71、知木との合流、強化された短剣!
スカイホップが去ってじっとしていると月凪が戻ってきた、なぜか肩にマフナの姿はなかった。
「へ、壁牙お兄ちゃんえーとそのー…」
「ああ、無事逃げ切ったか、月凪…お前が逃げた後、無事スカイホップが来て悪の組織を撃退してくれたぞ」
「そ、そっか良かったー…壁牙お兄ちゃん…もう帰ろう、これ以上悪い出来事に巻き込まれるのはいやだよ?」
「あー、それなんだが先に帰ってくれないか?ちょっと知木がここに来るみたいだからプリント渡さないと…あれ?カバンどこ置いたっけ?」
「壁牙お兄ちゃん、カバンは戦闘態勢に入ると同時にあそこに放り投げてたよ」
月凪が指差す所にカバンが落ちていた。
拾い上げて中身の確認、うん無事だな。
「わかった…壁牙お兄ちゃん、今日は早く帰ってきてね?」
「そうだな、足止めで疲れたし、知木にプリント渡したらすぐに帰る」
個人的にマフナが居ないのが気になるが…俺はスカイホップ=月凪と知らないという事になっている為、月凪に聞くことは出来ない。
月凪を見送り、じっと知木を待っていると背中に大きなバックパックを背負った知木が現れた。
「お待たせ半身」
「ずいぶんデカい荷物だな知木、中は遺跡から発掘した銃か?」
「うん、あれから色々と調べが入ったんだけど、遺跡は私達が見つけた物以外は出てこなかったの、取引先は防衛装置で満足してくれてよかったわ…。
そして銃に関しては…あの後メンテナンスしたけど壊れかけであの遺跡内でもう1発撃っていたら完全に死んでいたから2発で防衛装置を沈められてラッキーだわ、今はしっかり修理したから余程酷使しない限りは問題ないわ」
得意げな顔する知木、そうだ聞きたいことを聞かないと…。
「なあ、知木…知木てあそこのマンションの屋上から狙撃したんだよな?いつの間にそこにいたんだ?」
「ニュースアプリで悪の組織のニュースを知って、半身や月凪が居ると思って、銃のお試しを兼ねて、ヤマを張るように屋上へ向かったらドンピシャよ、大きな犬が目印になって半身の居場所は簡単にわかったわ」
「…なるほど」
スマホを改めて見ると、悪の組織の出現を知らせるニュースが通知として来ていた。
「まあ、狙撃の件は置いといて…はい、これバージョンアップした精神の短剣だよ、エネルギー効率とか高まったから戦って疲れることはあんまりないはずだよ」
「…名前変わってないか?」
「ウィルセイバー、ウィルソード、精神の短剣…全部意味合い一緒だからいいんだよ!」
知木のいい加減な事を聞きつつも短剣を受け取る、目視と体感で分かるのはまず重さが増した事だ、持ち手が新しくなった感じがする。
「あ、ちょっと短剣返して…Pグラスと紐づけるから」
「紐づける?」
理由が分からないが短剣を知木に渡すと、知木は俺のこめかみに短剣を近づける。
「これでよし…もしも短剣をなくしてもPグラスで短剣の場所が分かるようにしたから」
「なにそれ必要そうで使わなさそうな機能…」
そんな事を言いながら再び短剣を受け取る。
「半身はもうちょっとPグラス使いこなしてよね、最近使ってないでしょPグラス」
「まあ、遠く見る事はあんまりないからな…あ、狙撃した時に屋上にいた知木を探す際に使えばよかったのか?」
「そうだよ、見ていると思って狙撃した後、手を振ってたけどスコープで見てたら無反応だったのはちょっと悲しかったよ!」
「あはは…Pグラスは使いこなすの難しいね…まあ、ともかく銃の研究が終わったと言うことは明日からまた学校来るんだな?」
気不味くなったので話題転換する、すると知木は当然と頷いた。
「勿論学校はつまらないけど行かないとね」
「そうだな、最終学歴が中卒とか笑えないからな」
国の義務教育は中学までだが、今時中卒でつける仕事なんてほぼない…まあ、知木は散財しないならもう働かなくてもいいレベルのお金を持っているが…だからといって高校中退はしないだろう。
「所で今回は上手く噛み合って、狙撃で助けたけど…今後はそんな助けられないからね…狙撃するのに立地的な条件とか…警察にバレないように立ち回らないと行けないし…」
「あ、ああ………今になって湧いてきたんだが、人をよく撃ったなという感情が湧いてきた」
「そりゃあ半身と明らかに敵の命…どっちを潰すなら迷う必要はないからね」
後ろめたく言うこと無くカラッと言う知木…というか俺のために銃刀法を犯している知木に申し訳なくなってくる。
第三者から警察志望の癖に、何犯罪見逃してるんじゃと言われても文句言えない…。
「半身の考えてることはわかるよ、気にしないでよ、私はやりたいからやっているだけなんだから…それに今回の射撃で分かったことがあるの」
「分かった事…?アンチマテリアルライフルが強いてこと?」
「…この銃はアンチマテリアルライフルじゃないの、これはアンチマジックライフル…
悪の組織の出す大型の化け物の撃破を想定した、人の身で悪の組織を倒せる可能性を孕んだ狙撃銃よ」




