47、ある日の警察の事情徴収(後半)
「なるほど妖精に恋したから悪の組織と戦うと決意したのか…」
「あ、ああ…」
「で、あんな短剣何処で手に入れたんだ?」
「う…」
やべぇ所突かれた、そりゃあ監視カメラと調べたら俺が短剣持って戦ったのがわかるよな…。
どうしよう、知木が言うには逮捕される事は無いだろうが、没収される可能性がある。
はいどうぞと差し出すわけにはいかない、知木の存在を知っているからぼかした所ですぐに知木に作って貰ったと見抜かれるだろう、あれ?これ詰んでる?下手な嘘も見抜かれるだろうし。
「………知木から護身用に作って貰いました、見た目はただの玩具の短剣で、銃刀法違反は起こしてないはずです…」
頭の中で高速で考えに考えた結果、上げたのは白旗、勝ち目が見えなかった故に正直に白状するしかなかった。
「安心しろ、別に没収とかは考えてないからな」
「え、いいのか!?」
「いや、警察としては全く良くはないが…それがないと色々と困る事が起こるんだろ?だから俺は何も見なかった…うん、そういうことにしてくれ」
「わかった」
良かった見逃してもらえた!心の底から安心する。
露骨に喜びすぎるのは良くないと思い、手に持っていたブラック缶コーヒーを開けて喉に流し込んで一息ついた。
「それで話は魔法少女の戦いに首を突っ込むなということだけだったのか?」
「一応他にもあるぞ、お前もわかっていると思うが、ここ最近この街も治安が悪くなっている、悪の組織に共鳴してか影響されてか知らんが、犯罪者も増えてきているから気をつけて欲しいというのもある」
「まあ、それはわかる、前のひったくり犯のあれこれの時に目にクマ作ってたし」
「あれに関しては知木が取っていたナンバーのお陰で捕まえることが出来た、原付きも窃盗品で被害届けが出ていたからな…そっから余罪が出るわ出るわで数年は出られないだろうな」
思い出して疲れたかのように答える健人さん、かなり疲れた仕事だったのだろう。
「とと、余罪うんぬんは言ったら駄目なやつだった、他にバラすなよ?」
「わかってますよ、健人さん…」
健人さんはちょくちょく秘守義務を破る時がある…まあ、こっちが周りに言いふらしたりしないとわかっているからだろうか?
「まあ、大体事情はわかった、警察官としてはこれ以上魔法少女の戦いに首を突っ込むなと言いたい所だが、恋と愛の為に戦っているならば止めようがないな…だけどどうしようもないと思った時は母親なり、俺なり出来た大人に頼りなさい、力になれるはずだ」
「始末書いっぱい書いて左遷された健人さんが出来た大人とは言い難いと思うんですが…」
「お?人がカッコつけたのを潰したという公務執行妨害で逮捕してやろうか?」
「理不尽!?」
「くく、あはははは冗談だよ、お前を逮捕なんて来ないほうがありがたいわ」
こうしてお互いに冗談めいた事を言い合って、笑いながらも事情聴取が終わった…。
………バレてないよな?月凪が魔法少女だってゆうのは…?仮にバレてても健人さんなら言いふらしたりはしないはずだ。
ちょっとした不安を抱えつつもその日は帰るのだった。
その途中スマホにニュースが通知が来ていたことに気が付き確認する、悪の組織、ネオゴットが現れたが、魔法少女がスカイホップが速攻で撃退したというニュースだ。
「い、いつの間に…」
戦いに乗り遅れたことにちょっと悔しい思いをしつつも、ヒーラー系なのに結構戦えるんだなとも思いつつ、家に帰宅する。
「ただいまー」
「おかえり、壁牙お兄ちゃん!」
家に帰るとマフナを肩に乗せた上機嫌な月凪が迎えに来てくれた、マフナはこちらに手を振るなんて事はせずじっとこっちを見つめている。
「おや、先に帰っていたのか早いな」
「壁牙お兄ちゃんが帰るの遅かっただけだよ?」
「まあ、それもそうだな…健人さんと話していたんだよ以前通報した犯罪者が捕まったかどうかとか教えてもらっていたんだよ、それよりも上機嫌だな、月凪、なんか良いことでもあったか?」
「えへへ、良い事あったけど内容は秘密!それよりも今日の晩御飯はオムライスみたいだよ、壁牙お兄ちゃん!」
月凪とマフナの表情から察して良い事は魔法少女関連だと理解してそっかー良かったなーと流すこ事にした。
「お、オムライスか!楽しみだな」
こうしてお母さんが用意してくれた晩御飯のオムライスを美味しくいただく時間を過ごすのだった。
……因みに余談だが、マフナは月凪が食事している間は月凪の部屋でのんびりとしている…トイレに行く時に月凪の部屋をチラッと覗いたことがあるから知ってるのだ。




