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想い 感謝 乗せて


「レイちゃん。はいこれ!」


強い日差しが鬱陶しさを感じさせる病室で私たちはいつも通り会話をしていた。


「えぇ~!ありがとう!」


レイちゃんに渡したものはこないだ渚と選んだ猫のキャンドル。

金木犀の香りのキャンドル。


「でも、どうしてプレゼントなんてくれたの?宝くじでもあたった?」


「いやいや、いつものお礼だよ。ありがとうって。」


「そっか、こちらこそ、私と仲良くしてくれてありがとう!」


レイちゃんはぎゅっと私に抱き着いてきた。

私も反射的に抱き返す。


1分ほどこれが続いた後、レイちゃんから力が徐々に抜けていき、私たちの距離は空いていく。


「ところで、海斗君にはこれから、渡すの?」


「うん、一応、そのつもりなんだけど...」


実は、昨日。レイちゃんが休みで病院にいなかった日。

海斗がいつものように病院に来て渡そうとしたのだが、プレゼントを渡せなかった。

と、いうのも、いままでは何ともなかったのに、いざ渡すとなるとなぜか動悸が激しくなり、渡せなかったのだ。


渚に聞いても、知らないというし。ほかの看護師さんに来ても大変だねと笑うだけ。


一体私はどうなってしまったのだろう。


「じゃあさ、それって消費期限ってないよね?」


「うん。まあ、ないけど」


「なら、紅葉を見に行くときにサプライズで渡してあげようよ!」


たしかに、それはいい案かもしれない。

でも、それまでにあの動悸を治せるだろうか……


「…紅葉ちゃん。海斗君の事好きなんだよね?」


心臓が跳ねたような衝撃が走った。昨日と同じあの動悸がする。


なんで海斗のことになるとドキドキするのか、いま海斗のことを意識しているのか。


海斗は大切な友達。好きという感情はあったけど、それは友達としてだ。


なのに…それなのに……私は海斗に恋をしているの?


意識したことのないこの感情に私の心臓は支配され、絶えず激しい動機が襲ってくる。


恋とは一体何なのか。

それを知るには、あまりにも私は世界を知らなかった。

それを知るには、あまりにも私は無知だった。


この感情の正体は。そして、この感情が一体どんな未来へと導くのか。

それをまだ私は知らない。

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