48、5月の戦い
健人さんからの尋問を受けた時が経ち、5月…5月と言ってもウチの学校では特に学校行事はなく学生によっては特に何もない月なのだが…。
「はあ…はあ…」
生憎俺と魔法少女は特に何もないという事は貴重みたいだ。
「トテモネガティブダー!」
悪の組織との戦闘があるからだ…。
5月の昼休みに現れた破壊将軍とトテモネガティブダー、俺はコボルトみたいに毛むくじゃらな破壊将軍の前に立ち塞がり、魔法少女スカイホップはトテモネガティブダーの前に立つ。
「蛮勇な男だな、骨を沢山折られてなおネガティブな感情を抱かずに俺の前に、立ち塞がるとは…」
「生憎敵にやられっぱなしは嫌いなものなんでな」
「壁牙!下がって!貴方が勝てる相手じゃない!貴方の短剣じゃ破壊将軍の毛を剃るくらいか限界よ!」
破壊将軍と言い合っていると、マフナが下がるように言うが、生憎そのつもりはない。
「下がったら破壊将軍がトテモネガティブダーの所に向かうだろ!?」
現在スカイホップが本の形をしたトテモネガティブダーと戦っている。
戦いは緩やかにスカイホップが優勢になっているが、破壊将軍が参加したら一気に劣勢になるだろう。
「ふん!また骨を粉々に砕いてやろう!」
破壊将軍が腕を振るい、こちらに殴りかかってくる!素早い攻撃で避けれない!タワーシールドで身を守るしかない!
「ぐう!」
タワーシールドで受け流すが、力を完全に受け流す事は出来ず、強い衝撃が腕に伝わる。
「ふん!何時まで耐えられるかな!」
ガンガンガン!とタワーシールドを殴られ続けて、ズルズルと後退していく。
「ただの人間が耐えられると思うな!オラ!」
「ぐああ!」
アッパーのような一撃をタワーシールドで受け止めて、体が浮き上がり、そのまま回転するように吹き飛ばされる。
世界がぐるぐる回る中、唐突にそれがスローローションに感じる。
走馬灯なのか、体が助かろうと全力で脳がフル稼働しているのか、わからないが取り敢えず着地点がトテモネガティブダーのすぐそこだと把握する。
「ああああ!」
本能か理論的かもう分からないが全力で短剣に精神力を注ぎ込み、短剣のエネルギー刃を巨大化させる。
吹きとばされて回転しながらなので、多分傍から見たらチェーンソーみたいな回転刃のように見えるのだろう。
そのままの勢いのまま俺はトテモネガティブダート激突した!
「うぐうう!」
両腕に激痛が走ったと思ったら、全身が地面に激突する。
「壁牙おに!?」
「スカイホップ!トテモネガティブダーが大ダメージを受けて、怯んでる!壁牙を助けるならもう必殺技を放ったほうがいいわ!」
「わ、わかった!ポップカラフルキュアー!」
「と、トテモネガティブダー…」
瀕死の身体でスカイホップがトテモネガティブダーを倒す所を見届ける。
「いったい…」
「今助けます、クロノリカバリー!」
苦痛で動けない中、スカイホップがクロノリカバリーを使うと同時に俺は痛みか疲労かどちらかわからずに気絶した。
「うう、ここは?」
気絶から目覚めたら保健室にいた。
「あ、目が覚めたのね壁牙」
「…マフナ?」
ぼんやり意識が覚醒する中、マフナが話しかけてきた。
「全く、飛んだ無茶をするわね…いい加減戦いに首を突っ込むのは辞めなさい、スカイホップが早々にクロノリカバリーを使ったから何とかなったけど、いつか本当に死ぬよ?一般人が悪の組織の幹部に勝つなんて不可能なんだから、その腕輪の盾の力なのか、転がりまくっても外傷は無かったけど、肉体内部の衝撃ダメージはクロノリカバリーでの修復にも限度があるんだから」
「…勝てなくても時間稼ぎにはなるだろ、さっきの戦いでも俺が破壊将軍を足止めしてないと2対1になっていだろ?」
「確かにそうだけど、貴方が命懸けで戦う必要はないでしょう、魔法少女は私達のサポートで緊急用の離脱魔法はあるけど、貴方にはそれが使えないのよ」
かなり冷ややかな目で見てくるマフナ、めっちゃ申し訳ない気持ちが湧いてくるが…妹が戦っている以上退くつもりはない。
「まあ、それなら次の戦いまでになんか新しい力を得てより強くなるよ」
「はあ、何を言っても無駄ですね…取り敢えずそろそろ放課後だから私は行くわ、外付けの装備だけじゃ限界があるんだからもう無理をしないでくださいね」
マフナはそう言うと窓から外に去っていった。
「………うーん、俺も魔法少女…にはなれないからせめて魔法使いになれたらな…」
現状自分はマフナという通り外付けの力で戦えているような物だ、短剣とタワーシールドがないと、魔法少女や悪の組織が言う一般人と殆ど変わらない…。
「外付けじゃない力が欲しいな…」
そう呟くと同時に保健室の先生が保健室に入ってきて、色々と状態を聞かれた。
身体に問題はないと伝え、保健の先生に不安そうにみられつつも時間を確認すると放課後の時間だった…先生に確認すると、後半の授業は1限分あったみたいだ…授業内容をまた知木に聞かないとな…そう思いつつ、保健室から出て帰路の準備をするのだった。




