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始まった 夢


「おまたせ、海斗」


ロビーに来たのは、車いすに乗った可憐な少女。

普段とは違うメイクに、髪型。

いつもの質素な服とは志向の変わった地雷系の服に身を包む


その赤く染まった君を見たとき、僕の心は激しくドキドキと響いた。


「きれいだね、紅葉。」


その言葉は、自然と零れ落ちたように僕の口から出てきた言葉。


彼女は、その名前のように顔を真っ赤にして、ありがとうそうつぶやいた。


「じゃあ、そろそろ行こうか、」


「そうだね、」


「私たちは目的地知らないんだから先導たのむよ、海斗くん」


そうして、僕たちは病院を出た。



病院を出て、4,5分。

若い女の子を中心に今話題となっているカフェに来た。


「ここって、」


「今人気の場所って聞いたしちょうどいいかなって」


ここのカフェは昔ながらのレトロな雰囲気と、映えを意識した、かわいいスイーツが人気なのだという。


「わたし、前からここに来てみたかったんだよね!」


そういうと、レイさんはすたすたとカフェの中に入っていった。


僕もここに来るのは初めてだったが、カフェはダークブラウンの木目調の空間にコーヒーの香りが広がって心の落ち着く空間になっていた。


僕たちは邪魔にならないようにと、カフェの奥の席に着き、それぞれコーヒー、イチゴタルト、

アフタヌーンティーセットを注文した。


「あれ、海斗コーヒーだけでいいの?」


「僕のことは気にしなくてもいいんだよ」


「そうはいってるけど、ここおごろうとしているんじゃない?」


「そういうのは気が付いても言わないものですよ」


「それこそ、支払いのことなんて気にしなくていいんだよ」


レイさんはそういうと僕にアフタヌーンティーセットについていた、ミルフィーユを僕の近くに置いた。


「そうだよ、海斗!わたし今までいっぱいパパからもらったおこずかいあるからお金は各自で出そうよ」


今度は紅葉が、イチゴタルトを一口分切り分けてくれた。


「じゃあ、お言葉に甘えて、、」


しかしながら、向こうは意識していないのだろうけれど、このフォークさっき紅葉が使っていた、これって、間接キスになるんじゃ、、


その時、一瞬紅葉の耳が赤くなっているのが見えた。

紅葉も気づいていて、意識している。

そのうえでやっているのだ。


僕はパクッと差し出されたイチゴタルトを食べた。


「これ、すごく甘くておいしいね」


紅葉は顔を下に向けながらコクコクと上下に振っていた。


このイチゴタルトの残った甘さをコーヒーで、流し込む。

甘さとほろ苦さが優しく溶け合って、、


レイさんはこちらに目もくれず、紅茶とマカロンをほおばっていた。



次に向かったのは、桜木病院から10分ほどで来れる駅ビル。

ここには若者に人気のファッションブランドや、雑貨屋、映画館にゲームセンター。

ここら辺の学生はたいてい放課後にここで遊ぶ。それほどまでに学生に魅力的な場所だ。


「紅葉はこういうところ好きかなっておもってきてみたんだけど、どう?」


「私、こういうところ始めてきたから今すごくドキドキしてる!」


「それならよかった。」


「連れてきてくれてありがと!レイちゃん!車いすに座ったままプリクラって撮れるかな!」


「私たちで抱えれば撮れとと思うよ」


「せっかくならみんなで撮ろうよ!私プリクラ撮ってみたかったんだ!」


そうして、まずはゲームセンターでプリクラをとることになった。

僕と紅葉はあんまり写真慣れしていなくて、不自然な笑顔になってしまったけど、レイちゃんがすごく自然な笑顔で、僕と紅葉が余計面白おかしく映ってしまった。

それが、とても面白くて僕たちは涙が流れるぐらい笑いあった。


そのあとはみんなでできるメダルゲームや、リズムゲームで遊んだ。


「紅葉ちゃん、楽しんでるところ申し訳ないけどさ、もう病院に帰らないと、、」


そうこうしているうちにもうすっかり夕方らしい。

僕も紅葉も時間を忘れてはしゃいでしまっていた。


「もっと、いたかったな、、」


紅葉はこの時間がそれほどまで楽しかったのか、

時の流れにかなり悲しさを見せていた。

それを証明するかのように、紅葉の頬には一筋の涙が流れた。


「今日はもう無理でも、明日もあるし、明後日もある。また来ようよ」


ここは、病院からも近い、ここに来るのはそう難しいわけでもない。


「今日、そこまで楽しめたのなら、明日はそれ以上に楽しい日にする。」


その時、レイさんが紅葉に語り掛けた。


「今日が最後じゃないんだから、悲しい気持ちは心の奥にしまってさ、明日を今日以上に楽しくするために今日を楽しいで終わらせよ」


「レイちゃん、、」


「楽しい明日は、もう始まっているんだよ!」


「ほら、涙拭いて、紅葉は泣いてるより、笑顔のほうがきれいなんだし」


僕は、懐から出したティッシュで、紅葉の涙を拭いた。

紅葉はそれでも、うつむいたままだったけど、すこし、笑っているように見えた。


「二人とも、ありがとう、、もう大丈夫だよ、帰ろう」


「明日は何しようね、紅葉ちゃん」


そこから先、病院に帰るまでレイさんと紅葉はずっと笑い話をしながら歩いていた。

僕はその後ろをゆっくりついていった。

そのとき、紅葉の顔がすごく真っ赤に、もみじの葉のように、染まっていたように見えた。

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