93、拒否されない共闘
マフナとのお出かけ…内心デートだったらいいのになーという日が終わりまた学校生活が始まる。
立て続けに悪の組織が襲いかかってくることはなく日が流れ、5月が終わり6月になり、じわじわと暑くなっていく時期が来た。
「上機嫌だね、半身」
学校にて、最初の授業が始まる前、知木に話しかけられる。
「まあな、そろそろマフナに頼まれた石にエネルギーを込める作業が終わりそうで気分が良いんだ」
またマフナと仲良く会話出来る、そう思うとテンションが自然と高まる。
「本当、人て恋すると変わるものだね」
「まあ確かに最近戦闘力は高まっているな」
ネガゴッド総裁に目をつけられたのもあるが、マフナが共闘を受け入れたおかげで、筋トレやランニングに力とやる気が入り、何時もよりトレーニング量が増えた。
「恋して戦闘力上がるのは多分この国では半身位よ」
「そうだな、普通はメンタル的に強くなると聞くけどな」
そんな会話をしているとジリジリジリ!と火災報知器の音が鳴り響く…朝から実際に火災が起きた可能性は極めて低い、ならば起こるのは…。
『トテモネガティブダーが現れました、生徒、各職員はグラウンドに避難してください』
放送が鳴り響く、朝っぱらから悪の組織が暴れるとは初めてな気がする。
「そう言えばマフナとの共闘が許されたんだっけ?」
「ああ、前話したようにネガゴッドの総裁を撃退した力を認めてもらえてな」
「気をつけていってね、学校だと狙撃支援出来ないから私は先生が半身の事を気付かないようにしておくから」
「ああ、ありがとうな、気をつけていってくる」
騒ぎの音からして、敵は…上……屋上か!
近くに先生が居ないことを良いことに俺は手早く屋上に向かった。
屋上にたどり着くとマフナとスカイホップがアンチトリックと四角い箱のような姿に手足がついた化け物…トテモネガティブダーと相対していた。
「お…壁牙!またきたの!?」
「大丈夫スカイホップ、もうあの人は下手に遠ざけるより近くに置いといたほうがいいわ」
「た、確かにそうかも知れないけど…」
困った顔をするスカイホップ…すまんな月凪…マフナと仲良くなる為にちょっと共闘させてもらうよ。
「天壁壁牙…ネガゴッドの要注意リストに入ったみたいですね…」
「総裁にお出かけの邪魔された際に一矢報いたからな、大事なお出かけの邪魔をしたネガゴッドの総裁が悪い、それで要注意リストに入れるとか心の狭い総裁だな」
ちょっと煽ってみる、するとアンチトリックが少しキレ気味にトテモネガティブダーに命令を下した。
「トテモネガティブダー、最優先撃破対象は天壁壁牙だ、殺れ!」
「トテモネガティブダー!」
「煽り耐性の低いやつめ!うおっと!」
トテモネガティブダーが殴りかかってきたので回避する、マフナとのお出かけ後足がめちゃくちゃ筋肉痛になったけど、すでに治ってある。
あの筋肉痛のおかげか前よりも素早くステップ回避が出来るようになった気がする。
今の状態ならタワーシールドは非常時用のガード用に基本は腕輪の状態で身につけたほうが良さそうだ。
「マフナ、スカイホップ、俺がトテモネガティブダーを惹きつけているから攻撃を頼む!」
「あーもう分かった、行くよマフナ!ムーンバレッド!」
「ええ、壁牙のスタミナが尽きる前に終わらせましょう」
スカイホップが月の形をした魔力を撃ち出して、トテモネガティブダーを攻撃する。
「ふん、トテモネガティブダー、貴様の特殊効果を見せてやれ!」
「トテモネガティブダー!」
箱型のトテモネガティブダーは口がないにも関わらず咆哮をすると、箱の一部に扉を作り出した、何か吐き出して数で押してくるのか?と思っていると、扉が開き…吸引し始めた!
「うお!?」
素早くタワーシールドを取り出して踏ん張る、かなり強い吸引だが、タワーシールドの重さで耐えられる、そう思いっていたら…。
「きゃあー!?」
マフナが吸引に耐えられず吸い込まれていく!
「く、マフナ!」
咄嗟にタワーシールドを腕輪に戻して、短剣をポケットにしまい、マフナに向かって跳躍する!
「キャッチーーーー!」
両手でマフナをキャッチするが…俺の重さじゃ空中で吸い込みに耐えることは出来なかった。
「すまんスカイホップ後は任せた!!!」
「壁牙おに…壁牙ー!?マフナー!?」
スカイホップを残したまま俺とマフナはトテモネガティブダーの扉の中に吸い込まれていった。




