54、吸う力のを調べよう?
放課後、新聞の事で知り合いから結局色々と聞かれそうになるが、知木とこれから大事な用事があるからといったら皆引いてくれた…馬に蹴られたくないと言っていたが、まだ付き合っていると思われているのか…もう面倒なので訂正しないでおく…というかなんで俺と知木が付き合っているという噂が消えないのだろうか?2人で否定しているんだけどな…。
「さあ、早く帰ろう、研究するなら早いほうがいい!」
「分かった」
研究モードのスイッチが入ったのか、足早に帰宅し始める知木、こうなったら止めようがないので、黙ってついていく。
知木の家の屋根がチラッと見えた辺りで知木が止まる、するとポケットからスマホを取り出した。
「どうかしたか、知木?」
「…たった今空き巣が入った、家の防犯システムが作動して連絡来たの」
「え!?まじか」
知木はまあ、良くない家庭環境で紆余曲折あった結果一人暮らしをしている、知木は基本電子マネー派で現金はほとんど持ってないから盗める現金は無いが…。
「ヤバいな、ノートパソコンとか盗まれるぞ!スマホを見たということは入ったばっかりだよな、今すぐ行って捕まえよう!」
「速攻で捕まえようという発想になる辺り、半身もかなり好戦的になったね…」
「トテモネガティブダーという化け物と戦っていると、人相手はかなりマシに見えてくるからな…空き巣程度のチンピラ相手ならなんとか出来ると思う」
「わかった、それなら行こう半身、私だって自分の城を荒らされてちょっと怒っているし、戦う力は無いけど、出来ることはするよ…そうだちょうどいいし、悪人になら吸う力を試してみてもいいんじゃないかな?」
「初手人体実験というのは怖いけど…素手で出来るか確かめてみるか、襲いかかってきたら自己防衛しないといけないし…」
自分の中で整理しつつ、知木の家の前まで移動する、知木の家のドアはドアノブが壊れていた…。
「犯人は玄関入って、抜けた先のリビングにある金庫を破ろうとしている、そこを捕まえよう、必要なら土足でもいいよ」
知木がスマホを観ながら言う、具体的に言っているという事は監視カメラを観ているのだろう。
「いや、脱ぐから安心してくれ…行くぞ!」
タワーシールドは知木の家では取り回しが悪いので出せず、短剣も何時でも抜けるように準備だけする銃とか使ってきたら最悪投げて使おう。
息を整えて自分は知木の家に突入する!
「おい、空き巣野郎!不法侵入の罪で逮捕する!」
「な!?高校生!?いや、ここに住んでるのは女子高生じゃ!?」
空き巣は全身黒ずくめで、フードをしていて顔が分からないが成人男性なのはなんとなくわかる。
そして腰には見たことある銃を身に着けていた、ゴルドガンだ。
「問答無用!」
相手が体制を整える前に先制攻撃として掴みかかる!
「すまん知木リビング荒らすりゃ!」
空き巣犯がゴルドガンを抜こうとしていた腕を掴み、そのまま投げに繋げてリビングにあるテーブルの端に叩きつける!
「がは!?」
空き巣犯は苦しむ…その間に空き巣犯からゴルドガンを奪い、弾薬を抜き取る…勿論薬室にある弾も抜き取る…ゴルドガンは形状、使い方は殆ど拳銃と変わらないから多少銃の知識があれば取り扱うのは簡単だ…。
「くそ!返せ!ぐうううう!」
こちらに殴りかかってくるが、片手で受け止めて、そこから相手の腕を捻り、痛みで膝を付かせて、地面に転がしてその上に乗る。
「あほ、誰が返すか、知木!捕らえたらよ!後これ確保しといて」
「早いね…とゴルドガンをそんな雑に放り投げないでよ…弾抜いてても危ないわよ…」
眼鏡をかけた知木が現れたので弾無しゴルドガンを預ける。
放り投げたにも関わらず、知木は危なげなくゴルドガンを受け取った。
「な!?女子高生!?もしかして家主か!?だとしてもなんかお前ら冷静すぎないか!?」
「まあ、幼い頃から色々とあったからな…」
「半身が居たお陰で非常用の兵器を使わなくて済んだわ」
空き巣犯が驚くが、まあ襲う家を間違えたという感じだな…。
「くそ、離せ!」
「諦めろ!静かにしろ!」
暴れまわる空き巣犯、幸い力はこっちのほうが上なので拘束出来ているが持久戦となると厳しくなりそうだ…火事場の馬鹿力とかありえるし…。
「…悪く思うなよ、何かあったら頼む知木」
「了解、任せて」
「お前らなにする気だ!?」
暴れまわろうとする所に空き巣犯の腕を掴み、頭の中で空き巣犯の精神力を奪うイメージをする。
『やるしか無いんだ!借金が膨れ上がった以上、悪事でもなんでもやるしか無いんだ!空き巣でも強盗でも怖い怖い怖い!』
「うぐ!?」
すると体全身に響く空き巣犯の声…そして頭の中で湧き上がる、こいつ殺したほうがいいんじゃないかという黒い感情…。
「……なるほど、半身!意識をしっかり持って!他者の感情に惑わされないで!」
それと同時に知木の声がしたと思えば、知木は俺の眼前で両手を打つ…猫だましをしたのだ。
次の瞬間、は!?とさっきまでの黒い感情が消えていた…なんだったんだ今のは?。
「なるほど、素手でも使えるみたいね、吸う技……空き巣犯は貴方に殴られて気絶したわ…取り敢えず縄で拘束するから半身も協力して…その吸う技の詳細は後で教えるから」
「わ、分かった…え?殴った?」
頭が追いつかないが、取り敢えず知木に従い、空き巣犯を拘束するのだった。




