想う 心
「海斗君、大丈夫?ずっと上の空で、、」
紅葉たちと遊んだ後、俺は家で仕事をしていた。
その時に同じ職員の花江さんは心配そうに尋ねた。
僕自身なにか体調の変化もないし、心身ともに正常だ。
なんともない。
「ああ、すみません。大丈夫ですよ」
「それならいいけど、海斗君もまだまだ子供なんだから無茶しちゃだめよ」
「あの子たちのためにも体悪くするわけにいかないですもんね」
「そういうことではないんだけど、、まあいいわ。私はもう上がるわ。お疲れ様」
「お疲れ様です。」
とことこと足音を響かせ花江さんは部屋を出て行った。
部屋に残るのはパソコンキーボードをカタカタと叩く音だけ。
異様とまで思われる静寂の中僕の思考は紅葉のだった。
彼女は前々から紅葉を見てみたい。そう望んていた。
そして、今日彼女は外の世界に出た。
それは当人にとってはうれしいものなのだろう。
僕も笑顔の紅葉を見ることができてうれしかった。
でも、紅葉の夢、それがもし果たされたら。彼女はそのあと何を望むのだろう。
何もなくただ時間の流れに身を任してしまうのだろうか。
本人の選択なら、それもありなのだろう。
でも、僕は紅葉にもっといろいろなことで一喜一憂してもらいたい。
辛いことも楽しいことも一緒に、、
僕はいつしか紅葉とともにいたいという思いを|持っていてしまっていた《・・・・・・・・・・・》
「海斗にい。みんなおなか減ったって」
悠は本当にいい子だ。
お手伝いを進んでするし、みんなのために進んで行動を起こす。
たまにやんちゃなことをするがそれぐらいかわいいものだ。
悠以外の子もみんないい子だ。
でも時々、大人げなく彼らがうらやましく思えてしまう。
自由で自分自身に縛られることなく悠々と過ごすその姿が。
「ごめんね、今作るよ。」
紅葉。僕は君のせいで、忘れていた気持ちを思い出してしまったようだ。
別に、この気持ちも君も悪いわけじゃない。
それでも、この気持ちは僕たちを蝕む毒なんだ。
僕は大人にはなれていなかった。




