8、整理する昼休み
登校時に数多の生徒とすれ違ったが、誰も月凪の肩に座っているマフナの存在には気付かないのか、皆スルーしている…学年差で月凪と別れる直前まで俺と知木以外はマフナの存在は知られることはなかった。
「凄いわね、誰も月凪の肩の存在を突っ込まない…」
「そうだな…まあ、細かい話は昼休みにしよう」
「そうね、話すことが多いから10分休憩じゃ話しきれないわ」
知木とコソコソ会話をしてから知木と一緒に教室に入り、自分の席に座ると、色んな人…というか同級生に囲まれた。
「なあなあ、悪の組織に襲われたと聞いたけど大丈夫だったの!?」
「聞いた話しでは複雑骨折での入院て聞いたけど元気そうだな!?」
どうやら病院送りにされた件で注目を集めたみたいだ。
「質問は時間が許す限り答えるからな」
こうしてホームルームが始まるまで、クラスメイトの質問に答えるのだった。
途中で知木と付き合っているの?と聞かれたけど、知木と一緒に違うと言っておいた、何度も言っているのになんで信じないんだろうか?
俺と知木はそういう関係じゃないのに。
そして時は流れて昼休み、ホームルームで悪の組織が出たので気をつけましょうという案内があったが、襲われて骨をボキボキに折られた身としては骨身に染み入っている話ではあるが皆は不安そうだった。
まあ魔法少女と知木の手当てですぐに治ったと皆には言ったが、ショック死してもおかしくないレベルで骨がボキボキに折れたのも伝えたので不安にもなるか…。
「さて、行くよ半身」
「ああ、弁当箱取り出すからちょっと待って」
知木に引っ張られて人気のない所に向かう。
道中半身て呼ばれているのに付き合ってないてまじかよという声が聞こえているがスルーする、別に男女で相棒という意味で半身て呼ばれてもいいだろと思いつつ、たどり着いたのは屋上だった。
まあ、本来は屋上は立ち入り禁止で鍵がかかっているのだが…まあ、暗黙の了解として屋上入口の側に鍵が隠されており、一部の生徒が出入りしている…先生もトラブルが起きるまでは見て見ぬふりをしている。
「さて、ここなら誰にも聞かれないね」
「ああ、昨日から頭がモヤモヤしているからご飯を食べつつ、情報の整理を始めよう」
近くの誰かが用意したかわからない椅子に腰かけて2人でご飯を食べ始める。
「まず大前提として、半身は月凪が魔法少女スカイホップになるのを見たんだね」
「ああ、お前も見ただろ月凪の肩に妖精が座っているのを…あの可愛いマフナが居ることが月凪が魔法少女になった証拠だろう…あ、今更だけど魔法少女の話は他言無用で頼むよ!」
「うん、他言無用はわかっているよ、それに見たよ、登校中誰も指摘して無かったからビックリしたよ…そして……君はそのマフナに一目惚れしたという認識であっている?」
「あっていると思う…知木への対等の相棒の感じと月凪の家族愛とも違う、こう愛おしいというか笑顔が見たい、無条件に何かしてあげたい気分が出てくるんだ」
何度もマフナを見て湧き出た感情を知木に伝える。
「うーん、なんという恋煩い、月凪ちゃんが知ったらどんな反応するのやら?」
「…知木お義姉さんじゃなくてマフナに恋したの!?て驚きそうだよな」
しかし他人から見てもやっぱり恋している感じなんだな…これが恋か…。
「あはは、流石月凪ちゃんのお兄ちゃんはよくわかっているね……でもどうするの?妖精相手に恋云々はこの際置いとくとして、恋仲目指すにしてもまずはそのマフナと仲良くならないと始まらないでしょでも話しかけたら色々と良くないんでしょ?」
知木は真面目に相談に乗ってくれる。
確かに直接話しかけれれば1番だが、現状考えなしに話しかけたら、隠蔽魔法が効かない=月凪が魔法少女になった事がバレたで下手したらマフナは最終手段の記憶を消すという手段を取りかねない…というか状況的に取るだろう。
「そうなんだよな…あの悪の組織と戦っている間なら月凪も魔法少女になっているから、その状態なら話しかけられそうだけど…今の俺が悪の組織の戦いに出向いたら…完全にお邪魔虫だよな…仲良くなるどころか嫌われるな…」
当然だが魔法少女は女性にしかなれない、男の自分ではあのトテモネガティブダーという化け物には叶わないのだ。
「……いや、おじゃま虫にならない方法はあるよ」
「はい!?あるのか!?教えてくれ!というか男でも悪の組織との戦いに貢献できるとしたらノーベル賞レベルでは!?流石知木!」
思わず方法を聞いてしまう、すると知木はある物をこちらに見せてきた。