん、カッコいい！私も夢、諦めたくない！」

アキ、20歳、ボロボロのコートで入店。元依頼者。「ツバキ、また呪い？」ツバキが睨む。「黙れ。関係ねえ。」アキが笑う。「地獄、懐かしい。」アキの傷：親友を裁いたが、笑顔は戻らず、孤独。ハルカがアキに近づく。「ねえ、なんかカッコいい！探偵みたい！」アキが鼻で笑う。「ガキ、呪いは洒落にならねえ。」ハルカが首傾げる。「呪い？ホラーゲーム？」

ハルカのスマホが震える。メール着信。「件名：嘆きのメール恨みを晴らします。相手の名前と理由を。」ハルカが笑う。「チェーンメール？懐かし！」ツバキが鋭く。「消せ。」ハルカは無視。「え、面白そうじゃん！送信者…変なアドレス！」ソウジがスケッチブックをバタン。「ハルカちゃん、詐欺だろ！情報抜かれる！」マナが笑う。「ソウジ、ソウジ。」ハルカが爆笑。「ソウジ！うける！」

ハルカの大学。ゼミで晒し上げ。「ハルカの絵、素人すぎ。医学部諦めな。」教授の言葉にクラスメイトがクスクス。ハルカのSNS、表は「勉強楽しい！」、裏で毒。「教授、消えればいいのに。」深夜、スマホにメール。「嘆きのメール送信しますか？」ハルカが冗談で入力。「教授、山田太郎、理由：夢バカにした。」送信。画面が暗転。通知音。ハルカが笑う。「うそ、リアル！」

翌朝、大学で騒ぎ。教授が突然休職。SNSで噂。「山田教授、精神崩壊。」ハルカの背筋が冷える。「…まさか。」カフェでツバキに相談。「ツバキさん、メール、ヤバいかも。」ツバキがスマホを奪う。「見せろ。」メールを確認。「…送ったな。」ハルカが焦る。「冗談だった！呪いってマジ？！」ソウジが割り込む。「ハルカちゃん、落ち着け！俺も昔…」マナがソウジの手を握る。「ソウジさん、言わないで。」アキがカウンターに肘。「ハルカ、代償知ってる？地獄だ。」

ハルカのスマホにメール。「代償：夢を差し出す。」ハルカが震える。「イラスト…？」ツバキが冷たく。「地獄か、崩壊か。選べ。」ハルカが叫ぶ。「取り消したい！」メールが自動送信。「取り消し不可。」画面にノイズ。鏡に映るハルカの顔。背後に影。ガラスコップが割れる。ツバキが立ち上がる。「ハルカ、逃げろ。」ハルカが泣きそう。「どこに？！」

深夜、月影。ハルカはソウジのスケッチブックに絵を描く。「ソウジさんのアプリ、こんな感じ？」ソウジが感動。「ハルカちゃん、天才！母さん、喜ぶ！」マナが笑う。「ハルカ、いい子。」アキが呟く。「呪いは…いい子も食う。」ハルカのスマホが異常発光。メール。「次の恨みは？」ハルカが叫ぶ。「やめて！」画面に文字。「あなたも地獄へ。」ツバキがハルカの肩を掴む。「目を覚ませ。」

ハルカの夢。イラストのキャンバスが血で染まる。教授の笑い声。親の声。「医学部以外、認めない。」ハルカが叫ぶ。「私の夢、返して！」目覚めると、月影。ツバキがハルカのスマホをハッキング。「システム、壊す。」ソウジが叫ぶ。「ツバキ、危ない！」マナが祈る。「みんな、無事で…」アキが鏡を見つめる。「影、動いてる。」鏡に赤い雫。通知音が連打。メールが暴走。「地獄は終わらない。」

ハルカがスケッチブックを手に。「私の夢、諦めない！」ソウジが頷く。「母さんの言葉、思い出した。夢は壊させねえ！」マナが涙。「私も…家族のために。」アキが笑う。「ガキ共、いいじゃん。」ツバキがスマホを叩き割る。画面が砕け、通知音が止まる。鏡の影が消える。ハルカの傷：親の期待に抗い、夢を貫く決意。ツバキの傷：親友の笑顔を思い出し、呪いから解放。ソウジとマナの絆が光る。アキが呟く。「地獄、終わった？」

深夜4:00。月影。ハルカがスケッチブックに絵を描く。「ツバキさん、月影のロゴ！」ツバキが微笑む。「悪くねえ。」ソウジが叫ぶ。「ハルカちゃん、俺のアプリのキャラも頼む！」マナが笑う。「ソウジ、落ち着いて！」アキがコートを羽織る。「じゃあな、呪いフリーのガキ共。」扉が開く。誰かが立つ。影が揺れる。ツバキが親友のピアスを握る。「…次？」ハルカが笑う。「もう、メール来ねえよ！」闇に、光が差す。

END